69回目の憲法記念日
今日は69回目の憲法記念日。この日には憲法に関する記事を何度か書いてきた。
今年は東京新聞の特集がいい。
【いま読む日本国憲法】
- (4)第9条 平和主義の根幹 自民草案では「国防軍保持」を明記(2016年5月3日)
- (3)第7条 首相、解散権の根拠に(2016年5月2日)
- (2)第1条 天皇は「象徴」的存在 自民草案では「元首」と規定(2016年4月30日)
- (1)前文 はじめに非戦誓う 自民草案では「国家」前面に(2016年4月29日)
毎日新聞の特集ワイド『憲法記念日を前に~「憲法学者、石川健治・東大教授に聞く」』も良いけど、有料会員限定だった。勿体ない。一部引用する。
「国民全員が敗者」ということについて。
石川さんはもう一つ大きな問題があると指摘する。解釈改憲と安保関連法の成立は、安倍政権を支持する人々の勝利であり、9条を守りたい人々の敗北だ-と見る構図だ。「いや、そうではありません。私たち全員が負けたのです」と切り出した。「立憲主義は主張の左右を問わず、どんな立場を取る人にも共通した議論の前提です。安倍政権はこの共通基盤を破壊しました。だから私たち国民全員が敗北したといえるのです」
国民が敗者--。戦後、新憲法のもとで築き上げた共有財産が崩れたというのだ。大切な土台は突然破壊されたわけではない。安倍政権は13年8月、集団的自衛権行使に賛成する官僚を内閣法制局長官に登用した。「法の番人」の独立性を保つため長官人事に政治力を発揮しない、という歴代内閣の慣例を破った。さらに昨秋、野党が要請した臨時国会を召集しなかった。憲法は衆参どちらかの総議員の4分の1以上の要求があれば召集せねばならない、と規定しているにもかかわらず。「基盤」は破壊され続けている。
石川さんは「憲法を守れ」とだけ叫ぶことはしない。「日本国憲法は権力の制限や人権尊重を最重要視する近代立憲主義の上に成り立っています。『政権がそれ以上踏み込めば立憲主義が破壊される』という、越えてはいけない最後の一線はここだと指摘し続けることが、僕の役割だと思っているのです」 憲法学者の毅然(きぜん)とした覚悟と誇りを見た。
膵臓がんの手術をした2007年に『キムタクの『目』と憲法』を書いたころは、まさかこんな状況になるとは想像もしていなかった。国民全員が敗者だ。