がん治療は高血糖値を招きやすい

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抗がん剤治療によって血糖値が急上昇することがあるとは聞いていたが、日経メディカルの『癌は糖尿病の“新たな合併症”』は、詳しく解説している。

要点を記すと、

  • 糖尿病と癌が併存すると治療は難しくなる。
  • 一方で糖尿病罹患中のHbA1cやヘモグロビン値の増減は癌を早期発見する契機にもなる。
  • 糖尿病合併患者の3分の1は周術期の患者。血糖管理がなされていない患者は手術後の創部感染が起こりやすく、縫合不全のリスクも高まる。
  • 手術の可否を最終的に決定するのは麻酔科医。「血糖値をシビアに評価された結果、麻酔科から差し戻されるケースもある」。安全に麻酔をかけられる血糖値にならないと手術は始まらないのだ。
  • 糖尿病を合併する患者の残りの3分の2は内科系の診療科を受診しており、その3分の2は膵癌。
  • 抗ガン剤の副作用を抑える制吐薬によく使われるステロイドは肝臓で糖新生を促進し、筋肉組織で糖利用を阻害するなどインスリンと正反対の作用があり、高血糖を来しやすい。
  • 癌治療に使われる薬剤には高血糖の原因になるものが多い(表2)。 20151222_19_45_12
  • とりわけ注意を要するのは分子標的治療薬だ。このタイプの薬剤は細胞増殖のシグナル伝達を阻害するものが多く、インスリン本来の働きと拮抗してしまう。
  • ある患者は、FOLFIRINOXによる治療を受けていたところ、全身状態が急激に悪化してきた。体重も減少し、全身倦怠感も強く、治療の中止が検討された。しばらく測定していなかったHbA1cを測定したところ、12%を超えていた。
  • 膵癌などのように糖尿病の原因となる癌もある。一方で、糖尿病への罹患は癌の発症リスクの1つであることも明らかになっている。
  • 癌細胞が分泌産生する腫瘍壊死因子(TNF)αなどの炎症性サイトカインがインスリン抵抗性を惹起することが知られている。

同氏が最近、経験した症例は印象的だ。ある糖尿病患者が定期的にHbA1cの計測を行っていた。適切な血糖管理が奏効し治療開始時に8%を超えていたHbA1cもここ数年は5%台で推移していた。ところが最近になって突然、8%に上昇した。主治医は生活習慣の乱れを疑ったが患者は頑強に否定。そこで主治医が精密検査を実施したところ、早期の膵癌を発見した。膵癌は発見時に進行し、手術の適応にならないことが多く、これが膵臓癌の予後をほかの癌に比べきわだって悪くしている原因だ。この患者は発見が早く、幸いにも手術を受けることができた。

抗がん剤は高血糖を招きやすいし、さらに膵癌では血糖値との結びつきが強い。FOLFIRINOXを投与中の患者は血糖値の管理にも十分注意を払うべきですね。

高血糖が膵癌の要因であるということは、血糖値が高ければ再発・転移のリスクも高くなるかもしれない。


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がん治療は高血糖値を招きやすい” に対して2件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    kathyさん。今年もお世話になりました。
    私も現在 HbA1c は6.5です。先生も「無理に下げることもないから、これでいいか」と言ってくれます。
    リスクはトレードオフですから、バランスを考えて長く付き合っていくしかありませんね。
    「生きてることは健康に悪い」のでしょう。

  2. kathy より:

    お久しぶりです。
    私は胃がん手術で胃の大半を切除したので
    食後高血糖で HbA1cが上がっていて6.5になってしまいました。2時間血糖値は測定していないですが、
    自分でやっている尿糖検査は500~2000mg。。。
    癌と糖尿病はいろいろな形で 関係しているのだと思います。

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