牛蒡子が膵臓がんに有効かも、の報道について

4月25日のよみうりオンラインで、牛蒡子が膵臓がんに有効との記事が流れた。この報道に関して、ネットでは盛んにブログが立って。私のブログ(4/9)にも陶さんがコメントとして紹介されている。

私もGoogleニュース検索で拾って知ってはいたが、何となく違和感を覚えたので紹介はしなかった。まず、読売だけの報道であり、他の新聞が追随していない。国立がんセンター東病院の院長ともあろう方が、学会発表ではなくプレスリリースで情報を出したのも変だ。

 国立がん研究センター東病院(千葉県柏市)は、漢方薬の解熱剤などに使われるゴボウの種子「牛蒡子(ごぼうし)」に、抗がん剤が効きにくい膵臓(すいぞう)がんの増殖を抑える作用があることを、マウスの実験で突き止めた。

患者を対象に臨床研究を行い、新しい治療法の実現化を目指す。

がん細胞のうち、酸素や栄養分が少ない環境で生き残るタイプは、抗がん剤が効きにくく、がん再発の原因になる。江角浩安院長らは、酸素や栄養分が少ない環境で培養したがん細胞に、牛蒡子に含まれるアルクチゲニンを加えると、がん細胞が激減することを発見。膵臓がんのマウスは通常、生後55日ですべて死ぬが、牛蒡子を1回50~100マイクロ・グラムずつ週5回投与すると、生後100日を過ぎても半数が生き残った。

江角院長は「膵臓がんの患者にも効果があるか、早く検証したい」と話している。
(2010年4月25日09時56分  読売新聞)

CiNiiで「牛蒡子」で検索すると5件ヒットした。「P-62 牛蒡子エキス中に含まれるインターロイキン6活性阻害物質 」の表題の論文もあり、炎症性疾患での牛蒡子のIr-6に関して論じている。がんとの関連もありそうだという気はする。漢方医療の分野では温熱療法の効果を高めるとの記事もある。

PabMedで「Arctium lappa L. Cancer」のキーワードでも11件ヒットした。詳細は読んでいないが乳がんという語句も見えるから、がんとの関連が研究されているようだ。とすると、国立がんセンター東病院の研究はそんなにニュースバリューのあるものかどうか疑わしい。まして試験管とマウスでの実験段階である。そんなものをマスコミに流すのは何か事情があるのかもしれない。あるいは読売が特ダネ扱いした勇み足とも考えられる。

江角浩安院長はがん研究に関して次のように考えている方である。なにはともあれ、まずは学会発表をするのが研究者としてのまっとうなやり方ではなかろうか。

がん研究であり疾患の克服のための研究であるが、がんは数十年とは言え極めて短い間に進化を遂げる特別な生物とも考えられ、がんの組織の”機能”を解明することは正常細胞或いは組織の理解に止まらず、進化のメカニズムを解明することにも匹敵する。我々の研究室は、一方ですでに我々が発見したキガマイシンのような新しいがん治療法を開発すると共に、このような観点で、がん組織の”機能”を生化学、細胞生物学、分子生物学的に解明することを目指す。

がん患者のあきらめない診察室」では、希望者に対して牛蒡子を使った治療を行なってくれるという。気になる方はこのサイトを覗いてみてはどうだろうか。副作用がなく高価ではなさそうで、ある程度の確からしさがあればチャレンジしてみるというのが私の考え方だが、学会発表があるまで待つことにする。


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牛蒡子が膵臓がんに有効かも、の報道について” に対して1件のコメントがあります。

  1. より:

    牛蒡子(ゴボウの種)を早速取り寄せて一昨日から煎じて飲んでいます。
    キノシタさんの記事にリンクされているWeb情報にありますように、古くから漢方薬として使われていた
    生薬ですし、特段の副作用がなければいいだろうと判断してのことです。
    牛蒡子の値段は500g一袋で2500円くらいです。
    10~20gを600ccの水に入れて20分程度煎じて、一日3回に分けて飲みます。
    (費用は一ヶ月2500円足らずということになりましょうか)
    種を炒って食べてもいいとのことですが、かなり苦味があります。
    牛蒡子の煎じ茶の味ですが、いかにも薬効がありそうな(笑い)独特の渋みと苦味が
    あります。個人的には嫌いな味ではないのでしばらく飲み続けてみるつもりです。

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