その治療、本当に大丈夫? がんの自由診療クリニックに潜む危険性

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「がん遺伝子治療」に初の措置命令–毎日新聞が報じています。

報道を機に、改めてがんの自由診療について考えてみます。

「がん」という診断は、患者さん本人だけでなく、ご家族にとっても、人生を揺るがす大きな出来事です。告知を受けた方の多くが、絶望や不安の中で、少しでも効果のある治療法はないかと情報を探し求めます。手術、抗がん剤、放射線治療といった「標準治療」で思うような効果が得られなかったり、「もう治療法がない」と告げられたりした時、その切実な思いはさらに強くなるでしょう。

そんな時、インターネットで目にする「最新のがん治療」「副作用のない夢の治療法」といった言葉は、まさに希望の光のように見えるかもしれません。しかし、その光に安易に飛びつく前によく考えてみてください。その多くは「自由診療」と呼ばれる、公的医療保険が適用されない治療法です。

今回は、藁にもすがる思いの患者さんを惑わせかねない、がんの自由診療が抱える問題点について、具体的な事例を交えながら警鐘を鳴らしたいと思います。

「標準治療」と「自由診療」決定的で大きな違い

まず、がん治療における「標準治療」と「自由診療」の違いを正確に理解することが重要です。

  • 標準治療:
    科学的なデータに基づき、多くの臨床試験を重ねて、有効性と安全性が国によって認められた治療法です。がんの種類や進行度に応じて、現時点で最も推奨される治療として、世界中の専門家によって合意されています。もちろん健康保険が適用されます。
  • 自由診療:
    国が有効性や安全性をまだ承認していない治療や薬剤を用いる医療行為です。全額が自己負担となり、時には数百万円から数千万円という高額な費用がかかります。

もちろん、自由診療のすべてが悪というわけではありません。国内未承認でも海外で実績のある治療や、将来的に標準治療となる可能性を秘めた先進的な治療も含まれます。しかし、がん治療の領域においては、その多くが科学的根拠(エビデンス)に乏しいのが実情です。

自由診療に潜む「3つの落とし穴」

なぜ、がんの自由診療には慎重になるべきなのでしょうか。そこには見過ごすことのできない、3つの大きな落とし穴があります。

1. 科学的根拠(エビデンス)が乏しい
「独自の免疫療法」「最先端の遺伝子治療」など、魅力的な名前がつけられた治療法の多くは、その効果が科学的に証明されていません。「個人の体験談」や「著しい改善例」がクリニックのウェブサイトで紹介されていても、それが本当にその治療のおかげなのか、客観的なデータがない限り判断できません。

2. 高額な治療費による経済的破綻
自由診療は、まさに「言い値」です。効果が不確かな治療に対して、数百万円もの大金を支払った結果、経済的に困窮し、その後の生活や本来受けるべきだった治療にまで影響を及ぼすケースが後を絶ちません。患者さんの「命には代えられない」という心理につけ込み、高額な契約を結ばせる悪質なクリニックも存在します。

3. 「標準治療」を受ける機会の損失
これが最も深刻なリスクです。効果の不確かな自由診療に時間とお金を費やしている間に、病状が進行してしまい、本来であれば効果が見込めたはずの標準治療を受けるタイミングを逸してしまうことがあります。取り返しのつかない事態を招きかねない、最大のデメリットと言えるでしょう。

あるクリニックの事例:法令違反で「がん遺伝子治療」が停止に

ここで、上にも挙げた具体的な事例を一つご紹介します。
東京にある「北青山Dクリニック」は、「がん遺伝子治療」を自由診療として提供していました。[1] ウェブサイトには「標準治療適応外と診断された方」「現在の治療に有効な付加治療を受けたいとご希望の方」などを対象とすることがうたわれており、まさに困難な状況にある患者さんにとって魅力的に映るものだったかもしれません。[1]

しかし、この治療は、厚生労働省から法律(カルタヘナ法)に違反しているとの指摘を受け、クリニックは治療の一時停止を余儀なくされました。[1] クリニック側はウェブサイトで「法令遵守が担保されているとの認識でした」と釈明していますが、結果として、国の定める法律の要件を満たさないまま、未承認の治療を患者に提供していたことになります。[1]

このように、クリニック側が安全や実績をアピールしていても、その実態が法的に、あるいは医学的に見て、極めて危ういものである可能性は決してゼロではないのです。

また、このクリニックの院長阿保義久氏は、東京大学医学部卒業、腫瘍外科・血管外科医の肩書があり、Diamond オンライなどマスコミにも積極的に顔を出している方ですが、肩書だけで信用してはいけませんね。

頭頚部がんにしか認められていない「光免疫療法」まで宣伝しています。

後悔しないために。自由診療を検討する前にすべきこと

では、もし自由診療に心惹かれた時、私たちはどう行動すれば良いのでしょうか。後悔しないために、以下の4つのステップを必ず踏んでください。

  1. まずは主治医に相談する
    自由診療を検討していることを、絶対に隠さないでください。あなたの体の状態を最もよく理解しているのは、ほかでもない主治医です。その治療法が本当にあなたにとって有益なのか、専門家の視点から客観的なアドバイスをくれるはずです。
  2. 公的な情報を確認する
    クリニックのウェブサイトやパンフレットの情報だけを鵜呑みにしてはいけません。国立がん研究センターの「がん情報サービス」など、公的で信頼できる情報源で、その治療法がどのように評価されているかを確認しましょう。
  3. セカンドオピニオンを活用する
    主治医以外の専門家の意見も聞いてみましょう。複数の医師の意見を聞くことで、より多角的で冷静な判断ができるようになります。
  4. 費用と効果、リスクを天秤にかける
    その治療に一体いくらかかるのか、そして、それに見合うだけの効果が期待できるのか、冷静に考えてみてください。不確かな効果のために、家族の生活や将来まで犠牲にする覚悟があるのか、ご家族とも十分に話し合うことが不可欠です。

結論として

がんという困難な病に立ち向かう中で、あらゆる可能性に希望を託したいという気持ちは、痛いほど理解できます。しかし、その希望は、確かな科学的根拠に裏打ちされたものでなければなりません。

溢れる情報に惑わされず、まずは国の基準で有効性と安全性が認められた「標準治療」をしっかりと受けること。そして、もし自由診療を検討するのならば、決して一人で判断せず、主治医や家族とよく相談し、信頼できる情報源を基に、そのリスクと利益を徹底的に見極めることが重要です。

あなたの、そしてあなたの大切な人の命と未来を守るために、どうか冷静な判断を忘れないでください。


【参考ページ】

1.がん遺伝子治療 – 北青山Dクリニック


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