行者蕎麦「梅庵」と奈良井宿
高遠は高遠蕎麦で有名だが、天保年間、高遠城の殿様(保科正之)は、辛くて、甘いまろ味がある大根と焼味噌で作る”からつゆ”で食す「行者そば」が大好物だった。その行者そばを食ってみようと「梅庵」へ。梅庵は木曽駒ヶ岳の登山口、伊那市上伊那の小黒川上流、内の萱地区にある。
比叡山の千日回峰では五穀を断たなくてはならないが、そばは五穀(いね、むぎ、あわ、きび、まめ)に入らないので修行中でも食べてもよいそうだ。1300年前、役小角(えんのおづぬ)が内の萱の里人から手厚いもてなしを受けたお礼に一握りのそばの種を贈ったという。行者そばと名付けて里人が伝統を守ってきた。ここは日本の蕎麦の発祥地である。
国替えになった殿様が行者そばを会津若松藩に伝え、いまでは会津もそばの有名な産地である。先日行った幸手市の「ふくろう」は会津の蕎麦を使っていた。
十割蕎麦だが、コシがあり田舎蕎麦風の黒い蕎麦である。しかし、香がいまいちだった。「ふくろう」の蕎麦の香があまりにも鮮烈だったので、行者そばがなんだか物取りない。有名になり客が増えると、注文を受けてから蕎麦を打つわけにはまいらないのだろう。蕎麦の香りは飛んでしまっていた。
宿は早太郎温泉の一番奥にある「山野草の宿 二人静」。千畳敷カールへの登山口にある。この4月10日にリニューアルしたばかりの和洋室に部屋を取った。湯も良し食も良し、もてなしも良し。
翌日は奈良井宿へ。馬籠、妻籠は訪れたので、中山道の宿場町で大きなところはここを残していた。確かに大きな宿場町だが、馬籠などと比較すると閑散とした印象である。
古民家カフェ 風花で飲んだ珈琲は、田舎にしては(失礼!)すばらしい香りだった。薪ストーブも雰囲気がある。
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