玉川温泉「北投石」岩盤浴は詐欺
「わが街に”玉川温泉”がやってくる!!」のキャッチフレーズで、
新聞折込でこのようなチラシが入っていました。
「奇跡の温泉 秋田 玉川温泉」
がん患者や難病を持つ人を対象に、このような詐欺がいまだに続いているのですね。
15分の「北投石」の岩盤浴の無料体験だそうです。

玉川温泉に関しては、以前にも記事として書いています。
このチラシの「北投石」が特別天然記念物であるとの部分だけは、概ね妥当です。
北投石は、世界でも台湾の北投温泉と秋田県の玉川温泉でのみ産出する、大変希少な鉱物です。
主な特徴
- 放射線:微量のラジウムを含んでいるため、自然放射線を発しています。この放射線が、微量であれば体に良い影響を与えるという「ホルミシス効果」への期待から注目されています。ただし、放射線量は微量であり、通常は人体に有害なレベルではありません。
- 生成:温泉の沈殿物が長い年月をかけて堆積してできたものです。その成長速度は非常に遅く、1年に0.1~0.2mm程度と言われています。
- 成分:主に硫酸バリウム(BaSO₄)と硫酸鉛(PbSO₄)からなる固溶体で、学術的には「含鉛重晶石」と呼ばれます。その他、ストロンチウム(Sr)、カルシウム(Ca)、鉄(Fe)なども含んでいます。
- 外観:鉛を多く含む褐色や、ラジウムを含む白色の層が交互に重なった縞模様が見られることがあります。
- 希少性:世界で2箇所のみという産地の限定性から、非常に希少価値が高い鉱物です。特に玉川温泉の北投石は、現在では国の特別天然記念物に指定されており、採掘は禁止されています。
しかし、それ以降の部分
北投石の最大の特徴は、ウラン系列のラジウムを含み、常に微量の放射線を発しているところにあります。
ウラン系列の北投石は、ラドン222を放出するため、他のラドン温泉に比べると放射線ホルミシス効果が高く、多くの難病患者の治療に効果をもたらしてきたと言われています。
次の点で誤解を与えています。
- 「北投石」は鉱物としては貴重な存在ですが、ラジウムを含むのは「北投石」だけではありません。多くの温泉でラジウムの含有が確認されています。
- ウラン系列のラジウム226は、α線を放出して、さらに気体であるラドン222を放出します。「北投石」だけがラドン222を放出するわけではありません。
- ラドン222の放出量としては三朝温泉のほうが多いと思われます。
- ラドン222は気体であり、肺に吸い込まれると更に放射線を出して最終的には安定な鉛206になります。その過程で多くのα線、β線、ガンマ線を出すため、肺癌の原因となります。
- 実際にアメリカでは屋内のラドン222濃度が高いため肺癌の大きな原因であり、規制がされています。
- 放射線ホルミシス効果についても、今では否定されています。

いずれにしろ、岩盤浴でがんが治ることはありません。
含有するラドンなども微量ですから、健康への影響はないでしょう(当然病気を治すほどの量ではありません)
詐欺に遭わないようにご注意ください。
我が街には「黒湯」で有名な「多摩川温泉」があります。こちらも健康に良いと言われる大衆浴場です。