サイモントン博士の講演会

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権現堂堤の桜(1)
菜の花と桜を撮ってやろうと、朝の4時に自宅を出発して幸手市の権現堂堤に出かけました。何回かに分けて紹介します。


サイモントン博士の講演会に行きました。写真で見るよりご高齢で、杖をついての登壇でした。
「治癒への道」で必要なことは、幸せを感じて生きる、その日を精一杯生きること。その話しの中で、博士は自宅でポメラニアンを飼っているそうで、長期の海外講演から帰ってくると、妻・息子・孫たちはみんな忙しくて立ち働いているが、「ポメラニアンの彼女だけはただただ嬉しそうにしっぽを振って喜びを表現してくれる。こんなに長くほったらかしにして等という恨みや素振りはみじんも見せません。」と博士の生きる喜びを紹介してくれました。

小鳥・草花は「ただ生きている」 。死ぬかもしれないなどと悩んだりはしない。毎日が楽しそうに「いのち」を謳歌している。博士のポメラニアンに限らず、我が家のヨークシャーテリアも、本当に嬉しそうに腰の全体を使って短いしっぽを振ります。

「私は立派な仕事をやってきたと思っているが、しかし仏教などの東洋思想ではすでに私がやってきたことを数千年も前に確立している。」 瞑想や禅においては、病気はすべて心が原因だとして、深いリラクゼーションに導くことで病を治癒しようとしている。

現代社会とストレス (叢書・ウニベルシタス)心が生かし心が殺す―ストレスの心身医学

ストレスと病気の関係は、ハンス・セリエの古典的労作『現代社会とストレス』で科学的根拠を与えられたのはご承知の通り。ケネス・ペルティエの『心が生かし、心が殺す』は、ストレスと病気の関係、パーソナリティと病気の関係(例えば癌を作るパーソナリティ)を具体的なデータで論証していて、またストレスへの対処方法についても瞑想法・自律訓練法・バイオフィードバックなどを取り上げて説明しています。サイモントンの『がんのセルフ・コントロール』を読むときの科学的根拠として補ってやればより理解が深まるでしょう。

「希望を持つ」ということは大事なことだが、ややもすると希望ではなく「執着」になってしまう。「私の癌は治癒するだろう」と希望するのはよい。治癒しないかもしれないが、希望を持とうということ。「私は癌を治す」さらには、「私は癌を治さねばならない」「絶対に治してみせる」となると「執着」だ。一見ポジティブシンキングで、こちらの方がより積極的で良さそうに見えるが、自分の希望=執着がかなわなくなったときにポジティブシンキングは脆いのです。

老子の言葉に「勝とうとしなければ負けることはない」というのがあります。癌の治療にも同じことが言えるということです。「何が何でも癌に勝ってやる」という闘争心は、ちょっと躓いたときに疑心暗鬼になりやすい。「今の治療法で大丈夫だろうか。なにか魔法の特効薬があるのではないか。気持ちで癌が治るはずがない」ということになります。

「そうか、勝とうとしなければ良いのだな。よし、今日から勝つという気持ちは捨てよう。そうすれば癌が治るに違いない」 このように考えたら、あなたは既に取り逃がしています。
勝つか、治るかどうかは「成り行き」なんです。成り行きだから目標にしてはいけない。目標にすることは「執着」することです。また、「勝とうとするな」というのは、現代医学をすべて拒否して、心のあり方や食事療法などの代替医療で治そうというのではありません。ここは微妙なところです。治す努力はしなければなりません。しかしそれだけに執着しては治るものも治らなくなるのです。

癌に勝つとか負けるとか、そんなことから心を遠ざけて、今生きていることに感謝して喜びとともに過ごすことです。負けるかもしれません。明日死ぬかもしれません。それでいいじゃないか。というのがサイモントンでありペルティエであり、老子、仏陀、道元、良寛などです。洋の東西を問わずに偉大なマスターはみんな同じことを言っているのです。

奇跡的治癒とはなにか―外科医が学んだ生還者たちの難病克服の秘訣

そして、癌の奇跡的治癒あるいは自然退縮が起きた患者の多くに、こうした『実存的転換』が起こっているのだという報告が、『ガンになりやすい性格―奇跡的にガンを自然退縮させた実例集 (主婦の友健康ブックス)
』(中川俊二)や『奇跡的治癒とはなにか―外科医が学んだ生還者たちの難病克服の秘訣
』(バーニー・シーゲル)などに紹介されています。中川俊二さんは日本における心身医学の先人である池見酉次郎先生の元で研究していた医者ですが、ご自身が胃がんになられて、それを契機に自然治癒例に興味を持って研究されたという方です。「実存的転換」の意味は中川俊二さんの言葉を借りると、今までの生活を心機一転し、新しい対象を発見し、満足感を見出し、生活を是正するとともに残された生涯の一日一日を前向きに行動しようとするあり方です。

私がこのブログで「生かされるままに生きよう」とか、「がんとは闘え、しかし死とは闘うな」とか書いているのも同じことの別の表現なのです。


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サイモントン博士の講演会” に対して6件のコメントがあります。

  1. kathy より:

    引用させていただきました。
    ありがとうございました。

  2. kathy より:

    すみません。
    3000円はベルティエではなく、中川さんの、「癌になりやすい性格」の間違いでした。

  3. kathy より:

    ありがとうございました。
    それにしても、ここで紹介されているからなのか、ベルティエの本が古本で3000円になっていますねえ。買うかどうか、ちょっと考えてしまいます。

  4. キノシタ より:

    kathyさん。ブログも拝見しました。有機無農薬にはこだわっていません。昨年までは福島産の有機無農薬玄米を購入していましたが、3.11以後は長野産の普通の玄米です。
    チェロでガンが治った話は聞きますね。音楽療法という言葉もありますから、何らかの効果はあるのでしょう。共通点は楽しいことをする、正しい死生観を持つ、こんなところにあるのではないでしょうか。

  5. kathy より:

    過去のブログ、いろいろ読ませていただいています。
    特にこの死生観と放射能の話はとても参考になりました。
    近いうちに私のブログで引用させていただきたいと思っています。
    ところで、玄米魚菜食ということですが、有機無農薬にはこだわっていらっしゃるのでしょうか。

  6. 茶長 より:

    サイモントン博士の講演内容を掲載して頂きまして ありがとうございます。
    とても参考になりました。
    何かと落ち込むことも多いですが、癌や怪我を通して 未だに成長し続けていることを喜んでおります。
    こうして 新しいことを学んだり知ることができるのは 本当に楽しいです。
    いつもステキなブログを ありがとうございます♪

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