CA19-9の新しいカットオフ値を提案

膵臓癌の患者さんは血液検査の結果で CA19-9を常に気にしていらっしゃると思います。そして基準値の37.0U/mLを超えたかどうかでさらに気を揉むことになります。

日経メディカルオンラインで紹介されているこの論文は、2015年4月から2018年3月までに国内の2病院で教育入院していた19歳から92歳までの糖尿病患者1060人を対象とした後ろ向きコホート研究です。

記事の概要

  • 膵臓がんマーカー:研究では、コントロールが不十分な糖尿病患者における膵臓がんの検出において、CA19-9マーカーの新しいカットオフ値を98.4 U/mLと提案しています。
  • 研究の詳細:この研究には1,060人の糖尿病患者が参加し、膵臓がん患者のCA19-9レベルが他の患者よりも有意に高いことが判明しました。
  • 感度と特異度:提案されたカットオフ値は、膵臓がんの検出において感度70.0%、特異度96.5%を持っています。
  • 臨床的意義:この発見は、糖尿病患者における膵臓がんの早期発見のためにCA19-9レベルを監視する重要性を強調しています。

会員登録をしないと全文を読むことはできませんが、結論をまとめると、

37.0を超えても慌てなくてよい。約100 U/mLまでは、精査して他の要素も考えたうえで、次の治療法に進むかどうかを考えれば良い。

血清CA19-9値のカットオフ値を検討した結果、膵癌群とIPMN+NC群を比較した場合、98.4 U/mLが膵癌の検出に最適と考えられた。このカットオフ値では、膵癌に対する感度は70.0%、特異度は96.5%であり、ROC曲線下面積は0.81(95%信頼区間:0.66-0.96)であった。

 腫瘍マーカーに踊らされることは避けるべきではある。しかし、本論文が提案するCA19-9のカットオフ値である98.4 U/mLを意識しておくと、精査すべきかどうかの一つの指標になるかもしれない。

 例えば、CA19-9値が37.0〜98.4 U/mLの範囲の糖尿病患者がいて、腹部超音波検査では何も検出できないが、食欲不振や体重減少が続いているとする。患者の血糖コントロールが改善した後でもCA19-9値が下がらない場合、CT検査やMRI検査などの精査を行うべきだという判断につながる可能性がある。

 「糖尿病患者でCA19-9値が高値になりやすい」という事実は医師なら誰もが知るところではあるが、具体的な数値の感覚を持っておいて損はないだろう。」


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