「高市総理」誕生シナリオの裏側:維新との連携で断行される「4兆円医療費削減」の衝撃
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初の女性総理大臣が誕生し、高市内閣が発足するようです。
マスコミは女性総理ということで浮かれているようですが、海外では右翼内閣の発足だという評価で、さらに維新との連合のこの内閣が実行しようとする政策は、がん患者や病人にとっては今後は深刻な事態になりそうです。
政局の動きと国民生活の危機
今、永田町で静かに進められている政局の動きが、私たち国民の生活を根底から揺るがそうとしています。それは、自民党の高市氏と日本維新の会による「連立に向けた政策協議」の動きです。
高市氏が次期総理の座を目指し、維新と手を組むことで、両党の基本政策が「ほぼ一致」しているとされています。しかし、この協議の最大の柱と目されているのが、極めて痛みを伴う「社会保障の改革」です。
これは単なる政局の話ではありません。私たちが頼りにする国民皆保険制度、病気になった時に命を預ける医療機関、そして高額な治療費の負担上限——そのすべてが、この「改革」の名の下に深刻な影響を受けることになります。
自公維新「3党合意」の重い事実
この「社会保障の改革」の中核をなすのが、すでに通常国会で自民・公明・維新の3党間で方向性が合意されたとされる「医療費4兆円削減」です。
4兆円という途方もない規模の医療費削減が、これから行われようとしています。維新の会は、これまで自民党単独では国民の大きな反発を招きかねなかった社会保障の「大改悪」において、「改革派」として前に出て、政府のアクセル役を担う構造が浮き彫りになっています。
これは「持続可能な制度」のための改革ではなく、実質的には国民皆保険制度の基盤を揺るがす「切り捨て」であると批判せざるを得ません。
批判される「身を切る改革」の本質(政治側の責任)
維新の会などが「国民の痛みの前に、まずは政治家が身を切るべきだ」と主張することは一見正論に聞こえます。しかし、その「身を切る改革」の中身が、医療削減という国民への痛みを正当化するための「目眩まし」になっていないでしょうか。
彼らは、政治の金権体質の温床とされる企業・団体献金の廃止という、政治家側が本来断行すべき聖域には踏み込まず、国民の目を引きやすい国会議員定数1割削減を主張しています。
しかし、国会議員の定数を1割削減したところで、削減されるのはわずか約35億円です。一方で、国民の税金が投入されている政党助成金(約315億円)を廃止すれば、その約9倍もの財源が生まれます。
本当に「身を切る」覚悟があるならば、まずは国民の血税で賄われる政党助成金を廃止し、政治の金権腐敗の温床を断ち切るべきです。国民に「4兆円削減」という痛みを強いる前に、政治家自身が聖域を設けていないか、厳しく問い直す必要があります。
医療基盤の「崩壊」と4兆円削減の具体的な影響
4兆円という大規模な医療費削減が断行されれば、医療現場は待ったなしで崩壊に向かうでしょう。
指摘されている通り、すでに多くの病院やクリニックは赤字経営に苦しんでいます。外界のなり手も減っています。さらなる大削減は、病院の閉鎖や、入院病床を持たないクリニックへの転換を加速させます。
その結果として起こるのが、「医療崩壊」です。地方や過疎地では、救急医療体制が維持できなくなり、入院できる場所がない、専門的な治療を受けられる病院がないという事態が避けられません。経営圧迫は、医療従事者の疲弊を招き、高度医療機器への投資も抑制され、結果として医療の質そのものの低下を招くことになります。
がん患者・難病患者に与える深刻な影響
特に深刻な影響を受けるのが、継続的かつ高度な専門治療を必要とするがん患者や難病患者の方々です。
医療基盤の弱体化は、治療へのアクセスを直接脅かします。専門病院が閉鎖したり、専門医が減少したりすれば、最新の高額な新薬や先進医療を選択する機会が奪われかねません。
「助かる命」は、医療制度と医療基盤の健全性があって初めて救われます。医療費の切り捨ては、まさに「助かる命」が脅かされる事態に直結するのです。
家計を直撃する「高額療養費制度」の負担増
医療費削減は、医療を提供する側だけでなく、患者である私たち自身の家計も直撃します。それが高額療養費制度の見直し(負担増)です。
この制度は、高額な医療費がかかった際に自己負担に上限を設ける、国民皆保険制度の「最後の砦」とも言える仕組みです。しかし、この負担上限が引き上げられれば、特に病気になる確率が高まる中・高所得層の現役世代や高齢者が、重病になった際に直面する家計の痛みは激しくなります。
石破総理が一旦中止しましたが、負担増を諦めたとは言っておりません。
さらに、風邪薬、アレルギーの薬、胃薬、痛み止めといったOTC類似薬の保険適用外しも議論されています。これは、病気の時だけでなく、日常的な軽い体調不良の際にも、窓口での自己負担がすべて実費になることを意味し、国民の負担は加速度的に増していきます。

立ち向かうために
高市氏と維新の会による連携の先に描かれているのは、政治の聖域には手を付けず、国民の医療と家計に大きな犠牲を強いる「社会保障の大改悪」です。
4兆円の医療費削減と高額療養費の負担増は、医療基盤と患者負担の両面から、日本の医療を「崩壊」へと導く危険性をはらんでいます。
この動きを単なる政治闘争として見過ごさず、国民一人ひとりの「命と生活」に関わる問題として関心を持ち、反対の声を上げることが必要です。
医療の持続可能性を真に高める議論とは、削減ではなく、私たち国民が安心して暮らせる社会保障をどう構築していくかにあるはずです。この春に、高額療養費の負担増を中止に追い込んだように、私たち自身がこの危機を認識し、声を上げることが、この「医療大改悪」の波紋を食い止める唯一の方法です。


