シチリアーノ 亡きがん友を想う
シチリア島。イタリア半島を長靴に例えれば、長靴に蹴り上げられた小石のような島。観光地としても有名ですが、マフィア映画でも有名な島です。(シチリアの町並み)
地中海文明の交差路として、さまざまな民族が領有権を争ってきた島でもあります。失恋した文豪ゲーテは、逃げるようにイタリアへの旅をして、克明な日記『イタリア紀行』を残していますが、その最終目的地がシチリア島でした。
シチリアーノは、この島の農民のダンス舞曲の要素を取り入れた曲で、8分の6拍子、または8分の12拍子で、メロディには付点拍子が多用されています。
『がんに効く生活』を書いたシュレベールは、
シュレベールは、自分の最期の時に流して欲しい音楽を決めてあったのです。それは、ダニエル・バレンボイムが指揮・ピアノ演奏する、モーツァルトのピアノ協奏曲第23番イ長調 K.488 第2楽章 アダージョでした。この曲に送られて、2011年7月24日にあちらに旅立ちました。
と、『さよならは何度でも ガンと向き合った医師の遺言』に書かれています。
ピアノ協奏曲第23番イ長調 第2楽章の出だしのピアノソロの楽譜です。
この曲も「シチリアーノ」です。私は最後のピチカートの部分がお気に入りです。詳細はこちら。
シチリアーノで他によく聴く曲は、
- バッハ:フルートソナタ第2番 変ホ長調 BWV1031 第2楽章
- レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア-第3組曲
- ヴィヴァルディ:ピッコロ協奏曲より第2楽章:ラールゴ
- ロドリーゴ:ある貴紳のための幻想曲 第2楽章:エスパニョレータとナポリ騎兵団のファンファーレ
などがあります。曲名は知らなくても、懐かしく、どこかで聞いたことがある曲です。
2014年9月に膵臓がんのステージ4bと診断された方が亡くなったとお便りをいただきました。最初のジェムザールには耐性ができたのですが、幸いアブラキサンが効いて宣告された余命を超えて生活ができていました。しかし、それにも耐性ができて、昨年8月には主治医からは標準治療の終了を告げられるも、諦めることなく、1年以上もTS-1の低用量抗がん剤治療で頑張ってこられていました。
残念ながら先月お亡くなりになったと、奥様から連絡をいただきました。
その方のことを想い、在宅でケアをされたご家族のご苦労をおもんばかりながら、また、今年亡くなられた多くの膵臓がんの方を思い起こして、叙情的で田園的な「シチリアーノ」を聴いています。