南海トラフ地震
8日午後4時43分ころ、宮崎県南部で最大震度6弱を観測する地震がありました。これを受け、気象庁は東海沖から九州沖にかけての震源域で発生が懸念される「南海トラフ巨大地震」との関連性について調査するとして「南海トラフ地震臨時情報(調査中)」を発表しました。
心配で不安になるかと思いますが、ここは冷静に思考を巡らしてみましょう。
南海トラフ地震が30年間に80%の確率で起こるは真実か?
菊池寛賞を受賞した、東京新聞記者 小沢慧一さんの「南海トラフ地震の真実」はすばらしい著作でした。彼はこの本で、南海トラフ地震の発生確率80%は「水増しされた」値だと言います。
小沢慧一さんが「南海トラフ地震の真実」で述べている、南海トラフ地震の発生確率が20%である根拠は以下の通りです:
- 時間予測モデルの問題点:従来の70~80%の確率は、1980年に東京大学の島崎邦彦名誉教授が発表した時間予測モデルに基づいていますが、このモデルには科学的な問題があるとされています1。
- 古文書の信頼性:このモデルのデータは、旧東京帝国大学の今村明恒教授の論文が原典となっており、江戸時代の古文書(久保野文書)に基づいていますが、これらのデータの信頼性には疑問があるとされています1。
- 測定方法の不確かさ:古文書に基づくデータは、港のどこで、いつ、どのように測量されたかが明確でなく、誤差が大きい可能性があるため、モデルの信頼性が低いとされています1。
- 特別な方法による数値:政府が発表している70~80%の確率は、他の地震よりも高く出る特別な方法で算出されたものであり、通常の方法で計算すると20%程度になるとされています2。
2.は、高知県室津港の水深のデータですが(室津は私の生家にも近い)、この測定に信憑性がないのです。
これらの点から、小沢慧一さんは南海トラフ地震の発生確率を20%と主張しています。
小沢慧一さんが指摘する「特別な方法」と「通常の方法」の違いについて、以下のように説明されています:
- 特別な方法:政府が発表する70~80%の確率は、特定の統計モデルやシミュレーションを用いて算出されています。この方法では、過去の地震データや地質学的な情報を基に、将来の地震発生確率を高めに見積もる傾向があります。特に、リスクを過大評価することで防災対策を強化する意図があるとされています。
- 通常の方法:一方で、通常の方法では、より一般的な統計手法や地震学的なモデルを用いて計算されます。この方法では、過去の地震の発生頻度や規模を基に、より現実的な確率を算出することを目指しています。小沢さんは、この方法で計算すると南海トラフ地震の発生確率は20%程度になると主張しています。
これらの違いにより、発生確率の見積もりに大きな差が生じるとされています。
ロバート・ゲラー教授の主張
東京大学名誉教授のロバート・ゲラーさんは、地震予知に対して非常に批判的な立場を取っています。
過去の死者10人以上の地震は、政府の言う警戒区域以外で起きている。このハザードマップは「ハズレマップ」だと揶揄しています。実際に今年元旦の能登半島地震も「はずれ」です。石川県は「地震の少ない県」と宣伝して企業を誘致してきたのですが、ハザードパップの信頼性は地に落ちています。
- 地震予知の不可能性:ゲラー教授は、地震が「いつ」「どこで」「どのくらいの規模で」起きるかを正確に予測することは不可能だと主張しています。これまでの研究でも、地震の前兆現象を見つけることはできていないと述べています1。
- ハザードマップの問題点:政府が発表するハザードマップは、特定の地域の危険性を過大評価していると批判しています。実際に大きな地震が発生した場所は、ハザードマップで「安全」とされていた地域であることが多いと指摘しています2。
- 防災対策の見直し:ゲラー教授は、地震予知に多額の予算を投じるよりも、基礎研究や防災対策に資源を集中させるべきだと提案しています。また、日本全国どこでも地震が起こりうるという認識を持つべきだと強調しています2。
ゲラー教授の意見は、地震予知の限界を認識し、より現実的な防災対策を講じることの重要性を訴えています。
日本は3つのプレートがぶつかり合う境界にあるのですから、地震はいつかはやってきます。南海トラフ地震だけに目を向けていると、ひどいしっぺ返しに合うことになります。
南海トラフ地震がやってこないというのではありません。あまり過大に危険性を煽るなと言いたいのです。地震予知は不可能なのですから。
という私は、むしろ首都直下地震が心配なので、水と食料と簡易トイレは2週間分備蓄して備えています。