膵臓がんと言われたら:お勧めの10冊
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膵臓がんを告知された患者さんの多くは頭の中が真っ白になると言われております。そして気を取り直して、まず最初にやるのが膵臓がんに関する本を探すことではないでしょうか。
しかし、町の本屋さんやインターネット上にはがんに関する書籍がたくさんあり、選ぶのに迷います。中には根拠のない治療法を勧める怪しげな本もありますから注意が必要です。(特に済陽高穂氏の本など)
「四つ足の動物の肉はダメだ」とか「にんじんジュースでがんが治る」など、患者を食い物にするエセ療法に放ってしまうがん患者は少なくありません。
賢い選択をしてください。
お勧めの10冊
膵臓がん患者を長年続けてきた私が、その経験から、告知されてまもなくの患者さんに勧める10冊の書籍を紹介します。
膵臓がん:受診から診断、治療、経過観察への流れ
まずは敵を知ることが大切です。「がん情報サービス」の膵臓がんに関する冊子です。
こちらからPDFを無料でダウンロードすることができます。(図をクリックしても可能)
もっと知ってほしいすい臓がんのこと
NPO法人キャンサーネットジャパンの制作で、国立がん研究センター中央病院 肝胆膵内科 科長 奥坂拓志先生が監修・執筆をされています。(画像をクリックしてダウンロードできます)
このテキストを元に、奥坂先生が解説をした動画があります。
専門医が教える最強のがん克服大全:佐藤 典宏
「膵臓がん患者と家族の集い」でも何度も講演をしていただいて、大好評だった佐藤典宏先生の著作です。
この本は、がん治療の専門医である佐藤典宏先生が、エビデンスに基づいた最新のがん治療法を紹介しています。著者は、1000例以上のがん患者を治療した経験を持ち、がんに関する最新の情報を提供しています。内容は、がんの最新情報、がんと食事、抗がん剤やサプリメントの情報、がんサバイバーになるためのアドバイスなど、多岐にわたります。
エセ医療の罠:岩澤 倫彦
この本は、日本の医療制度における「エセ医療」の問題を取り上げています。特に、がん治療において効果が証明されていない自由診療が高額で提供される現状を批判しています。著者は、末期がん患者に対して希望を与えることを目的とした治療が、実際には患者の不安や恐怖心を利用していると指摘しています。また、医師免許による医師の裁量権が問題の告発を妨げていると述べています1。この本は、日本の医療の深い闇に迫る一冊です。
高額な「免疫細胞療法」に騙されないためにも。
がんに効く生活:シュレベール
もう絶版になっていますが、統合医療のバイブル本です。私もこの本には随分と教えられました。中古で入手が可能です。
この本『がんに効く生活』は、著者のダヴィド・S・シュレーベルが、自身の脳腫瘍との闘いを通じて得た知見をもとに、がんを予防し、治療をサポートするための生活習慣を紹介しています。著者は、手術や化学療法を受けながらも、食事、心のケア、運動などの統合医療を実践し、がんの成長を抑える方法を探求しました。
本書では、がんのメカニズムを解説し、がんを育てない、たとえがんになっても成長させないための具体的な生活術を紹介しています。著者の人生観や経験も交えながら、がんと向き合うための新しい視点を提供しています。
がんと闘っている人、治療後も不安が消えない人、身近な人ががんと告知された人、そして健康を維持したい人に向けた、がん体験記と克服法を兼ね備えた一冊です。
がんが自然に治る10の習慣:ケリー・ターナー
- 運動を生活の一部にする
- スピリチュアルなつながりを深める
- 自分自身に力を与える
- ポジティブな感情を高める
- 直感に従う
- 抑圧された感情を解放する
- 食生活を変える
- ハーブとサプリメントを活用する
- 生きる強い理由を持つ
がんが自然に治る10の習慣――余命宣告から奇跡的な回復を果たした劇的寛解者たちの希望
運動を再開することによってステージⅣの膵臓がんから劇的に寛解したニュージーランドのトレマネ氏の例が載せられています。
膵臓がんから劇的に寛解した患者の共通点=運動と心の平安です。
各分野の専門医が教えるあなたにとって最適な「がん治療」がわかる本
プレジション・メディシン、がん免疫療法、分子標的薬、治験……がん治療は日進月歩、「がん治療は情報戦」とも言われており、手術・抗がん剤・放射線の標準治療の中にもたくさんの選択肢があり、標準治療以外の治療法も含めれば玉石混交、その選択肢は無限にあるとも言えます。では、その中で自分に合う治療法を選ぶにはどうすればいいのか、そもそも、どんな治療が自分に合うのか、治療法を選ぶ以前に、自分や家族が「がんの疑いがある」と言われて、どうすればいいのか。そんな悩みに答えてくれる一冊です。
サイモントン療法:川畑伸子
私自身も、膵癌の術後早い段階からサイモントン療法を行ってきました。
サイモントン療法は、アメリカの放射線腫瘍医カール・サイモントン博士により開発された、がん患者さんとご家族のための心理療法です。イメージ療法の一つサイモントン療法も、古くから多くのがん患者さんが取り入れて効果を確認されています。
がん患者さんのためのマインドフルネス瞑想法:保坂隆
マインドフルネス瞑想法には、決して主観的、経験的に留まらない数々の効果があり、精神面でもまた脳や免疫系への影響という面でも、多くのメリットをもたらすものであることが知られるようになってきました。今日では「マインドフルネス瞑想法は怪しいもの」と考える医療者は少数となっているでしょう。
粒子線治療がしっかりわかる本
2022年4月に、陽子線・重粒子線治療が膵臓がんに保険適用されました。それ以前は約300万円の自己負担だったので、諦めた方も多かったでしょう。膵臓がんに対する治療成績も参考になります。