インクレチン関連薬(DPP-4)で膵前がん病変の疑い:FDA


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昨日は糖尿病専門医の先生の診察でした。自己血糖値測定グラフを見せたら苦笑いしていました。膵頭部しかない患者が比較的楽にコントロールしていることを、いつものことですが、ぶつぶつと言いながら首をかしげていました。良くコントロールできているということで、アマリールも半分で継続することに。

DPP-4阻害薬も勧められたのですが、即座に断りました。半年以上も前から同じ問答を繰り返しているのですが、「この薬は服用しない」という私の意志が硬いので、「まぁ、新しい薬にはどんなリスクがあるか分からないからねぇ」と、しぶしぶ納得された様子でした。(リスクがあるのですよ!)

インクレチン関連薬(DPP-4)とは、消化管から分泌されるホルモンの総称である「インクレチン」の分泌をうながす薬です。この薬の特徴は血糖値依存性、つまり体内の血糖値が高いときだけ効果があり低血糖になりにくいのです。この薬、実はアメリカの砂漠に住むトカゲの研究から生まれたのです。「アメリカドクトカゲ」は、エサを大量に食べても血糖値がまったく上昇しないという、不思議な体の仕組みをもっているんです。

下の図にあるように、飲み薬のDPP-4は現在4種類が販売されています。

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2010年にはNHK「ためしてガッテン」でも、いかにも”夢の新薬”であるかのように紹介されました。糖尿病専門医の多くも期待をしている薬ですから、すでにたくさんの方が服用しているのでしょう。

しかし、”画期的な新薬”では良いことばかりが宣伝され、しばらくしてから思わぬ副作用が分かるという事例がたくさんあります。DDP-4ではどうでしょうか?

3月15日に、医師のための情報サイト「MT Pro」にこのような記事が掲載されました。

Imageyositakapc005慎重な書き方ですが、肝臓がんや膀胱がんの増加が以前から指摘されていました。それをアメリカ食品医薬品局(FDA)も無視できなくなったということでしょう。同じ日の日経メディカルにも「糖尿病:DPP4阻害薬の合剤が主流に」と題した記事があります。

(DPP阻害薬の合剤)ピオグリタゾンについては、2011年にフランスの疫学研究で膀胱癌の発生リスク増加が報告された。糖尿病薬合剤は4剤中3剤がピオグリタゾンの合剤であり、現時点では副作用の観点から合剤の積極処方を控える医師も少なくない。

エビデンスの構築が課題
糖尿病薬についてはエビデンスの構築も大きな課題。降圧薬やスタチンの心血管イベント抑制効果のような、生命予後への影響を示す明確なエビデンスはまだない。DPP-4阻害薬について言えば、併用療法はおろか単剤での有効性も明らかではない。

えっ、
エビデンスのない薬が糖尿病治療の第一選択肢になろうとしている、とはどういうことだ!
しかも、製薬企業寄りとも言われる日経メディカルの記事だ。さらには、膵前がん病変のリスクもあるとFDAが疑っている。これは相当に確からしいリスクがあるということでしょう。

膵臓がん患者では糖尿病を併発しやすい。血糖値の管理には皆さん苦労しています。全摘した方はインスリン注射が欠かせない。DPP-4阻害剤を服用すれば膵がんの再発・転移のリスクが高くなる恐れが相当の程度あるのです。

このような指摘は以前からあり、例えばこちらの「井蛙内科開業医」のブログでは2011年に『インクレチン関連薬と膵炎』として詳しく書かれています。

今回の論文は,米食品医薬品局(FDA)のデータベースの情報を利用したものであり,ラストオーサーであるカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のPeter C. Butler氏は米国糖尿病学会(ADA)の機関誌Diabetesの編集長(Editor in Chief)でもある重鎮である。

より客観性を持ってインクレチン関連薬(中でも米国での上市が早かったエキセナチドとシタグリプチン)と有害作用(特に,膵炎,膵がん,甲状腺がん,その他のすべてのがんを着目イベントとして設定した)との関連を検討すべく本研究は行われた。

膵炎については,エキセナチドでオッズ比11.76(95%CI 8.52~16.6,P=2×10-16),シタグリプチンで同6.86(4.68~10.2,P=2×10-16)で,対照薬より報告頻度が有意に高くなっていた。

さらに,膵炎は膵がんのリスク因子であるため,膵がんについても検討したところ,エキセナチドでオッズ比2.9(P=2×10-4),シタグリプチンで同2.4(P=0.033)と報告頻度が高くなっていた。

本研究の結果だけでインクレチン関連薬と膵炎や膵がん,甲状腺がん,あるいはその他のがんとの因果関係が証明されたわけではない。
しかし,インクレチン関連薬を使用する際には,これまで以上に膵炎や悪性腫瘍への監視が必要であるものと,われわれは認識すべきなのであろう。

2010年には、薬害オンブズパーソン会議が厚生労働大臣に宛てて「糖尿病治療薬インクレチン関連薬に関する要望書」を提出しています。要望書では、インクレチン関連薬はSU剤との併用で重篤な低血糖が起きるとされているが、実はインクレチン関連薬単独でも、2009年10月16日(承認日)から2010年4月14日までの間に、低血糖症の副作用例数が94例、そのうち重篤な低血糖症の副作用例数28例(うち意識消失例は8例)が報告されているとして、安全調査を要望しています。

最後に2012年1月発行の『薬のチェックは命のチェック 第45号 特集:糖尿病 パート2
』から紹介しておきます。

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インクレチン関連薬は免疫機能を低下させ、発がんに関係していると言われるインスリン様成長因子(IGF-1)、免疫調整、炎症に関係するサイトカインの分泌とも関係しています。牛乳消費量の多いアメリカでは、牛乳に多く含まれるIGF-1の発がん性が問題になっています。「牛乳とがん、老化の話」

血糖値の管理は食事療法と運動を基本にし、どうしても管理できないときにだけ最小限の薬を使う。新薬にはうかつに手を出さない。私も糖質制限食と運動で管理し、ゆくゆくはアマリールも止めることも目標にしています。

膵がんの後遺症の治療薬で、膵がんが再発・転移したら笑い話にもならない。

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インクレチン関連薬(DPP-4)で膵前がん病変の疑い:FDA” に対して1件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    ルバーブさん。
    ローカーボのブログですね。
    私の記事、役立つようならご自由にお使いください。著作権は放棄しております。
    江部先生のブログに糖尿病学会の提言に対する「反論」がアップされています。ご参考までに。
    http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2456.html
    http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2457.html
    http://koujiebe.blog95.fc2.com/blog-entry-2458.html
    逆に糖尿病学会に対して、江部先生から「提言」を出しています。

  2. ルバーブ より:

     3月糖尿病学会の提言に<総エネルギー摂取量を制限せずに、炭水化物のみを極端に制限して減量を図ることは、その本来の効果のみならず、長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保するエビデンスが不足しており、現時点では薦められない>とあるそうですが、実際は本記事の< エビデンスのない薬が糖尿病治療の第一選択肢になろうとしている、とはどういうことだ>という状況なのですね。なんとも酷い話です。
     今日のお話私のブログで紹介させていただいてよろしいでしょうか。

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