ステージ0の膵がんも発見可能なバイオマーカー

膵臓がんは早期で発見することが難しいがんなので、初期に発見できたとしたら生存率の向上が望めるのではないかと、膵臓がんの新しいバイオマーカーの研究が盛んです。ジャック・アンドレイカの話題もありましたね。しかし実用化までには早くても数年~10年はかかるでしょう。

6月25日の『Nature』に掲載された研究論文は、臨床で実用化されれば非常に頼もしいバイオマーカーになると期待できます。

スタンフォード大学の研究チームは、すい臓がんの診断や予後予測に使えそうなバイオマーカーを新たに発見したとの研究成果を発表します。がん細胞が血液中に放出する小胞(エキソソーム)に内包されるグリピカン1(GPC1)を調べるという手法。

【論文概要リンク】
Sonia A. Melo et al.,‘Glypican-1 identifies cancer exosomes and detects early pancreatic cancer’, in Nature.
http://nature.com/articles/doi:10.1038/nature14581

この研究に対しての日本の専門家のコメントが紹介されています。

すい臓がん、より精度の高いバイオマーカーを発見

広島大学 大学院医歯薬保健学研究院 田原 栄俊 教授

  • がんの転移には、細胞が分泌する細胞外小胞(エクソソーム)が関係している。
  • これまでの腫瘍マーカー(CA19-9)を上回る精度で膵臓がんと相関する。
  • MRIの画像検査では捉えることのできない段階でも、血液中のGPC1+crExos の量が腫瘍の大きさと相関して上昇する。
  • 画像では発見できない初期段階(ステージゼロ)で、膵臓がんを発見できる可能性を秘めている。

国立がん研究センター研究所 落谷 孝広 主任分野長

  • GPC1陽性エクソソームが膵臓がん細胞株由来エクソソームにも多く存在する。
  • GPC1陽性エクソソームは、膵臓がん患者の血中に感度、特異度の高いマーカーとして確認されている。
  • 本研究は、細胞外小胞を利用した、膵臓がん由来エクソソームマーカーの発見をした点で注目すべきもの。
  • このマーカーは、良性疾患との鑑別にも有効であることに加え、膵臓がんの前がん病変でも血液中に検出されるという点が重要です。
  • 膵臓がんの最大の問題点であった、「発見が遅れることによる治療困難な状態」を回避するという観点からも朗報です。

臨床で利用できるようになるには、数多くの課題を克服しなければならないでしょうが、ステージ0の膵臓がんが見つかるようになれば、手術適用できる割合が飛躍的に増えるわけです。

一日も早く、膵臓がんで亡くなる人がせめて他のがん並みになることを願っています。


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