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天に星、地に花、人に慈愛

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私は帚木蓬生のファンである。彼の作品はほとんど読んでいる。もちろん『三たびの海峡』は彼の代表作であるが、『風花病棟』『ヒトラーの防具』『アフリカの蹄』『アフリカの瞳』、どれもすばらしい作品であった。

今年でたのは『天に星 地に花』である。やはり医者が主人公の江戸時代の久留米藩を舞台にした時代小説である。多くの時代小説が、江戸の町を舞台にした武士や町人を描いているのに対して、帚木蓬生は農民とその生活を執拗に描いている。

天に星 地に花

天に星 地に花

帚木 蓬生
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この小説も前作である『水神』と同じ筑後川周辺の農村を舞台にして、大庄屋の次男坊である少年の目を通して百姓一揆や百姓の凄惨な生活を描き出す。

「天に星 地に花 人に慈愛」はゲーテの言葉だと言われているようだ。武者小路実篤が色紙に好んで書いたとも言う。しかし、東京ゲーテ記念館のサイトには次のように、その根拠が確認できないと書かれている。

Q:  「天に星、地に花、人に愛」はゲーテの言葉と聞きましたが、どこで言っているのでしょうか?

A: おたずねの文に該当するドイツ語を、当館所蔵の数種類のドイツ語版ゲーテ全集で調べましたが、この内容に合致するドイツ語文は(いまのところ)発見できていません。
なお、「天に星/地に花/人に愛」(縦書き、句読点なし)は、武者小路実篤が1948~9年ごろ書いた詩文(求められて即興で色紙に書いたのが初めという説もある)として、たとえば『武者小路実篤全集』第十一巻(「詩千八百」、小学館、1989年)等に再録されています。
しかし、『太陽』(明治29〔1896〕年8月号)に初出の「『今戸心中』と情死」(『樗牛全集』第二巻、博文館)という文章のなかで、高山樗牛が、  天にありては星、地にありては花、人にありては愛。(全文に傍点の総ルビ)と書いていますので、武者小路は当然読んでいたはずで、彼が「天に星・・・」と書いたときは、この文章を自分流に若干アレンジしただけだったのかもしれません。

【注】→高山樗牛の原文(クリック)
そのため、普通に考えられるのは、この文の原典は高山樗牛であるということですが、依然として、ゲーテないしは他の誰かがこの内容にあたる文章を書き、高山と武者小路が、それぞれ別の経路で類似の翻訳にいたったという可能性は残ります。
今後、当館所蔵の全集に含まれていないゲーテのテキストから、当該の原文が発見される可能性もありますが、当面は、この言葉はゲーテのものではない、と言わざるをえません。

誰が言ったのかはともかく、良い言葉である。天には星がなければならない。地には花がなければならない。殺伐とした世であるからこそ、人には慈愛がなければならない。

年貢に苦しむ農民に追い打ちをかけるように、夏成物にもこれまでの10分の1から3分の1に増徴するという通達に、これでは百姓は生きていけんと一揆が起きる。若き名家老 稲次因幡の働きで通達は撤回される。その年後、8歳以上のすべての住人に「人別銀」が課せられようとする。そして百姓はまた立ちあがり・・・・・。

今も昔も重税は変わらない。消費税などは貧富にかかわらずに課せられる、いわば「人月銀」と同じであろう。しかし、現在の日本人はどうだ。諦めているように見える。弱いものはさらに弱くなり、沈んでいるのを眺めている。

庄十郎のち凌水は、師である鎮水から医師の心得として、<貴賤貧福にかかわらず>丁寧・反復・婆心だと説かれる。婆心は度の過ぎた親切ではなく、心を込めた親切。医の諫めは、一つに思い上がり、二つに欲に迷わず、三つ、責任を取る。誠に今の医療に欠けているものもこれらである。

この世で大切なものは「は、はは、ははは」

第一は歯、次が母、そして病を得ても笑いは忘れないで、はっ は は はっ。これが養生の第一。歯が悪くては良く噛んで滋養にすることができない。病気を治すのは己の体力である。

人の身体は自ずから復元する力を有するという不変の事実であり、これに人はなかなか気がつかず、医の道を志すもの、あるいは医の道を究めたと自負する医師でさえも気がついておらぬことが多い。

医とは、究極のところ、その復元力を邪魔しないことに他ならない。

がんという病だって同じことだ。治療を続けるためにも、よく食べて体力をつける。治るか治らないか、最後の決め手になるのは己の治癒力である。

「明日を信じて 明日を考えず」

やるべきことをやったならあとは祈るだけ。医学が進歩したからといっても、まだまだ限界がある。江戸時代とたいして変わったわけではないとも言えよう。


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