がん患者は、食品の放射能汚染をどこまでなら許容できるか?

明日から一泊で信州・渋温泉へ旅行です。紅葉はちょうど見ごろですが、あいにくの雨の予想です。29日のチェロ発表会に向けて練習にも熱を入れているので、ブログの更新が滞っています。

文部科学省が「放射線量等分布マップ」サイトを新しく公開しました。電子国土版では自宅付近を大きく拡大できるので、ホットスポットも確認できます。これを利用して被ばく線量の計算に使えないかと考えています。

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というのも、ネット上にはいくつか被ばく線量計算プログラムがありますが、入力が煩雑だったり、ストロンチウムの影響を考慮していない。また、ICRPの線量評価モデルだけでECRRモデルとの比較ができないなどの不満があります。それなら自分で作ればいいだろうと、一念発起です。

埼玉県ではお茶のメーカーも倒産したりと影響が出ています。全国の食品放射能データを見ても、500Bq/kg以下の食品も結構見つかっていますし、二本松では500Bq/kgの米が検出されて話題になりました。暫定規制値以下なら「安全だ」という首長まで出てくるしまつです。放射能はどんなに少なくてもそれなりのリスクがあるのですが、それは実際どの程度なのか? 3.11以後はきれいな食べ物はないと覚悟すべきなのですが、ではどこまでなら許容して摂取するのか。

この答えを見つけるためには食品の全数検査を政府に要求しなければなりません。500Bq以下でもどの程度なのかを知ることで、消費者は自分で判断できます。生協などはその方向で取り組んでいるようです。それとともに、その汚染度ならどの程度のリスクになるのか、ICRPとECRRではどのように評価が違うのかを知る必要もあります。何ベクレルなのか、そのリスクは? 二つの情報が必要です。

がん患者にとっても、食べ物の放射能は気になるところです。今被ばくしても、立派な癌細胞に育つには10年、20年かかるから、がん患者は気にしなくてよいと、私も以前は考えていました。しかし、被ばくによって免疫機能が落ちる、特にストロンチウム90は、NK細胞を不活性化するとの研究もあり、がん患者にとってこそ被ばく問題は切実だと考え直しました。

被曝はガンの過程を2つの方法で促進させることもできる。最初のものはプロモーション、すなわち、細胞における複製の速度を一般的に増加させることによる(このために突然変異が起きる公算と損傷細胞の数もまた増加する)。2つ目のものは一般的な免疫システムにストレスをもたらすことによる。すなわち、免疫システムに基づく正常ガン細胞監視機構(normal cancer surveillance mechanisms)の抑制による。(ECRR2010より)

放射線量分布マップからは土壌の汚染度をkBq/㎡単位で知ることができます。その土地での地上1mの高さでの空間線量率は、IEAEのデータから求めることができます。この資料は放医研が「放射線緊急事態時の評価および対応のための一般的手順」と題して日本語訳を出しており、これらを使って外部被ばくを評価できます。

土壌の汚染データを使う理由は、空間線量率では測定器による誤差が大きすぎるということと、セシウムとストロンチウムの影響を分けて計算するには土壌汚染のデータの方が扱いやすいという点です。安価な放射線測定器で測った空間線量率では、校正もされていないだろうし、機器による誤差が大きすぎます。

例えばセシウム137が100~300kBq/㎡程度に汚染されている土地は、茨城県でも結構広い範囲が存在します。ここに居住している人の年間被ばく線量はどうなるのか、全ての食物が500Bq/kgという暫定規制値なら、どの程度の内部被ばくになるのかを計算できます。まだ未完成ですが、ExcelのVBAでプログラミングして計算した結果を下図に示します。

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外部被ばくが(屋外10時間/日)約14mSv、内部被ばくは ICRPのモデルで4.2mSvですから、食品安全委員会が年間5mSvとなるように暫定規制値を決めたということが確認できます。しかし、ECRRのモデルでは108.5mSv、なんと26倍!の被ばく線量になりました。これはICRPとECRRではベータ線放出核種であるストロンチウム90に対する係数が300倍も違うためです。

では、がん患者としてならどこまで食物汚染を許容できるか。これはそれぞれの個人が決めることですが、私は少なくとも100Bq/kg以上のものは避けるべきだと思います。都内に住んで土壌汚染は10kBq/㎡以下だとして、全食品が100Bq/kgのものを食べるときの被ばく線量は、
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外部被ばくは0.5mSv程度だから許容できるとして、100Bq/kgで汚染された食物による内部被ばくは、ICRP:0.8、ECRR:21.7mSvになります。ECRRのモデルによる計算は、原発内の作業に従事している労働者の5年間で100mSvという許容線量を超える線量です。ICRPを信じるか、ECRRが正しいと考えるかは人それぞれでしょうが、双方の計算値を比較できます。これらの被ばくによりがんなどのリスクがどの程度増えるのか、それはもう少しプログラムに手を加える必要があります。


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