「がん緩和ケア最前線」坂井かをり著

33e06今日は茨城県まで車で日帰り出張。帰りの車中で癌研からの電話を受けた。27日に入院が決まった。あいにく差額ベッド代の要らない部屋は確保できず、5000円/日の部屋になるという。
59歳の誕生日に入院ということになった。

岩波新書の最新刊「がん緩和ケア最前線」を興味深く読んだ。癌研有明病院を一年間にわたって取材した坂井かをりさんの労作のルポである。これまでの緩和ケアあるいはホスピスは、もう治療の方法もなくなった末期がん患者が最後に過ごすところというイメージで、実際に多くのホスピスがそのような治療をしてきた。「もう治療の方法がなくなりました。緩和ケアに移ってはどうでしょうか」と退院を強制する有名大学病院が今でもあると書かれている。しかし癌研有明病院の向山医師を中心とする緩和ケアチームは、WHOの提唱する「緩和ケア」に取り組んでいるのだそうだ。


世界保健機関(WHO)は、「緩和ケアとは、治癒を目的とした治療に反応しなくなった疾患をもつ患者に対して行われる積極的で全体的な医療ケアであり、痛みのコントロール、痛み以外の諸症状のコントロール、心理的な苦痛、社会面の問題、スピリチュアルな問題の解決がもっとも重要な課題となる。緩和ケアの最終目標は、患者とその家族にとってできる限り良好な生活の質(QOL)(生活の質)を実現させることである。このような目標を持つので、緩和ケアは末期だけでなく、もっと早い病期の患者に対してもがん病変の治療と同時に適用すべき多くの利点を持っている。」と提言しています。


緩和ケアとは、図の「斜め線の概念」が示しているように、がん治療の初期から取り組むべきであり、患者の痛みが激しいときは痛みを取り除くことを優先し、痛みがなくなれば本来の治療に戻る。これにより患者の生活の質(QOL)が保障されるのだという。

いろいろな患者のエピソードが紹介されているが、ある患者の「私はこの病院に来て、治療に満足しています。私の望む治療を十分に受けているという満足感があります。今は本当に幸せです」との想いを知るだけでも十分納得できる。

2007年4月1日に施行された「がん対策基本法」でも「患者の心身の痛みを取り除く「緩和ケア」についても、「患者の状況に応じて早期から適切に行われるようにする」と定めている。住んでいる地域に寄らず、高度ながん治療を受けることができるような施策を国の責任としている。欧米では効果の確認された抗がん剤でも日本では未承認で使えないという薬がたくさんあるのだとも書かれている。私も患者の一人として、こうした遅れた行政を少しでも改善する活
動に貢献したいものだと思う。

この病院でよかった。今真実そう思う。しかし東京以外に住んでいる患者はこのようにはできない。命にも歴然とした格差がある。

入院前にやるべきことはすべてやった。後は信頼してお任せするだけだ。

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