相関関係と因果関係

「日教組(日本教職員組合)の強いところは学力が低いんじゃないか」――文部科学相時代に全国学力調査を提案した中山国土交通相が、テストで何を調べたかったかについて、こんな「本音」を明かした。「現にそうだよ。調べてごらん」。

この国はびっくりするような人が大臣になるんですね。漫画オタクの総理が任命したのですからこの程度で驚いていてはいけないのかもしれませんが。

日教組が強い=子供の学力が低い、しかし日教組の組織率は戦後ずっと低下し続けています。
* 1958年(昭和33年):86.3%(調査開始時)
* 2003年(平成15年):30.4%、76単組、組合員数約31万8000~33万人
* 2004年(平成16年):29.9%、76単組、組合員数約31~32万2000人
* 2006年(平成18年):28.8%、76単組、組合員数約29万6000人
* 2007年(平成19年):28.3%、76単組、組合員数約29万人

ということは、中山説に従えば、子供の学力は戦後ずっと増加傾向になければなりません。世界水準に比べて学力が低いということが、学力テスト実施の理由だったこととも矛盾します。

「中山氏の出身地で選挙区でもある宮崎は、小6の2科目と中3の全科目が全国平均を上回るまずまずの成績で、組織率は1割未満」ですから、中山説に合致しています。香川県も同様。

「小6の全科目でトップ、中3もすべて上位3位に入った秋田の組織率は5割以上。組織率が9割近くと全国トップを誇る福井は、中3の3科目で1位だった。」(朝日新聞) 富山・愛知なども同様に中山説にあいません。

全県でみると、約半分が中山説どおりですが、半分は中山説を裏切っています。こうしたとき統計的には「相関がない」というのですが、かの大臣は文部科学大臣をやってはいましたが科学的思考方法は持っていないらしい。

仮に組織率と学力に相関があったとしても、「相関がある=因果関係がある」 ということではありません。

三笠フーズの「事故米」に含まれているアフラトキシンが猛毒で肝臓ガンを誘発する。事故米は西日本に多くて、しかも事故米が流通していたらしい10数年前から急増している。したがって、西日本に肝臓ガンが多いのは事故米を食べた人が多いからである。こうした情報がインターネットで盛んに流されていました。たとえばここ。

確かに「相関」はありそうですが、西日本にはC型ウィルスによる肝炎が多く、肝炎は肝臓ガンになる確率が高いのです。しかもC型肝炎の患者も同じ時期から増加している。つまり、相関のある因子が他にもあり得るということです。

中山大臣は、相関がないのにあると間違って主張し、相関と因果関係を混同しているという二重の誤りを犯しています。しかもその誤りにまだ気づいていない様子ですから、恐れ入ります。もしかすると、この大臣、自分の学力が低いのは日教組のせいだと言いたかったのかもしれませんが、それは見当外れというものでしょう。いっそのこと大臣の学力テストをやってみればおもしろいなと思うこの頃です。大臣の発言を聞いた文科省役人の発言  「もう、免疫はできていますから」だって。

自分の説を裏付けるデータだけを取り出して評価するという例は、ガンのサプリメントにもよく見かけます。「○○でガンが消えた」等もこの類です。


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