膵臓がん患者と糖質制限食

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主食をやめると健康になる ー 糖質制限食で体質が変わる!
手術後の食事について、がん研の主治医の先生から言われたのは、肉類は摂りすぎないように、お酒はほどほどなら良いが蒸留酒(焼酎・ウィスキー)の方がベター、とだけでした。さらに「糖尿病の管理は不得意だから、地元の先生に相談してください」とのことでした。

夏頃からHbA1cが7.0と高くなりました。たぶん夏場のビールのせいかもしれません。さらに酷暑の間はウォーキングも減らしていました。でも夏はやはり焼酎よりもビールだよね。最初の一杯は何物にも代えがたい。先月の検査では5.6となり、落ち着いてきました。4年半も経って、食事に関して少々ルーズになっているのかもしれません。ということで膵臓がん患者の食事について再考しています。

「糖尿病治療」の深い闇
膵臓がん患者はインスリンが不足することが多いので、食事も糖尿病食並みで良いはずです。最近の糖尿病の食事指導は、かつてのカロリー制限ではなく「糖質制限食(カーボ・カウンティング)」だそうです。糖質制限食は京都の高雄病院の理事長である江部康二医師が提唱し、2005年に東洋経済新報社から『主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ
』を出版して話題になったものです。しかし、当時は(今も?)反論も多かったようです。その間の事情は右の『「糖尿病治療」の深い闇』に詳しく書かれています。しかし最近はむしろメジャーな治療法になっている感があります。糖質制限食を簡単に江部先生のブログから引用すると、

『糖質制限食十箇条』 ー糖尿病や肥満が気になる人にー

  1. 魚貝・肉・豆腐・納豆・チーズなどタンパク質や脂質が主成分の食品はしっかり食べてよい。
  2. 糖質特に白パン・白米・麺類及び菓子・白砂糖など精製糖質の摂取は極力控える。
  3. 主食を摂るときは未精製の穀物が好ましい(玄米、全粒粉のパンなど)
  4. 飲料は牛乳・果汁は飲まず、成分未調整豆乳はOK。水、番茶、麦茶、ほうじ茶もOK。
  5. 糖質含有量の少ない野菜・海草・茸類は適量OK。果物は少量にとどめる。
  6. オリーブオイルや魚油(EPA、DHA)は積極的に摂り、リノール酸を減らす。
  7. マヨネーズ(砂糖無しのもの)やバターもOK。
  8. お酒は蒸留酒(焼酎、ウィスキーなど)はOK、醸造酒(ビール、日本酒、など)は控える。
  9. 間食やおつまみはチーズ類やナッツ類を中心に適量摂る。菓子類、ドライフルーツは不可。
  10. できる限り化学合成添加物の入っていない安全な食品を選ぶ。

『糖質制限食』の3パターン

  1. スーパー糖質制限食は三食とも主食なし。効果は抜群で早く、一番のお薦め。
  2. スタンダード糖質制限食は朝と夕は主食抜き。
  3. プチ糖質制限食は夕だけ主食抜き。嗜好的にどうしてもデンプンが大好きな人に。

※抜く必要がある主食とは米飯・めん類・パンなどの米・麦製品や芋類などの炭水化物。

糖質制限食の理論的根拠
1、血糖値を上昇させるのは糖質である。
2、糖質を摂取しなければ血糖値は上昇しない。
3、糖質制限食を実践すれば血糖値は上昇せず糖尿病は改善する。

アマゾンで「江部康二」を検索すると結構な数が表示され、タイトルもなんだか済陽高穂の食事療法本に似たイメージを受けますが、内容と治療法の根拠はしっかりしたものがあるようです。

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国立循環器病センターのサイトにある次の図は、NEJMの論文からとったものですね。

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図4 低炭水化物食と地中海食は低脂肪食に比べ減量に有効である

また、糖質制限食の特徴を簡単に要約しています。

  1. 朝食と夕食は主食抜き。昼食のみ適量の主食を取る
  2. 昼食の主食以外、でんぷんや砂糖などの糖質の多い食品は不可
  3. 副食はたんぱく質と脂肪を主に含む食品を中心にする
  4. 脂肪の摂取を特に制限しないので、炒め物、揚げ物を含め、ほとんどの調理法が可
  5. 晩酌は、焼酎やウイスキーなどの蒸留酒を適量ならば可

炒め物も揚げ物も結構、焼酎も飲んで良いのだからありがたいです。チェロのレッスン日はこれを守って、いつも”野菜天ざる+そば湯割りのそば焼酎”で食事をして、ほろ酔い加減で弾いています。

日本糖尿病学会は、糖質制限食に関してまだ批判的な見解のようで、学会誌『糖尿病』の2011年4月号に杏林大学医学部・石田均氏の「カーボカウントの利点と欠点」と題した論文が載っており(内容は確認できなかった)、それへの反論が江部先生のブログにあります。これまでの糖尿病はカロリー制限が主であり、教育入院で厳格に管理されて血糖値が良くなっても、自宅に帰ったらそのような食事管理はなかなか難しい。結局振り出しに戻ってしまう。糖質制限食はいわば「偉大なるおおざっぱ」な食事療法であり、続けることができる点が支持されるひとつの理由でしょう。

国際糖尿病連合の『食後血糖値の管理に関するガイドライン』15ページには次のような記述があります。

問 3:食後血糖の管理にはいずれの治療法が有効か?
糖負荷の低い食事は食後血糖値の管理に有益である[レベル1+]

栄養学的介入,運動,および体重管理が,依然として効果的な糖尿病管理の基礎である。定期的な運動および理想体重維持の重要性と有益性に反論する者はほとんどいないが,最適な食事の組み立てに関してはかなりの論争がある。ある種の炭水化物は食後血糖値を上昇させるおそれがある。血糖指数(Glycaemic Index:GI)は,各食品中の炭水化物重量で血糖上昇効果(食後増加分の曲線下面積として表す)を比較して炭水化物食品を分類する方法である。ジャガイモ,白パン,黒パン,米飯,朝食シリアルなど現代のデンプン質食品の大半は比較的高いGIを示す[86]。低GI食品(例:マメ類,パスタ,大半の果物)は,より緩徐に消化・吸収されるデンプンや糖質を含むか,もともと血糖値に影響を及ぼしにくい(例:果糖,乳糖)。食事中の炭水化物含有量とその平均GIとの積である食事の糖負荷(Glycaemic Load:GL)は,食後血糖値およびインスリン必要量の「包括的」推定値として利用されている。初期の論争にもかかわらず,単一食品のGIおよびGLは混合食摂取後の血糖反応やインスリン反応を予測する上で信頼できることが立証されている[87,88]。GIの導入は炭水化物カウンティング(carbohydrate counting)以上に糖尿病管理に役立つ可能性がある[89]。

糖質制限食はカウントするわけではない”いい加減な食事療法”ですから、この指摘の全ではあてはまらないと思います。GI値を管理するよりも簡単かもしれません。

いろいろ論争があることはさておき、膵臓がん患者はどう考えれば良いのか? 血糖値を管理していただいている先生に、今日は診察日だったので、その辺を確認してみました。

「私は糖質制限食を積極的に勧めていますよ」と、あっけない返事でした。「賛否両論があるようですが?」との問いには、「もうしっかりしたエビデンスが揃っていますよ。何よりも私の患者にも結果が出ています」とのこと。「あなたの場合は腎機能にも異常はないから糖質制限食をやって心配はないが、HbA1cも悪くないわけです。でも膵臓がほとんどないのだから、大量の肉は消化しきれない。夕食だけの糖質制限食程度にしておくのが良いでしょう。要するにバランスよく食べて運動することですよ。」つまり、3パターンの「プチ糖質制限食」で良いということでした。

ま、あたりまえのような結論になりました。結局は今の私の「緩やかな玄米菜食+魚を摂る地中海食」の食事を変える必要もないということです。糖質制限食も『がんに効く生活』で勧めている地中海食もほとんど同じ(ちょっと味付けしたもの)。肉に対してどう考えるかは、患者それぞれ自分の病気に応じて決めれば良いのです。

もうひとつ大切なことは、砂糖を摂りすぎないこと。砂糖はがんの栄養です」とはシュレベールの言葉ですが、糖質制限食でも砂糖を極力避けるように言っています。

それにしても、膵臓がん患者がゲルソン療法だとか星野式、済陽式あるいは「ガンの患者学研究所」の厳格なタンパク質抜きの食事を摂るというのは、他のがんならともかく、膵臓がんには自殺行為かもしれません。

注意:糖質制限食によりリアルタイムに血糖値が改善します。このため、既に経口血糖降下剤(オイグルコン、アマリールなど)の内服やインスリン注射をしておられる糖尿人は低血糖の心配がありますので必ず主治医と相談してください。
また、腎障害、活動性の膵炎、肝硬変の場合は、糖質制限食は適応となりません。 糖質制限食は、相対的に高タンパク・高脂肪食になるので、腎不全と活動性膵炎には適応となりません。 肝硬変では、糖新生能力が低下しているため適応となりません。 なお、機能性低血糖症の場合、炭水化物依存症レベルが重症のとき、糖新生能力が低下していることがあり、まれに低血糖症を生じますので注意が必要です。必ず主治医にご相談下さい。

主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ 主食を抜けば糖尿病は良くなる!糖質制限食のすすめ
江部 康二


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膵臓がん患者と糖質制限食” に対して1件のコメントがあります。

  1. キノシタ より:

    空さん。
    すい臓がんの兆候としては、血糖値が異常に高くなって下がらなかったことです。あとは足がつる、喉が渇く。最初のころのブログに経過は記してあります。

  2. より:

    キノシタ様
    お答えいただきありがとうございます。
    なるほどと思いながら読みました。
    更新されるのを楽しみにしています。
    今更お聞きするのもなんですが、
    前兆?なるもの、ありましたか?
    たとえば、お腹が痛いとか、、、、
    私は膵臓や胆のうが弱いらしく
    エコーでいつも何かひっかかります、、、

  3. キノシタ より:

    空さん。
    がんが増えたのは欧米の食生活に変わってきたのが原因→欧米は牛・豚肉を摂ることが多い→牛・豚肉は脂質が多いが鶏肉は少ない→四足動物は駄目だが二足動物は良い。
    とまぁ、こんな論理でしょうか。これらの主張に科学的な根拠はありません。少なくとも私は科学的なデータを元に主張されている方を知りません。東城百合子氏らがこんな考えだとは承知していますが。
    仮にがんになったのが四足動物の肉を摂りすぎたのだとしても、それも止めたからといってがんが治るわけではないでしょう。がんを治すには体力が必要です。バランスの良い食事が第一です。
    膵癌の場合は血糖値の管理が問題になるため、私の場合は糖質制限をするためにタンパク質・脂質や野菜を摂り、糖質を控えています。ご飯を食べないとしたら野菜の他は肉や魚を食べるしかありません。
    と、以上は私の個人的見解ですので、一般化しないでくださいね。それぞれが自分の納得できる食事をすれば良いでしょう。ブログの記事がそのための参考となれば幸いです。がんの治療に、たったひとつの絶対に正しい方法などはありません。

  4. より:

    はじめまして。
    いつもブログ、拝見しています。
    お元気で何よりです。
    ガンとたんぱく質についてですが・・・
    一般に四足動物の肉を控えるように言われますが、
    膵臓の場合は違うのでしょうか???

  5. キノシタ より:

    福笑さん。「努力して飲み続ける」。気持ちは分かります。私も「酒は俺のQOLだ!」と飲み続けています。ビールも今では糖質ゼロがありますから、夏場はそれにすれば良かったのかも。
    江部先生自身が糖尿病医でありながら糖尿病になり、糖質制限食に本気になったそうですから、何が転帰になるか分かりません。そのおかげで糖質制限食が認知されるようになったのですが。
    医者でも本人や家族が糖尿病になったら、効果のないカロリー制限ではなく糖質制限食を隠れてやっている例が多いそうですが、これって標準治療の抗がん剤と似ていますね。
    医療の常識で数十年ひっくり返らなかったものの方が少ないのではないでしょうか。

  6. 福笑 より:

    ご参考までに私の経験を。肝機能のGPTだけが少し高く、飲酒をかなり控えていました。何かピンとくるものがあり、糖質制限療法に踏み切り、飲酒も努力して?毎日続けました。すぐに四㌔ほどやせ、約一ヶ月で肝機能はすべて下がって正常になりました。
    ビールと日本酒が好きでしたので、糖質過多の脂肪肝だろうと、江部先生からメールで診断されました。栄養学の常識も変わるのでは、と思います。
    おかげで、無糖ビールや焼酎を楽しんでおります。

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