今日の一冊(177)『あきらめないがん治療』岡田直美
この本は、今年一番のおすすめの本です。特に、治らないと言われた膵臓がんの患者さんにぜひ読んでほしいと思います。
医学生の頃から、かっこいい女医さんではなく、「内科のブラックジャックになりたい」という願いを持っていた岡田 直美先生と善本 考香さんとの共著『ここまま死んでる場合じゃない』を以前に紹介しました。もう7年前になります。
その後岡田先生は、セカンドオピニオン専門のクリニックを立ち上げています。最初は面談してのセカンドオピニオンでしたが、今ではZoomを使ったオンライン専門のセカンドオピニオンとして、全国から受診が可能になっています。
この本では、治すことにこだわったセカンドオピニオンには「治らないと言われたがんを治す力がある」ことを患者の皆さんに伝えたいのだと言います。
根治(完全に治ること)にこだわるセカンドオピニオンには 2つの効用があります。1つは患者さんの心の変化です。私が実施しているセカンドオピニオンでは治る糸口を見つけるためにしっかり準備し、治療の道筋をお話しします。がんと闘う味方として患者さんの気持ちを察しながら一緒に会話するうちに、患者さんに治るという希望が芽生え、表情がほぐれて明るくなっていくのがわかります。
もうひとつの効用は、セカンドオピニオンの目的である「治る治療の情報を得られる」ということです。主治医と異なる視点で病状を診ることで、より良い治療情報が得られる可能性があります。
この本の最大の目的は、 一人でも多くの忠者さんに、 たとえ 「治らない」 と言われた患者さんであっても、治るチャンスをっかんでいただくことです。 この本を読んで、治る治療の疑似体験をし、 患者さんが「私も本当は治るのではないか」と希望を持ち、 主治医とともに行動を起こしてもらうことが目的です。
難治性のがんの筆頭である膵臓がんについて、岡田先生は、膵臓をたい焼きの串刺しに例えます。
たい焼きのように、厚みが2センチほど、真ん中のあんこの部分に腫瘍ができます。その中を膵管が走っており、小さな腫瘍でも、すぐにたい焼きの皮を突き破り外に出てきてしまいます。膵臓のお腹側は腹膜がかぶっています。背中側には神経と血管があります。お腹側の皮を破って外に顔を出すと、腹腔内にこぼれ落ちて腹膜にばらまかれて腹膜播種が起こります。背中側に顔を出していくと、神経に浸潤して痛みの原因になるだけでなく、手術で取り切ることが難しくなります。
二本の串刺しの串に例えられるのが上腸管膜動脈と門脈のことです。これらが膵臓癌の予後が悪い、5年生存率が最悪だと言われる理由です。
しかし岡田先生は、膵臓癌についての多くの症例をこの本でも紹介しており、ステージ4で転移や腹膜播種のある膵臓がんでも治るのだと言います。
<症例1>
局所進行膵臓がんで多発肝転移のある桜井さん。上腸間膜動脈のまわりの腫瘍を重粒子線治療が始まります。しかし、重粒子点治療後、肝臓に7つの多発転移が見つかります。しかし、岡田先生は諦めません。ジェムザールの全身化学療法、次に動注化学療法を試みます。7個の肝転移が全て消えていました。
念には念を入れ、7個の消えた肝転移に目には見えない腫瘍が残っているかもしれないと、ラジオ波焼灼療法の名医である椎名秀一郎先生によるラジオ波焼灼療法を行います。
造影CTでは、残存病変は0になりました。
他にも、膵臓がんで胸膜播種、癌性胸膜炎のの佐々木さん。抗がん剤の腹腔内投与で腹膜播種も制御できていたのですが、残念ながら胸水がたまり、呼吸困難でなくなりました。
局所進行膵癌で、手術も重粒子点治療もできない児玉さん。「治りません」と言われた局所進行膵臓癌を、抗がん剤・重粒子線治療・手術という3つの治療法を用いた集学的治療によって、見事完治することができました。
ラジオ波焼灼療法、動注化学療法、光免疫療法やウイルス療法など、最新の治療法についても詳しく紹介をしております。
ナオミクリニックは上のリンクから入れます。
セカンドオピニオン 受診料 ¥77,000(税込)/ 40分
ですので、一般のセカンドオピニオンの金額の2倍ですが、高いかそうでないかは、この本を読んで、あなたも治る疑似体験をして、判断をしてください。