東京新聞社説「出発点が間違っている」

9/21の「おかしなことばかり」に消費税のことを書いたのだが、東京新聞の9/26付社説「復興法人税問題 出発点が間違っている」が、私の言いたかったことを、より的確に指摘している。保存版としてアップします。

復興法人税問題 出発点が間違っている

 安倍晋三首相が復興法人税を一年前倒しで廃止する検討を指示した。消費増税した場合に景気腰折れを防ぐ経済対策の一つという。弥縫(びほう)策を重ねるよりも消費増税を先送りすれば済む話ではないか。

 法人税に上乗せした復興特別税は昨年度から三年間の時限措置だが、首相は本年度末で廃止する意向を示し「(法人税減税で)企業収益拡大を図り、賃金増や雇用増につながる景気の好循環を生み出す」と説明した。廃止による減税規模は九千億円程度。公共事業の積み増しや企業向けの投資減税と合わせ、総額五兆円に上る経済対策の柱という位置付けだそうだ。

 おかしな話である。消費税を3%引き上げると国民負担は八兆円も増える。国内総生産(GDP)の六割を占める個人消費が大きく落ち込む見通しなのだから、法人税を数%引き下げたところで企業は雇用を増やしたり賃金を上げるだろうか。積極的に設備投資をするだろうか。

 そもそも五兆円もの経済対策が必要になるなら、それは消費増税法の景気条項で定めた、引き上げの条件である「経済の好転」とまではいえないはずだ。腰折れの懸念がある状況では増税をすべきではないのである。安倍首相はデフレ脱却を最優先に掲げるならば、消費増税を先送りすべきだろう。

 この「出発点」で誤った方向に向かっているから、泥縄式に数字合わせのような対策づくりに追われている。3%の引き上げは経済へのショックが大きすぎて一九九七年の消費増税ショックの再現になりかねない。ならば2%に相当する五兆円規模の対策が必要だろうと、数字が先にありきなのだ。

 中身も、右手で消費増税しながら、左手では公共事業でバラまくといった最悪の財政政策である。増税の趣旨と異なり、財政再建にも逆行する。増税が自己目的化した財務省にとっては、権力の源泉となる「配分の原資」が増えれば万々歳なのだろう。

 仮に消費増税が避けられないというならば、真っ先に行うべきは消費の落ち込みを抑える所得税減税のはずだ。復興法人税の前倒し廃止は、国民の連帯よりも企業収益の方が大事という発想である。

 たとえ代替財源があっても国民の理解は到底得られまい。経団連会長は「非常に喜ばしい」と歓迎の意を示したが、志の低さを恥ずべきである。こんな経済対策をしてまで消費増税はすべきなのか。

付け加えるとしたら、大企業の貯め込んだ内部留保を賃上げに回せ。各種の優遇税制でほとんど法人税を納めていないところから、適切に取れ。ということでしょうか。


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