膵臓がん患者の火葬場から放射線が検出される

気になる記事を見つけました。

「放射線治療を受けたがん患者の火葬場から放射線が検出される」

アリゾナ州で放射線治療を受けたがん患者さんを荼毘に付した後の火葬場から、海抜0mの放射線量の200倍近い放射線が検出され、メイヨークリニックが結果を米国医師会雑誌(JAMA )に発表しました。

調査対象の男性(69)は生前、特殊なタイプの腫瘍のすい臓がんを患っていた、ということです。それで放射性のあるルテシウムドタテート 177(Lu-177)の静脈注射を受けていました。

とのことです。この「特殊なタイプの腫瘍のすい臓がん」とは、膵神経内分泌腫瘍(PNET)を含む消化管神経内分泌腫瘍(GEP-NET)のことでしょう。

昨年の1月にパンキャンのサイトに関連した記事が掲載されています。

「米国医薬食品局(FDA)は膵臓神経内分泌腫瘍に対する核医薬品ルタセラ(Lutathera®)を承認」

ルタセラはペプチド受容体放射性核種療法(Peptide Receptor Radionucleid Therapy:PRRT)に使われ、その劇的な効果からNew England Journal of Medicineにて紹介されました。

実際に、臨床試験でルタセラを投与された患者は、オクトレオチド単独で治療された患者と比較して、疾患の進行または死亡リスクが79%低下しました。

Lu-177(ルテチウム177)は、半減期6.65日のベータ崩壊する放射性同位元素です。ベータ線は飛ぶ距離は数mmと短いので、がん細胞だけを破壊することができ、正常な細胞にはあまり影響を与えません。

火葬場から放射線とは言っても、ベータ線ですから、1mも離れればまったく心配の要らないほどなのですが、ニュースとしては面白いのでしょうね。

このPRRT療法については、パンキャンが早期に承認をするように厚生労働省に働きかけています。

しかし、最初に記事にもあるように、放射性同位元素であるLu-177を静脈注射するので、24時間は遮蔽され隔離された特殊な部屋に入り、放射能が減衰するのを待ってからでないと退院できません。

そのような設備を持った病院が少ないこと、またあったとしても、テクネチウム-99mなど他の核種を使用する患者さんも多いので、順番待ちになるようです。日本核医学会が次のようなマニュアルを出しています。

Lu-177-DOTA-TATEの適正使用に関する報告書と適正使用マニュアル(第2版)

第一に病院又は診療所内の病室に入院している本剤投与患者以外の患者の被ばくする放射線(診療により被ばくする放射線を除く。)の実効線量が 3 月間につき 1.3mSv を超えないことが担保される措置を講じる必要がある。

私も直腸がんの手術を受けた時に、テクネチウム99mの投与をされ、遮蔽された部屋に3日間隔離されたことがあります。この部屋のトイレの配水管は別系統になっていて、糞尿は放射性廃棄物として処理されると聞きました。

むしろ、PET検査を受けた後のほうが怖いですね。患者はそのまま電車に乗って帰るのでしょうが、妊婦さんに近くには乗らない方が良いですよ。こちらはガンマ線ですから、身体からは結構な量が放射されています。

PET検査後に、私の体から出ている放射線を測定したことがありますが、GMサーベーメータなら振り切れてしまいます。電離箱式サーベーメータでの測定値は80~90μSv/h にもなりました。術後1年で再発の疑いを指摘された10年前のことですが、こんなことをして遊んでいましたね。今では懐かしい。

PRRT療法は、日本において単施設(横浜市立大学附属病院)で、NET患者を対象にした第1相試験が開始され、いままではドイツ、スイスなどまで行かなければならなかったPRRT療法が国内で受けられる日が刻々と近づいてきました。

臨床試験も進んでいるようですから、この効果が有望視される治療法が、一日でも早く患者にとどくことを期待しています。


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