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Nature Reviews メトロノミック療法の有効性に関する研究

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メトロノミック療法(メトロノーミック療法、メトロノーム療法、低用量抗がん剤治療、休眠療法などいろいろの言い方がある)の有効性についてこの5年間の臨床研究をまとめた論文が出されている。従来の抗がん剤治療は、体表面積に応じて一律に抗がん剤を投薬する方法であるが、メトロノミック療法は副作用のでない少ない用量で間隔を置かずに投与する。患者は標準治療に比較してより長期間の生存が可能になるのではないかといわれてきた。

高橋豊氏や梅澤医師が行なっている治療法であるが、一般にはエビデンスがないとされている。しかし、日本においても乳がんのメトロノミック療法などいくつかの臨床試験結果が発表されつつある。免疫療法との併用で治療を行なっているセルメディシンなどの医療機関もある。少し古い情報だが、匿名の医師によるブログ「やぶいぬ応援団」に「9回裏からの逆転」という記事もある。

ここ5年間の臨床研究をまとめ有効性を議論している総説がNature Reviewsに発表され、内容がセルメディシンのドクター通信から発信されている。

少ない用量の抗がん剤では「効かない」という医者が多いが、そんなことはない。逆に小量の抗がん剤投与ではがん免疫反応を維持したり、患者の免疫力が高くなる可能性もあるのではないかと、実際に治療に当たってきた梅澤医師などは、実感として話している。それもこの論文では肯定的に紹介されている。何よりも患者が長生きしている。副作用が少ないから「長生きした期間」の生活の質(QOL)も当然ながら良い。標準的な抗がん剤治療で、仮に3年延命したとしても、そのうちの2年間は激しい副作用で何もすることができずに、ただベッドで生きているという状態ならデータとしては有効であっても患者にとっては「副作用と闘うための延命」でしかない。

メトロノミック療法では標準治療に比べてトータルの抗がん剤使用量は多くなることもある。製薬メーカーにとっても売上が増えるはずだからデメリットはないはずである。しかし、なぜかこうした低用量の臨床試験は少ない。確たるエビデンスが存在しない。製薬会社も積極的に臨床試験をやろうとはしない。だから、エビデンスのある(製薬会社の推奨する)マニュアル通りの投与をしているほうが医者にとっては安全である。したがって、多くの医者はやってみようとはしない。

優秀な厚生労働省官僚がこうした研究を知らないはずはない。彼らはメトロノミック療法が普及すれば抗がん剤の使用量が増加し、トータルの医療費が増えることも把握しているに違いない。総医療費の3割を占めるがん治療である。抗がん剤の使用量が増加すれば、総医療費の増大は相当なものになるはずである。厚生労働省にとっては総医療費の抑制が至上命令である。がん患者が長生きして、延々と低用量抗がん剤を投与すれば大変なことになる、と考えているだろうと推測することは論理的必然である。メトロノミック療法が消極的に取り扱われている原因はこのあたりにもあるのではないかと感じている。


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