がん放置療法:特報首都圏

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昨夜のNHK特報首都圏は『がん治療 あふれる情報にどう向き合う』のタイトルでしたが、内容はおもに「がん放置療法」への批判でした。

がんと診断されたときに、今ではインターネットで簡単に情報を得ることができますが、雑多な情報が氾濫するなかで、患者は戸惑っているようすがアンケートに示されています。半数以上の患者が「戸惑う」「判断が難しい」と感じているのです。

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近藤誠氏の「がんは放置した方が良い」という放置療法、船瀬俊介氏に代表される「抗がん剤は増がん剤」だという主張、さまざまな代替療法などに翻弄され、何を信じて良いのか分からなくなり、自分で自分の治療法を決められないというのが多くのがん患者の実情だろうと思います。

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特に、最近の近藤誠氏のメディア露出度はすさまじく、長尾和宏医師もたびたびブログで苦情を書かれているように、医療現場への影響は無視できないほどになっているようです。

放置療法を選択したという安藤望さん(55歳 仮名)が登場します。3年前に初期の乳がんだと診断されたが、担当の医師はモニターを見るだけで、顔の表情も変えることなく一方的に早口で「手術と抗がん剤」を勧めるだけで、安藤さんの話などまったく聞いてくれなかったといいます。

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手術の成績や抗ガン剤の副作用についても丁寧な説明がなく、そんなとき「抗がん剤は増がん剤」「手術すればあなたは死ぬ」と断定的に言う医者がいれば、そのまま胸にすこんと入ってしまうのです。そうなったら、聞く耳は持たないで、標準治療は一切ダメだとなってしまう。

しかし結局痛みに耐えきれずに、別の病院の診察を受けるのですが、両方の乳房に腫瘍が広がり、すでに肺に水もたまってリンパ節へも転移している状態でした。

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抗がん剤の効果で腫瘍も縮小して肺にたまった水もほとんど消えるまでになってきました。しかし、治ることはありません。「普通に治療していれば今頃は元気にやっていた。がんも完治していたと思っています。この代償はすごく大きいなって思います」

放置療法を選択してがんが転移し、「痛い、痛い」と叫びながら死んでいった患者の手記も紹介されていました。50枚のノートにびっしりと書かれた手記には、放置療法を勧めた医者が、転移しても鎮痛剤すら処方してくれなかった実情が書かれていました。放置療法を勧めるのなら、末期の痛みへの対処も含めて、最後まで面倒を見るべきではないでしょうか。

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腫瘍内科医の勝俣範之医師は、「問題は医療者側が一方的に、抗がん剤をしなさい、あるいはするなと押しつけの医療をしていることです。患者の希望や価値観を聞き出せていない。患者と医療者の間に信頼関係がなければ、いかに科学的な根拠がある治療でも受け入れられない」と言います。がんの放置療法が一定の患者の支持を得ている背景には、こうした医療者側の問題が存在していることに目を向けるべきだと言っています。

玉石混淆のたくさんの情報のなかから、有益なものをどのようにして選択するか。大野智医師は厚生労働省と共同で、そのようなニーズにマッチするサイトを立ち上げています。

「統合医療」情報発信サイト』は「統合医療」全般に関する有益な情報源であると同時に、上部の検索窓に工夫があります。

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「Googleカスタム検索」機能を組み込んで、信頼できる情報源からだけ、キーワード検索ができるようになっているのです。ま、これが良いのか悪いのかは別問題。標準治療だけが「治療」であり、他はダメという姿勢に見えてしまう。

医者は、大勢の中のひとりの患者、たんなる病気の治療としてみるが、患者にとっては、がんは死をも意識した人生の一大事なのです。そこにもズレがある。患者の価値観を知り希望を聞くといっても、告知された患者は混乱していて、医療に関する知識もまだ十分でない。専門用語の意味すら分からない。そうした患者に丁寧に説明する時間もない。インフォームドコンセントと言っても、早口でまくし立てて、とにかくサインをもらって医療訴訟にならないようにしておこうという態度になるのは無理からぬことかもしれません。

再発や転移をしたがんの場合、抗がん剤は「症状の緩和と延命効果」を目指してやるのだということを、はっきり説明している医者はどのくらいいるのでしょうか。「中には治る患者もいる」「治ることまでは難しいが・・・」などと曖昧に濁しているのではないでしょうか。医者も人の子ですから、言いづらいということもあるでしょう。医学は不確実性、医療の効果にも個人差が大きいので、”科学的”に説明しようとすると、はっきりと断定できずに「統計的に言えば・・・」などと曖昧な言い方になってしまいます。患者にとっては「自分はどうなるのか」が知りたいのに、それには答えられない。それが正解なのですが、一方で「絶対に治る」とか「抗がん剤で殺される」と断定的に言われれば、ふらっとそちらに傾いてしまう。

高齢者や末期のがん患者の場合に放置療法というのは、私はあってしかるべきだと思います。また、再発後の抗がん剤にはたいした延命効果がないと判断できるなら、副作用に耐えるよりも生活の質(QOL)を重視して治療をしない選択をする、これもありでしょう。自分がどのような最期の時間を過ごしたいのかを明確にすることが大事です。そのためにも、抗がん剤は症状の緩和と延命効果があるだけで、腫瘍が消えることはない、いずれ効かなくなって死が訪れるのだと、医者も説明し患者も承知しておかなければならないと思います。

私が感じるには、経済的な理由で放置療法を選ぶ患者も多いのではないでしょうか。最近の分子標的薬などは治療費が高額です。1回の抗がん剤治療費が3万から5万円にもなります。特に家庭の大黒柱ががんになって収入が途絶えたり激減したとき、治療費を払うと家族が生活できない事例もたくさんあります。

こうした治療費が払えない患者にとって、放置療法は一定の説得力ある根拠のように思える、あるいはそう思おうとするのではないでしょうか。そう思うことで自分を納得させることができる。そんな一面もあるように思います。

マニュアルどおりの標準治療だけが正しいと押しつけていたら、ますますがん患者は別の方法に向かいそうな気もする。


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がん放置療法:特報首都圏” に対して3件のコメントがあります。

  1. 金魚 より:

    キノシタ さま
    早々にコメントありがとうございました。
    これからは、リハビリに時折お邪魔したいと思います。
    線虫でのがん早期発見などおもしろいニュースが続きますが、
    現場の問題は、まだまだ続きますからね、出来ることからやらねばと思っています。

  2. キノシタ より:

    金魚さん、お元気そうで一安心です。
    末梢神経障害ですか、キーボードを打つのも辛いですよね。
    「患者は日々の小さな選択の繰り返し」人生が選択の繰り返しですが、がん患者になればそれが余命に影響することもあるから深刻です。
    手術前に歯の治療を、というのは私も以前にブログに書いた記憶がありますが、医者でもまだまだ認識されていないようです。
    また、ぼちぼちお付き合いください。

  3. 金魚 より:

    キノシタ さま
    ご無沙汰しております金魚です。
    大腸がんの術後補助化学療法を終了し、4か月少々ですが、末梢神経障害にてずいぶんとご無沙汰いたしました。
    副作用は承知の上で、治療選択した私でも、かなり難渋しております。
    治療選択の難しさは言うまでもないですが、日々の副作用対策でも患者にとっては日々小さな選択の繰り返しであり本当に大変ですよね。
    15年ほど前、がん専門看護師を目指していた私は、患者になって現場が必ずしも改善されていない状況に愕然としました。
    手指の痺れで復職も難しいのですが、何か出来ないか模索する日々です。
    たとえば、乳がん化学療法において脱毛から改善しない例が認められる中、30年前からこころみられている冷却キャップなどのチャレンジがされないのは何故か?
    している施設もあるので、格差も問題ですし、
    お金をかけてやるほどのエビデンスが無くても、女性ならしたいです・・・という気持ちを確認する場も無い現状・・・
    海外では有効な機械も開発されているようですが、QOL維持についての知識すら十分得られないのは非常に厳しいと思うのでした。
    術前から歯科に行くべきとか、皮膚障害の予防とか先手を打てずに、すべては起きてからの事後対応というのも残念です。
    話すことへのコストが付かない限り無理だというのでしょうか・・・
    医師以外の説明を十分に補助できるスタッフの数が、まだまだまだ不足していることを強く感じております。

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