『がんの統合医療』(4) クルクミン

がんの統合医療』から、クルクミン(ウコン)に関する箇所を紹介します。クルクミンの有効性に関して、多くのエビデンスが揃ってきたようです。

  • クルクミンは有望な抗がん剤として注目され,幅広いがん種に対する化学予防、治療において強力な効果を示す可能性を秘めている。実験データからはクルクミンは多様な作用機序を示すことが示唆されている。クルクミンは1日8g投与で安全性と良好な耐容性を示し、臨床試験への準備は整った。さらなる安全性評価、適切な代理バイオマーカーに対する作用の評価、前がん病変を有する患者や他のハイリスク群における化学予防効果、進行がん患者に対する単独治療か通常治療との併用による治療効果の検証のために、今後、第Ⅰ相、第Ⅱ相試験を実施する必要がある。
  • 米国立がん研究所(NCI)のがん予防部門では、がん予防の新規化合物を精力的に探している。こうした製剤には、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、クルクミン、インドール3ーカルビノール/ジインドリルメタン(DIM)、デグエリン(ロテノンの誘導体)、緑茶(ポリフェノンE)、大豆イソフラボン、リコピン、レスベラトロールなどがある。
  • クルクミン(curcumin)は、ウコン[turmeric]に含有されている黄色物質で、最も強力な化学予防薬や抗がん剤の1つとして浮上してきた。
  • この化合物は、多様な動物モデルや培養細胞モデルにおいて抗がん作用を発揮することが明らかになった。結腸癌、胃癌、皮膚癌に対して、大腸前がん病変の発現やDNA付加体形成を抑制することで化学予防物質として働く(Singh & Khar、2006)。また、クルクミンはNF-κBをダウンレギュレーションすることで増殖抑制作用やアポトーシス誘導作用を示し、血管内皮細胞増殖因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)のような血管新生促進遺伝子のダウンレギュレーションや、血管内皮細胞の遊走の抑制と浸潤の低下による血管新生阻害作用を有する。主なアポトーシス誘導物質や放射線に抵抗を示す培養細胞株は、クルクミンをこれらと併用処理すると、アポトーシスに対する感受性が高くなる。

クルクミンの抗がん作用

ウコンの成分であるクルクミンには強力ながん予防・治療効果があることがわかってきました。 最近の研究の結果、クルクミンは、抗酸化・抗炎症作用、血管新生阻害作用、およびがん細胞の増殖抑制作用、アポトーシス(細胞死)を誘導する作用などが明らかとなっています。

クルクミンはまた、がんに対する免疫力を回復させることによって抗がん作用を発揮することが、大腸がん患者を対象とした研究で明らかになっています。  リンパ球の一種、制御性T細胞は過剰な免疫を抑制する働きがありますが、がん細胞はこれを利用して免疫細胞からの攻撃を逃れようとします。実際にがん患者のがん細胞の周りには、制御性T細胞が多く存在していることが分かっています。

巧妙ながん細胞は、本来の免疫の働きを巧みに利用しているのです。  クルクミンは、がん患者の制御性T細胞を減少させて、がん細胞を攻撃するように指令するTh1細胞を増やすことが明らかになっています。  クルクミンは、がん細胞が踏んでいる”ブレーキ”を解除して、より攻撃するように”アクセル”を踏む働きをするのです。

吸収の悪いクルクミンも「黒コショウ」といっしょに摂ると吸収されやすいという特徴があります。

これは、統合医療のバイブル本とも言えるシュレベールの『がんに効く生活』で紹介されています。  インド人がカレーに若干の黒コショウを混ぜるのは、これを経験的に知っていたからなのでしょう。

  • がんの予防や治療において、特に細胞シグナル伝達経路の標的分子を介して、共通のプロセスが存在することを指摘している。果物や野菜、食事の香辛料には非常に多くの物質が含まれており、がんの治療に関わる、多段階の細胞シグナル伝達経路を阻害する。クルクミン(ウコンの成分)だけでも、NF-κB、AP-1、COX-2、5-LOX、IKK、HER-2、JNKなどを標的とする。緑茶や、レスベラトロール(ブドウ)も多段階のシグナル伝達経路を標的としている。
  • 現在、抗がん作用および免疫調節作用を有し、最高レベルの前臨床および臨床のエビデンスのある植物薬には、ニンニク、クルクミン、緑茶、ヤドリギ、ケルセチン、ブロメライン、マリアアザミ、オウギ、アシユワガンダー、薬用キノコ(カワラタケ、レイシ、シイタケ、マイタケ)などがある。
  • クルクミンは植物薬として、中国やインド(アーユルヴェーダ)医薬でさまざまな症状に対して長年にわたり用いられてきた。最近の研究で、抗炎症作用、抗酸化作用、肝保護作用、抗菌作用、抗発がん作用を有することが明らかとなった。
  • クルクミンに関する論文(査読あり)の数は膨大で、ある。 2006年末に PubMed上で検索したところ、クルクミンに関する論文が 1700以上ヒットし、このうち、600以上の論文が、特にクルクミンの発がんに対する影響に関して記述されたものであった。
  • クルクミンはあらゆるがん種に対して、複合的な抗がん作用を有することが証明されている。クルクミンの発がん予防のメカニズムは数多く提唱されており、これには抗炎症作用、細胞のプログラム死(アポトーシス)の克進、腫瘍への血管新生阻害、がん細胞の遊走性抑制、また、おそらく化学療法剤や放射線療法との相乗効果が合まれる。
  • クルクミンを、用量制限毒性を考慮せずに最高で1日あたり 8~10gを経口投与すると、がんの予防と治療の両方に効果がみられ、クルクミンが抗がん剤として期待できることが示された (Aggarwal,et al., 2005)。
  • 発がん過程全体をみたときに、鍵となる因子は転写因子
    NF-κBである。NF-κBは、イニシエーシヨン(発生)、プロモーション(促進)、プログレッション(進展)のすべての発がんステージの前炎症反応に
    関与している。In
    vitroの実験から,クルクミンはNF-κBを阻害して白血球細胞の動員を阻害することが示されており、これにより発がんに関与する炎症性サイトカイン
    の供給源を絶つことになる (Kumar、Dhawan、 Hardegen、 & Aggarwal、 1998)。
  • クルクミンはさまざまなリガンドやレセプター(受容体)と相互作用することにより、さまざまながん細胞に対してアポトーシスを誘導することが報告されている。数多くの研究により、クルクミンが G2期での細胞周期停止を促進させることが明らかとなった。
  • クルクミンに関する実験データの大部分は、クルクミンが発がんの鍵となるプロセスーアポトーシス誘導の促進や、炎症・血管新生・細胞遊走能・転移
    の阻害などーに作用することを示唆している。
    したがって、クルクミンは、あらゆる種類のがんに対する、化学予防および治療に有効な薬剤となると考えられる。
  • MD
    Andersonがんセンターの研究者たちは、膵癌患者の奏功率と生存に対する、クルクミンの作用を評価する第Ⅱ相試験と、多発性骨髄腫の患者に対するク
    ルクミンの安全性と耐容性を解明するための第Ⅰ相試験を実施している。2006年 11月に開催された Society for Integrative Oncologyで、Dhillonから初期データが発表された(Dhillon、2006)。25人の進行性の膵癌患者に8,000mgのクルクミン(Sabinsa社,Piscataway,NJ)を毎日、2か月間にわたって経口投与したところ、2人の患者が6か月以上(8か月と10か月以上)も病態が安定した状態で推移し、1人の患者が1か月という短期間の部分的な寛解(腫瘍サイズが73%減少)を示した。このとき毒性は認められなかった。

ウコンではなく、ウコンに多く含まれるクルクミンの有効性の話です。春ウコンにはほとんどクルクミンが含まれていないことに注意してください。

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