がんは休暇

GWも終わったけど、今年は9月の五連休の他、三連休がいくつかある。7月の連休には小樽に美味しい魚を食べに行く計画を立てている。魚を食うためだけに飛行機で!それはリッチだ、と思われそうだが、娘のマイルが期限切れになりそうなので、われわれ夫婦を招待してくれるという嬉しい話だ。もちろん旅館代と食事代はこちら持ち。

そもそも休暇とはなにか? 日常から離れてちがう環境で過ごすことだ。しなければならないことを忘れて、したいことだけをする。そのためには、青森の青荷温泉のように、電気の来ていないランプだけの宿の方が良いかも知れない。もちろん携帯電話の電波も届かない方が良い。そこまで徹底はできないが、日常の”しなくてはならないこと”は置いていこう。

がんになる前の私、つまり身体は健康だが、心は弱かった頃の私は、休暇の旅先でも欲張って目一杯観光地を回ろうとしていた。温泉に浸かりながら仕事が恋しくなったり、ToDoリストが瞼の裏にちらちらしていた。「休暇は、疲れた心をいやして、明日への活力を取りもどす」手段だという、世間一般の”常識的な”考えに疑問を持たなかった。「今日は明日のための準備期間」という考えでは本当の休暇になるはずもない。

がんになってからは、こうした考えを変えた。いや、変えようと努めている。自分にはやるべき仕事、闘うべき敵があり、己の価値を皆に証明しなければならない。休んでいる暇などないと思い込んでいた。

しかし、がんになってみれば、まして予後の悪い「がんの王様」膵臓がんとなれば、そうしたことにいかほどの価値があるのかと思うようになった。

今も仕事はしているが、自分がやるだけの価値のあると思える仕事しかしない。ま、それで済んでいるのは、いい会社からだろう。だから、仕事はしていても心は「休暇中」である。職場にいても他人の目からは自由である。自分自身による決めつけからも自由である。定年も過ぎているから、いつでも不要となればおさらばする気でいるから気持ちは軽い。

ランプではなく、電気もパソコンも携帯電話もあるが、がん患者だから、私は今休暇中である。


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がんは休暇” に対して1件のコメントがあります。

  1. 金魚 より:

    キノシタ さま
    小樽良いですね~羨ましいです。。。
    でも、私も週末パンダ見に南紀に参ります。
    友人が車で連れて行ってくれるというので・・・台風がちょっと心配ですが、楽しんで来ます。
    食べ過ぎ注意ですね!

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