メトホルミンは膵臓がんに効くか?
少し前ですが、長尾和宏先生にブログに「メトホルミンと膵臓がん」との記事がありました。
ある大病院の「まだ表には出せない」という研究では、術後、メトホルミンを投与すると、明らかに膵臓がんの再発が少なく、五年生存率は高いという。
Googleで「膵臓がん メトホルミン」で検索すると、たくさんヒットします。世界中で今研究が進んでいるのでしょう。
膵臓がんを予防する効果がある、いやそれは否定されていると、両方の記事や論文が検索にかかりますが、最高レベルのエビデンス(科学的根拠)と言われるメタアナリシスで、膵臓がんのリスクを下げるとされているので、これはほぼまちがいないでしょう。
現在膵臓がんを抱えている患者にとってはどうなのか。
- メトホルミンでの糖尿病治療が膵神経内分泌腫瘍の進行リスク低下
- メトホルミンの可能性 がんの死亡リスクを低減
欧米ではメトホルミンは2型糖尿病の第一選択肢
なにしろ、1錠10円という安価な薬で効果があれば嬉しいことですね。残念なのは、膵癌患者には目的外使用になるために処方できないことです。
臨床試験をやれば良さそうなものですが、安い薬なので、製薬企業は莫大な費用をかけて臨床試験をやるはずもないですね。何とも歯がゆい話です。
しかし、膵臓がん患者で糖尿病の治療をやっている患者も多いです。日本ではDDP-4阻害薬などが処方されることが多くなっていますが、欧米ではメトホルミンが第一選択薬となっているのです。
これなら、目的外使用にならず、血糖値管理と再発予防の一石二鳥です。
今年9月に、世界保健機関(WHO)は糖尿病治療に関する指針をまとめ、その中で
2型糖尿病治療ではメトホルミンを第一選択薬とし、インスリン療法においてはヒトインスリン製剤を優先的に使用することを推奨する
と書かれています。日本の糖尿病治療は別の道を歩んでいるようです。