国立がん研究センター:2012年10年生存率、サバイバー5年生存率

2月13日に国立がん研究センターが、「院内がん登録2012年10年生存率集計」公表しました。

(国がんのサイトはこちら(プレスリリース、いわば概要版)こちら(報告書全文)、院内がん登録生存率集計結果閲覧システムはこちら))。

「早期発見・早期治療の重要性」を再確認できる結果です。

「院内がん登録2012年10年生存率集計」からは、部位・ステージにより違いがあるが、概ね「早いステージ」でがんと診断された症例ほど生存率が高い。ステージIで早期発見・治療すれば、乳がん・子宮頸がん・前立腺がんでは9割、胃・大腸がんで8割、膵臓がんでも3人1人が10年以上生存できるー。このようなことが読み取れます。

しかし、すでに膵臓がんを告知されて治療中の患者にとっては、これからの5年生存率がより関心のあることではないでしょうか。

あわせて今回、「サバイバー5年生存率」が特別集計されているので、膵臓がんに関して、こちらから先に紹介します。

膵臓がんのサバイバー5年生存率

サバイバー生存率は、診断日からの経過日数ごとに、そこからある期間(例えば5年間)を生きる確率を示します。

2012年診断例におけるサバイバー5年生存率

例えば、膵臓がんのⅢ期では、診断日から診断5年後までの5年実測生存率は4.7%だが、診断後1 年生存された方を対象とした診断1年後から診断6年後までの5年生存率は7.2%、さらに診断2年後から7年後までの5年生存率は16.6%となっており、長期生存するほど「次の5年間の生存率」が上がっていた。この「次の~年の生存率」を「サバイバー~年生存率」と言い、以下のグラフでは診断日からの時間経過を横軸、「サバイバー~年生存率」を縦軸としている。

多くのがん種で治療による根治が期待できる病期ではサバイバー5年生存率はほぼ横ばいだが、進行期では1年生存するほどその5年生存率は改善する傾向であった。

サバイバー5年相対生存率(ピリオド法)[2002~2006年追跡症例]

「がん情報サービス」に載っているサバイバー5年生存率。(こちら

上の5年相対生存率とは統計的手法が違うので単純な比較はできないが、臓器ごとの男女別比較が可能である。

2つのグラフに共通して言えることは、告知からの時間経過が増えることに次の5年の生存率は高くなっている。膵臓癌においてはその増加傾向が顕著であり、1年、2年・・・生存するごとにさらに長期間生存する割合が高くなっていることは希望を与えるものである。

膵臓がんの院内がん登録2012年10年生存率

今回の発表ではこちらがメインであるが、現在告知された患者がその後10年生存する確率を表している。

膵臓がんに関しては次のようになっている。

ステージ1ならば3人に1人が10年生存している。早期発見早期治療が大事だということが再確認できる。しかしステージ4では0.6%と「癌の王様」と言われる所以である。

生存率の種類

生存率には、その算出の仕方によって大きく「実測生存率」、「疾病特異的生存率」、「相対生存率」、「ネット・ サバイバル (Net Survival)」に分けられる。

「実測生存率」は、死因に関係なく、全ての死亡を計算に含めた生存率で、診断例に対する~年後の生存患者の割合で示される。実測生存率については Kaplan-Meier 法を用いて計算している。

一方で、がんによる生存への影響を把握したいときには、「疾病特異的生存率」、「相対生存率」、「ネット・サ (Net Surival)」が用いられる。

「相対生存率」は、実測生存率を対象と同じ性・年齢、診断年(歴年)の一般の日本人集団で「がんではなかった場合の生存率」という考えによる期待生存率を算出し、それを実際の生存率で割って算出する方法である。疾患特異的生存率のように個々の死因を把握する必要がないため、国際的によく用いられている。

ネット・サバイバル (Net Survival)について

相対生存率は一般的な方法の1つではあるが、生存率の高いがん種において理論上 100%以上になることが生じるなど課題も多い。そこで、期待生存率を算出することなく純粋に「がんのみが死因となる状況」を仮定して計算する純生存率(Net Survival、Pohar-Perme法)が開発された。この方法は国際的にも広く採用されている方法であり、本報告書においても相対生存率に代わりネット・サバイバルを採用している。

院内がん登録生存率集計結果閲覧システム

院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(こちら)を使えば、より詳細な分析結果を見ることができる。

例えば、膵臓がんのステージⅢでは手術有と手術無ではどのように違うのかを年代と男女別などの視点で調査することができます。


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