PET-CTによる被ばく量はどのくらいか?

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PET-CTとは?

PET-CTとは、代謝を画像化するPET検査と、CT検査を同時に行うことができる、がん診断のための装置です。

がん細胞は正常細胞よりも多くのブドウ糖を消費するという特性があります。FDGというブドウ糖に似た構造の薬剤を静脈に注射し、体内のブドウ糖の代謝を画像化してがんを診断するFDG-PET検査と、臓器の形、位置などがわかるCT検査を同時に行うことにより、短時間で、身体の広い範囲を対象として、精度の高い診断画像を得ることができるのです。

この検査のためにFDGという、F-18というフッ素の放射性同位体が含まれた放射性医薬品を静脈に注射して、1時間後体内に放射性同位元素がいきわたったあと、PET(陽電子放出画像断層撮影装置)で撮影します。撮影は20分程度で終わります。

原理

ポジトロン断層法(ポジトロンだんそうほう、positron emission tomography:PET)とは、陽電子放出を利用したコンピューター断層撮影装置です。風雨に自然界に存在する電子はマイナスの電荷を帯びていますが、ある種の核種の崩壊によってプラスの電荷を帯びた陽電子が生成されることがあります。

陽電子は不安定なので、短い時間で近傍の主として水の電子と「対消滅」し、その際に2本のガンマ線を180度反対方向に放出します。同時にガンマ線を検出した検出器を結ぶ線上に、対消滅した場所があるのです。

こうした操作を多数行ないコンピューター解析して画像化します。

がん細胞の活動のエネルギーの元はブドウ糖で、がん細胞は正常細胞の何倍もの量のブドウ糖を取り込むため、18F-FDGを注射すると、がん腫瘍にたくさん集まります。こうしてがんの場所と大きさがわかるのです。

国立国際医療研究センター病院のサイトから

悪性度がわかる

PET-CTの画像を見ると、赤く光っている部分があり、主治医が「光ってるね!」と言うことがあります。これはがんの悪性度を見ているのです。

がんの活動が活発であれば、より多くのブドウ糖を取り込みます。注射した18F-FDGも多く取り込まれるために、より強く光るのです。

したがって、早期の胃がん、肺がんなどではがんを検出できないことがあります。

抗癌剤による治療が効いているのに、いつまでたっても病巣が小さくならないということがまれに起こります。これは死んだがん細胞が「かさぶた」のようになって残っていて、CTでは生きたがん細胞か、死んだがん細胞かの判断ができないからです。

PETでは、形だけのがんの抜け殻が残っているのか、それとも本当に活性のあるがん細胞が残ってブドウ糖が使われているかどうかを、18F-FDGが集まるかで正しく診断することが出来ます。(すべてのがんにおいて悪性度がわかるわけではありません)

国立国際医療研究センター病院のサイトから

費用は?

費用は約10~12万円です。


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「早期胃がんを除く、すべての悪性腫瘍、悪性リンパ腫:他の画像診断により病期診断、転移、再発診断ができない時」という条件を満たせば、健康保険が使え自己負担額だけ払えば良いことになります。

以下の場合は全額自己負担になります。

  • 悪性腫瘍か良性腫瘍の鑑別のためのPET検査
  • 同じ月に、同じ病名による複数回のPET検査
  • 同じ月に、ガリウムシンチグラフィを受けている方

つまり、悪性腫瘍の診断が確定しており、CT・MRIなどでは再発や転移が確定できない場合に健康保険の適用となります。

被ばく線量はどれくらいか?

私も膵臓がんの転移が疑われたときにPET-CTを受けたことがあります。そのときに検査技師の方にいくつか質問してみました。

1.18F-FDGの半減期は?
110分だそうです。ということは24時間で約8200分の1まで減衰することになります。

$$2^{\frac{24\times 60}{110}}=8192$$

2.投与する放射能のベクレル数は?
約200メガベクレル(MBq)です。

3.被ばく線量は?
PETによるものが約4~5ミリシーベルト(mSv)。CTによる被ばく線量と合わせると、1回の検査における放射線被曝は23–26 ミリシーベルト(mSv)になります(体重70キロの人体の場合)。

将来がんで死亡するリスクはどの程度か?

ICRP(国際放射線防護委員会)によれば、1000mSvの被ばくで、生涯におけるがん死亡リスクが5%上乗せされるとされています。PET-CTによる被ばく線量が25mSvとして、がんによる死亡リスクが0.125%増えることになります。

ですから、被ばく線量をあまり心配する必要はありません。

ですが、検査が終わった直後は結構な量のガンマ線が出ています。病院からは「公共輸送機関では妊婦や幼児のそばに近づかないように」と書かれたパンフレットを渡されることがあります。

どれくらい出ているかは、私は自分で測定したことがあります。

GM管式サーベイメータを取り出し、自分の胸に当ててスイッチオン。「ピィーーー、ガー、ガー」と結構大きな連続音がします。メータを見ると針が振り切れていました。結構な線量でガンマ線が放出されているのが分かります。

電離箱サーベイメーターによる測定値は80~90μSv/h でした。

胸に電離箱サーベイを当てて測定


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