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がんと運動:アピタル夜間学校

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アピタル夜間学校の「がんと運動」のビデオがYouTubeにアップされています。気にはなっていたのですが、実際の講義のときには見ることができませんでした。

夜間学校『もっと知ってほしい がんと運動のこと

がん患者なら誰しも「特効薬」がありはしないかと探すのですが、そんなもの、あるはずがありません。なかには「○○水」などというがんに効く水もあり、ブログでもその効果を信じている方もいるようです。そんなものを探すよりも、毎日適当な運動をする方がよほど効果があります。

講義でも「一部のがんでは、運動をすることで死亡や再発リスクを減らすことが示されている」と述べていますが、エビデンスとして示すことができたのが一部のがんであり、その他のがんでは試験をするまでに至っていないだけのことです。つまり、多のがんでも運動によって死亡や再発リスクを減らすことができると考えて、ほぼまちがいはないでしょう。

たとえば乳がんでは、週に1時間程度のウォーキングで全死亡リスクが40%減り、再発リスクが25%減るとされています。この程度の短い軽い運動ですらこうした効果があるのです。
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大腸癌においても、運動と全死亡リスク、無病生存期間に大きな効果があるのです。
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METsとは運動量の単位ですが、18METs・時間/週がウォーキング5~6時間に相当します。毎日1時間程度歩くことで、死亡率も再発率も大きく下がるのです。

講義では「運動は免疫を不活化(活性化)する」のが効果の原因だと述べています。より最近の研究では、運動が直接遺伝子に影響をするというものもあります。

 運動はなぜ健康に良いのか。それは、運動することによってミトコンドリアのエネルギー産生や代謝関連の遺伝子が活性化され、糖尿病にかかりにくい体質になるためだということが知られている。しかし、それらの遺伝子がどのように活性化されるのか、これまでよく分かっていなかった。

スウェーデン・カロリンスカ大学のRomain Barres氏らは、運動後数時間以内に遺伝子のプロモーター領域(転写因子が結合する遺伝子の上流領域)のDNAメチル化が低下し、遺伝子が活性化される可能性を明らかにし、Cell Metab(2012; 15: 405-411)に発表した。分化した細胞では安定していると思われていたゲノムのメチル化が、運動によって意外にもダイナミックな制御を受けることが明らかとなった。

運動で特定遺伝子の脱メチル化・発現が一過性に上昇

Barres氏らは、定期的な運動をしていない健康な20歳代半ばの男女から、運動強度を変えた運動の前後で大腿筋を採取し、ゲノムのメチル化度を調べたところ、エネルギー代謝に関連するいくつかの遺伝子(PGC-1α、PDK4、PPAR-δ)のプロモーター領域が、運動後その運動量に依存して脱メチル化されていることを見いだした。

一方で、エネルギー代謝とは直接関係のない、筋肉特異的な転写調節因子遺伝子(MYOD1)やハウスキーピング遺伝子(GAPDH)などでは、そのメチル化度に変化はなかった。
通常、プロモーター領域のDNA脱メチル化は遺伝子の活性化を導くことから、それら遺伝子の発現量を調べたところ、確かに脱メチル化と同時、もしくはその数時間後には上昇していることが分かった。また、この脱メチル化は一過性のものであり、運動直後に脱メチル化された場合、その3時間後には元のレベルに戻る遺伝子が多かった。

現状では、運動がどのようなメカニズムで特定の遺伝子の脱メチル化を引き起こすのかは明らかになっていないが、少なくとも運動に伴って分泌されるホルモンや神経伝達物質などの外来のシグナルによって引き起こされるのではないことは示された。

まだまだメカニズム的には未解明な点も多いが、少なくとも運動という環境刺激によってエネルギー代謝関連遺伝子の特異的脱メチル化というエピジェネティックな変化が直接的に誘導され、それが当該遺伝子の活性化と相関し、健康的な体質維持につながるという図式は確かのようだ。

「ともかく、歩け、歩け」ですよ。私も術後の早い時期から病院の廊下を歩いていました。点滴棒を担いで階段を上っていて看護師に叱られてけど、無理をしない範囲で積極的に歩くことです。がんに効くサプリメントや○○水などは、その後でじっくり考えて対応すれば良いのです。(効果は期待できないけど)

中程度の運動で、30分の運動を週に3回以上。取りあえずこの程度からはじめてみませんか。

運動と同様に「心の平安」も多いに効果があるはずですが、これはエビデンスとして示すことは難しいでしょうね。

結局、がんの特効薬は「ごく当たり前の健康法」を継続して実行することです。


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