低用量抗がん剤 最初の量は?

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紫陽花も花の色が濃くなってきました。


先日、10年ぶりにお会いした方に挨拶したら、先方は私が分からない様子だった。そりゃそうだ。膵臓がんの手術前の私は体重84キロ、ウエスト1mだったから。今は体重が60キロ、ウエストは82センチ。年賀状のやりとりはしていたので、膵臓癌になったことは知っているはずだが、顔を見ても分からないのは無理もないよなぁ。

「お元気そうで・・・」と言ってはくれるのだが、「がん→極端に痩せる→長くない」との一般的思い込みがあるためだろうか、態度はぎこちない。膵臓がないから太れないし、血糖値を上げないためにも今のままが良いのだが、面倒だから説明はしなかった。手術前の私しか知らない人はほとんど同じ反応だ。逆に同窓会で、高校生当時の私しか知らない人は「全然変わらないわねぇ」と言ってくれる(頭髪を除けばだが)。

低用量の抗がん剤治療をするとき、最初は標準量から始めれば良いのか、それとも少量からスタートするのが良いのだろうか。たまたま二つのブログでこの問題に触れていて、対応は反対になっています。Sho先生は「がん治療の虚実」で、「初回治療であれば、少し体力が低下していてもあるいは患者さんが副作用を恐れ、抗がん剤の減量を希望していても、通常量で治療開始することを説得します。」と言い、梅澤先生は「癌細胞と抗癌剤」で、「いきなり初回でノックアウトされる患者もいる。なぜ初回くらい半分で東予市内の疑問だ」との考え方です。

どちらも低用量抗がん剤治療には「エビデンスはない」という点では一致しており、患者の年齢や体力などを考慮して「医師の経験と勘、考え方」で決めるという点でも同じです。

難しい問題ですね。

ところで、抗がん剤ががんに効くメカニズムは、活発に分裂している細胞ほど抗がん剤が効きやすい、というのがほぼ共通した認識です。例えばロハス・メディカル『がん⑤ 抗がん剤なぜ効くのか1』には、

現在のところ世に出ている抗がん剤のほとんどは、いわゆる「細胞毒」といわれるものです。
細胞が分裂する全過程あるいは特定の時期に投入され、細胞内の遺伝子に作用します。というのも、がん細胞は正常細胞よりはるかに急速に増殖・分裂するのが一般的で、分裂中の細胞では遺伝子のDNAがほどけてむき出しになっているため、不安定で外からの影響を受けやすい状態にあるからです。早い話、細胞分裂中の細胞は通常時より死にやすいのです。

と書かれています。しかし、それに異をとなえた論文があります。海外癌医療情報リファレンスに載っている『化学療法はどのように作用するか、その神話を崩す』です。

たとえば、ある種の癌は化学療法に反応するのに何故その他の種類の癌は反応しないのか。
「急速に増殖して化学療法に耐性があるように見える悪性の癌の例が多い一方で、増殖の速度が遅いのに化学療法に良く反応する癌の例も多くあります」と先日Letai氏は述べた。書籍やウェブページでは、急速に分裂する細胞を標的とすることで化学療法は作用すると謳うが、実際は、この考えを支持するエビデンスはわずかである

近年の研究では、ミトコンドリアがアポトーシスに関わっていることが分かり、ある種の癌細胞では、他の癌細胞よりもアポトーシスにより「自滅する準備ができている」。これをプライミング(priming)と言い、この準備状態の違いが、抗がん剤に対する反応が異なることの説明になり得る、と考えているようです。まだ研究段階の仮説ですが、分裂している癌細胞=抗がん剤が効きやすいも、エビデンスに乏しい「神話」なのかもしれません。


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