医師主導治験の情報:牛蒡子(アルクチゲニン)
がん情報サービスに「公費助成を得て行われる医師主導治験の情報」が新たにUpされています。膵臓がんでは、
- アルクチゲニン(牛蒡子の抽出物)国立がん研究センター
- 術後再発予防のための2方向性新規ペプチドワクチン:和歌山県立医科大学
- 進行・再発膵癌に対する新規エピトープペプチドカクテル療法:山口大学
が登録されています。UMINよりも情報が早いものもあります。
国内の臨床試験データベースに登録されているがん関係の臨床試験については、「がんの臨床試験を探す」より検索することができます。
牛蒡子がどの程度効果があるのか、興味があります。すでに牛蒡子を摂っている方もいるのでしょうね。
牛蒡子からアルクチゲニンを高濃度で抽出する技術が、富山大学、国立がん研究センター、カラシエ製薬から特許出願されています。こちら。
出願詳細を見ますと、
- 牛蒡子にはアルクチゲニンは0.6%しか含まれていない。
- しかも、煎じても水にはほとんど溶けない。
- 3.0%以上の高濃度エキスを製造するための技術を発明した。
とあります。牛蒡子を煎じて苦いのを我慢して飲んでも、アルクチゲニンはほとんど含まれていないかもしれません。もちろん国立がん研究センターの治験には3%の方を使っているのでしょう。
- 近年、PANC?1、AsPC?1、BxPC?1、KP?3のような膵臓癌由来の細胞は、極度の栄養飢餓状態においても強い耐性が見られ、その耐性を解除することが癌治療における新しい生化学的アプローチとなる可能性が報告されている(特許文献1)。
- 更に膵臓癌細胞株PANC?1を用いて、低栄養状態における腫瘍細胞の生存能力を解除できる物質のスクリーニングを行ったところ、アルクチゲニンが有効であることが報告されている。(非特許文献1)
と書かれているように、原理的には効果が期待できそうですが、さてどういう結果になるでしょうか。マウスで有効であっても人間には効かないという例はたくさんあるので、期待しすぎない方が良いとは思います。
国立がん研究センターのプレスリリースには、このように書かれています。
こちらの文献によると、アルクチゲニンは牛蒡子以外にもキク科の植物(ベニバナなど)に多く含まれている。また牛蒡子だけでなく、ゴボウの茎や葉にも含有されている。シソ科のレンギョウやゴマ、他にはクルミにも含まれているようです。
うろ覚えですが、がんを告知された方が、八百屋のゴボウをすべて買い占めてきて食べていたら、がんが消失したと、どれかの書籍で読んだ記憶があります。しかし、大量のゴボウを食べたら、特に膵臓がん患者では腸閉塞のリスクが高くなりますね。お勧めしませんが。
このブログでも以下の記事で触れています。5番目の記事では、学会発表もしないで読売新聞にだけ発表するのはどうも不思議だと書きました。その後きちんとした治験をしようというのですから、評価はできます。