ガンと心=癌は自分で作った

20代の頃自律訓練法をしばらくやったことがある。そのころストレスからくる執拗な不整脈に悩まされ、大学病院でも検査をし、当時としては画期的だという薬で治療をしたが全く好転しなかった。あるとき、日本における心療内科の草分け的存在である九州大学・池見酉次郎先生の著作を読んで自律訓練法の存在を知り、自分なりのやり方でしばらく治療をしてみた。

  • 気持ちがとても落ち着いている。
  • 手足が重い。
  • 手足が暖かい。
  • 心臓が静かに打っている。
  • 呼吸が楽になっている。
  • お腹が暖かい。

のように自己催眠をかけていくのだが、しばらくやっていると不思議と手足が重く感じられて、暖かくなる。暑さを感じるほどになる。そうして続けていると頑固な肩こりも軽減されて、何よりも不整脈がなくなってきた。しかし、不整脈がなくなって相変わらず以前と同じ生活・仕事態度を続けていると、また不整脈がぶり返してくる。

いくら新しい薬を飲んでも治らなかった執拗な不整脈が「心」をコントロールすることで治るという経験は、唯物論者である私には信じられなかった。しかし、『病は気から』ともいい、『心のありようが病気を作る』ということが、自分の経験から納得できたのはこの時だったような気がする。

生活習慣病といわれるが、不自然な食生活、昼夜の逆転した生活、経済万能で生きていくために必要だとも思えないいろいろな物欲に囚われて、そのために「ともかく金を稼ぐ」という生き方、それからくるストレス。これらが「生活習慣病」の原因だということは、最近の「精神神経免疫学」において科学的に立証されつつあるが、古来から人はそれを経験から知っていたと思われる。良寛や鴨長明、本阿弥光悦、蕪村に池大雅、吉田兼好。セネカにもちろん老子や釈迦、キリスト。皆同じようなことを言っている。

癌を作ったのは私である

癌細胞が外からやってきたわけではない。執拗な不整脈が起きるような人生を歩んできたのも私だし、体が「不整脈」という手紙で「このままの生活を続けたら、いずれ大病を患うようになりますよ」とありがたくも注意をしてくれたのに、若さにかまけてそれを無視してきた。いや逆に、「自分の生き方は全うで間違いないはずだ」といっそう頑張って、不整脈を治す方法=自律訓練法を探してやってみた。良くなった。また同じ生活を続けた。

8年前に直腸癌になった。幸い初期だったので転移もせずに今まで元気で来た。再び天からの「ありがたい手紙」をもらったのに、これも無視してきた。以前よりももっと頑張ってきた。「自分には厳しく、他人には優しく」。日本人はこうした考えを美徳としてきた。しかし、これは間違いだ。「自分に優しく、他人にも優しく」でなければ、いずれ「癌」という破綻がくる。

昨日アヘンチンキがなくなったので地元の医院で処方してもらった。癌の経緯を説明し、どうも再発・転位したらしいこと、これからの治療方法としてピンポイント照射を考えていることなどを説明して相談をした。「ピンポイント照射は良い選択だと思いますよ」と言われて少しほっとしたが、最後にこうおっしゃられた。

「あなたは患者としては優等生ですね。優等生過ぎます。私の前で少しは弱音を吐いたり、迷いをみせても良いのですよ。」

これには心底グサッときた。自分でも最近同じようなことを考えていたからだ。この先生は、私の人生の全体を一瞬で見通してしまった。

癌になった、でも弱音は吐かない、情報を集める、いま何がでサイモントン療法――治癒に導くがんのイメージ療法(DO
BOOKS)きるか最善の方法を探す。死ぬことなんぞは恐れない。これで間違っていないはずだと思ってきた。でも違う。こうした生き方が癌を作ったんだと気付いた。『膵臓癌は3度目のありがたい手紙』なんだと。

「手紙」の意味には気づいてはいた。だから玄米菜食に代えた。仕事もできる限り減らして残業はしないようにしてきた。任せられることは任せるようにしてきたはずだった。でもまだ足りないものがある。それは「感謝」の気持。癌になって気付かせてくれたことへの感謝、生きていることへの感謝が足りない。

「がん治癒への道―サイモントン療法の新たな展開」

癌細胞は手術や放射線で取ることができる。しかし癌は氷山に一角だ。その下に隠れている「癌になった原因」を取り除かない限り、また別の場所に転移したり、別の種類の癌になるに違いない。病院は表面の癌しか直してくれない。水面下の癌の原因を取り除くことができるのは自分だけ。その自分にないができるのかといえば、食事・生活・考え方を改めて、幸福を感じて充実感に浸れる生活に変えることだ。そのための手段としてサイモントン療法を選んでみることにした。

自律訓練法も心理療法だが、癌のための心理療法としてイモントン療法がある。アメリカの精神社会腫瘍学の権威であり精神神経免疫学の創始者、カール・サイモントンが始めた治療法だ。いま自律訓練法に代えてサイモントン療法を始めてみようかと考えている。すでにいくつかのCDは入手したので聞いてみたが、結構よい。どんな点が良いかはまた別の日に書こう。


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ガンと心=癌は自分で作った” に対して2件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    サイモントン療法の書籍では、心と身体の関係を深く考えさせられます。精神神経免疫学や最近の脳科学の進歩によって、「メッセンジャー分子」と呼ばれる神経ペプチドとレセプターが免疫システム全体を走り回って情報と知性の行き交う網の目のような経路を作っている、私たちの思考や感情はこの神経ペプチドで調整され、病気にも大きな影響を与えているようなことが明らかになってきています。
    まだまだ人間の得ている知識は、この世界の一部にしか過ぎないし、自分自身の身体のこともほとんどわかっていないようです。

  2. 小竹 より:

    いつも新鮮な刺激を与えていただいて感謝します。同年代ですので、自律訓練法はやった覚えがあります。
    サイモントという名詞は初めて聞きました。私も、本を読んで見ることにしました。

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