抗がん剤を拒否して最期まで将棋 天野貴元さん死去

今朝の東京新聞のお悔やみ記事に、将棋アマの天野貴元さんが死去されたと報じている。

『がん闘病「次の一手」最期まで 天野貴元さん死去 将棋アマ、30歳』

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舌がんの手術後全身への転移が見つかったが、抗がん剤をやっては明瞭な意識が必要な将棋はできないと、2年半の闘病は抗がん剤は拒否しての治療だった。

こういう選択もある。自分の命を全うするためには、何が大事かを考え、抗がん剤をやるかやらないかを選ぶこと、若い方なのにはっきりとした意志を持って決断された。見習いたいものである。抗がん剤を拒否しての2年半が、延命だったのか縮命だったのかは分からない。自分の価値観に従って選択した彼には、そのような疑問はどうでも良いことだろう。

前回の記事で紹介した『長尾先生、「近藤誠理論」のどこが間違っているのですか?』のコラムにこのような内容があった。

その男性は、ある病院で肺がん(腺がん)が見
つかりました。副腎に大きな転移巣も見つかりステージⅣと診断されました。主治医は抗がん剤治療を勧めましたが、強く拒否されました。

いわゆる”放置療法”になるのでしょうか。別に近藤誠氏などの医療否定
本の影響を受けているわけではないとのことですが、自分の哲学というか生き方として、そう自己決定されたそうです。しかし、彼の主治医はそんな気持ちをまっ長く理解してくれないどころか、「抗がん剤をしないとすぐに死ぬぞ」という脅しのような言葉しか言ってくれない・・・・と愚痴りながら、僕のクリニックに相談に来られました。

この患者さんに対し、CEAという腫痩マーカーをフォローしています。
初診時では、486(正常は5以下)でしたが、 1カ月後には360に下がり、そして 3カ月後の採血ではなんと、38まで、低下していました。腫蕩マーカーが10分の1以下になったのです! その4カ月間に僕がした医療行為といえば、たった一つだけ。補中益気湯という漢方薬を飲んでもらっていました。

一方、患者さんの日常生活で変わったのは 1日の生活リズムです。がんと診断されてから、自分の名前をつけた農園を始めて、京野菜の栽培に夢中になっているそうです。収穫した野菜を、友人知人に毎日のように送っておられる。皆さん、美味しい!ととても喜ばれるとのこと。人から喜ばれる、人から必要とされていると感じることが、きっと大きな生き甲斐になったのでしょう。

サイコオンコロジー(精神腫瘍学)という研究分野があります。患者さんの精神状態(心の動き)とがんの関係を調べる学問です。サイコオンコロジー的に言えば、ストレスが激減して免疫能が向上した!? こうした現実を、医学的にデータ化することは難しい。あくまでも例外的な一例として、ご紹介します。 しかし町医者として、がん患者さんと対峙するとときどき、こうした驚くべきケースを目の当たりにするのです。

この患者さんのその後は分かりませんが、人から必要とされ、生き甲斐を持って毎日を過ごしていると、ときにはがんが消えた!ということもあります。その辺りのことは『がんが自然に治る生き方――余命宣告から「劇的な寛解」に至った人たちが実践している9つのこと』にもあるとおりです。


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