LAK療法は金と命を奪う詐欺

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権現堂堤の桜(6)


LAK療法(活性化自己リンパ球療法)について、インターネットで検索するとたくさんの病院が実施していることが分かります。費用は1クール(6ないし12回)で140万円~260万円というのが多いようです。

LAK療法は免疫療法の一種で、その中でも「非特異的癌免疫療法」に分類されます。

自然免疫を主に利用した療法を非特異的癌免疫療法と呼んでいます。生体が本来持っている自然免疫を高めたり、補ってやることで、癌の増殖をくいとめる、あ
るいは癌の転移・再発を抑えることを目的とした治療です。1970年代から行なわれてきた古典的な治療が多いのですが、有効な治療成績が得られたものは少
ないのが現状です。
膀胱癌に対する膀胱内BCG注入、悪性黒色腫(皮膚癌の一種)や腎臓癌に対するインターフェロン療法やサイトカイン療法(IL-2な
ど)、肝細胞癌に対する非特異的活性化自己リンパ球移入療法が、治療成績が示された代表的な治療法です。
しかし大部分の癌に対しては、非特異的癌免疫療法が有効であることを示す治療成績は残念ながらありません。
元来、癌は自然免疫の攻撃を逃れて増殖してきているので、自然免疫を利用した非特異的癌免疫療法だけでは、癌の増殖を抑えるのは不充分ではないかと考えられます。

このように、有効性のない免疫療法を、さもあらゆる癌に有効であるかのように、藁をもつかみたい癌患者を食い物にしている医療機関がたくさんあるので、「藁(丸太だと宣伝すること多し)のつもりで掴んだら蛇だった」ということにならないように注意しなければなりません。

活性化自己リンパ球療法では、このブログからもリンクしている膵臓がんが自然緩解したという加藤一郎さんのHPにも愉快な経験が書かれていました。

会社の休み時間を利用して、まず「西新宿のとある病院」に電話をする。
電話口に出た受付の女性の口調は、医療関係の知識があるタイプに思えなかった。
しかし必死に状況を説明して、私はすぐに予約を取ろうとした。
ところが受付の女性は、来院する前にビデオを見るようにと言う。
宅急便で送ると言ってくる。しかもビデオは有料だと言うのだ。
癌およびリンパ球療法に関しては充分勉強していますのでと、私は一旦断った。
だが、折に触れてビデオの鑑賞を勧めてくる。なんだか違和感を感じた。
最後に、医院長の方から私の携帯に後で電話を掛けてくれると言う。
私は症状を前もって聞いてくれるのだと少し信頼感を戻した。

が、その直後受付の女性が言い放ったのだ。「コレクトコールでよろしいですね?」
私は唖然としたが、とりあえず承諾した。

しかし、どうも気になるのでインターネットで再度調べてみると、
案の定、この病院はいろいろなページであまり評判が良くない。
そういう目でこの病院のホームページを調べ直してみると、
名誉院長なる人物の写真が、いろいろな勲章や賞状と一緒に誇らしげに掲載されている。
自分の権威を一生懸命誇示しているとしか思えなかった。“医は仁術”という世界からかけ離れている。
これはまずい。直ぐにキャンセルの電話をし、院長からのコレクトコールも断った。
にもかかわらず30分ほどしてから、しかも会社の会議中に私の携帯が鳴った。(コレクトコールである)笑

「名誉医院長で医学博士のSだが。膵臓癌だそうだな。」
ううっ、勘弁してよ。(苦笑)

自分のことを、肩書き並べて名乗る人が世の中にいるのが信じられなかった。
「申し訳ありません、受付の方には既にキャンセルをしたのですが・・・。
実は、私は急遽東京を離れることになったので、この話は無かったことにして頂けますか。」
私は咄嗟に言い逃れをした。
「何故、東京を離れるのかね?」
不愉快になるほど横柄な口調である。
「それはプライベートな事なので話せません。」
「そう。」ガチャ。
思いっきり受話器を切る音がした。

この部分は何度読んでも笑ってしまいます。この程度の人物がやっている治療法ですから、その結果は推して知るべしです。つまりは丸太に見せかけて蛇を掴ませようという魂胆。

もうひとつLAK療法に関して「異端医師の独り言」から紹介します。LAK療法を考案したS.A.Rosenberg氏はNIH(国立衛生研究所)の外科部長で、レーガン元大統領の主治医でもあったのですが、

20人の末期がん患者を対象に臨床試験が許可された。一人目の患者、悪性黒色腫を患った若い女性が「LAKと
IL2併用療法」で治癒した。彼女が美人で、はつらつとした性格の持ち主だったこともあり、全米が騒然となった。当時のレーガン大統領が「10人治癒させ
たら、いくらでも研究費を拠出する」と公約した。
Rosenbergは、しばしばテレビに出演し、Times誌の表紙も飾った。しかし、彼は一貫して「決して魔法の弾丸でないこと」「臨床試験は、まだ始
まったばかり」と謙虚な態度をとり続けた。その後、Rosenbergのグループは、多くの末期患者を対象とし「LAKにIL2やインターフェロンを組み
合わせた療法」を試みたが、無効と判明したため、プロジェクトは解散した

LAK療法の考案者が「無効」だと結論したものを、日本ではいまだに大々的に宣伝して治療しているのですね。試験管で簡単に3日間培養液のなかに入れておけばよいのですから、簡単な設備で商売が始められます。相手は末期がん患者ですから、効果がなくても死ぬ運命だと本人が考えてくれます。何人かに一人でもプラシーボ効果で治った(改善した)患者が出ればしめたもの。宣伝材料が増えます。

振り込め詐欺はお金だけを盗っていくのですが、LAK療法はお金と命の両方を奪います。これを詐欺といわなければ世の中に詐欺は存在しません。


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LAK療法は金と命を奪う詐欺” に対して1件のコメントがあります。

  1. より:

    通りすがりの医師です。
    仰るとおり、基本的に免疫療法は現在のところ、詐欺以外の何者でもありません。
    しかも、藁をもすがる患者さんから巻き上げる、極悪な詐欺です。
    もちろん、大学などで治験をしています。それは立派な研究で、研究する価値はあります。いい成績は出ていないようですが。。。
    ですが、民間で勝手にやっている医者はほんとろくなものではありません。
    まともな医者からすれば、法律に触れていると思います。自分も効かないのわかってるはずですから。
    さらにマスコミも悪い。何もしらないくせに、そこら辺の医者を「癌をあきらめない医者」みたいな形で宣伝してます。そんな、悪い開業医がうさんくさい治療で、末期癌治せるなら世界中で必死に研究してる人たちはなんなんだって話です。
    あなたの指摘は正しいです。総合病院のたいていの医者は、私利私欲はほぼありません。もちろん、外科医は切る方がいいと考えがちだったりと、好みはありますので、いろんな先生に相談することは正しいと思います。でも、開業医みたいなお金にしか興味ない人間に癌の治療などできません。

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