死生観
『モモ』で考える、時間と死
ミヒャエル・エンデの『モモ』は、灰色の男たち=時間どろぼうを登場させることによって、時間の節約=効率主義が、人々から人生のゆとりと生き甲斐を奪うということを、ファンタジーの形式で語っている。「生きる時間」と「時計で計られる時間」は別物である。
「余命3ヶ月」は「時計で計られる時間」であり、生きる時間を生き生きと生きるだけが大事なのであり、そのように生きたとき、時計で計られた「余命」には意味がない。『モモ』に登場するマイスター・ホラ(horaはラテン語で「時間」のこと)の言葉を借りれば、「人間には時間を感じとるために心というものがある。その心が時間を感じとらないようなときには、その時間はないも同じだ」。「生きる時間」は物理的時間の制約を超えることができるのである。
今日の一冊(114)「がんを抱えて、自分らしく生きたい」
「自分も自分の治療チームの一員として参加したい」。この言葉をブログでも何度か使ってきました。西先生も、この本の中で同じことを言われているので嬉しくなりました。
また「医療の民主化」。これもこの本が掲げるキーワードのひとつです。
医療に自分の生き方を合わせるのではなく、自分の生き方に合わせて医療を味方にして歩んでいってほしい、と語ります。それが医療の民主化を進めることにつながります。
インターネット上で活躍する医療者が増えています。皆さんそれぞれ、患者さんの利益のため、幸福のために頑張っているのですが、そのスタンスや考え方は微妙に違います。そういう目でこの本を読んでみることで、新しい発見があると思います。
今日の一冊(113)「死に逝く人は何を想うのか」
佐藤由美子さんは、ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士です。長年米国のホスピスで音楽療法を実践してきた方です。またブログ「佐藤由美子の音楽療法日記」も開設されています。
大切な人との別れは辛いものです。あまりの辛さに誰もが打ちひしがれてしまいます。
私たちは、死に逝く人の気持ちがわかりません。何かをしてあげたいのに、何をしたらいいのかが分からない。どうすれば末期の患者さんの心に寄り添い、サポートできるのだろうか。
佐藤さんの1200人以上の人生を見届けたホスピス音楽療養療法士の経験から、多くの実話を紹介して「見送り」に必要なことが説明されています。
これまで気づかなかったこと、なるほどそうなのかと言う内容が盛りだくさんです
良寛と多元宇宙論
量子力学におけるシュレーディンガーの猫の問題を解決するための仮説として、エベレットの「多世界解釈」というものがあります。そのひとつの多元宇宙論(マルチバース)が、初期宇宙や宇宙の誕生を研究している科学者のあいだではかなり知られるようになっているのです。それは最新の宇宙論として注目されている「ブレーン宇宙モデル」が、 マルチバースの存在を予言しているからです。
10の200乗個の一つである私たちの宇宙には、銀河が2000億個以上有り、一つの銀河は100兆個の星々で構成され、その一つである太陽の第三惑星に私たちは住んでいる。何とちっぽけな存在だろう。良寛さんは沫雪(あわゆき)の中に多重宇宙を見たが、実際にもこの宇宙は(11次元から見て)「泡」の膜であったとは。