今日の一冊(53)『孤独を克服するがん治療』
このブログでも時々紹介している『がん治療の虚実』sho先生の初めての本です。
ブログ『がん治療の虚実』では、がん治療の科学的根拠を一般の患者にも分かりやすく丁寧に説明してくれます。これって結構難しいことなんですね。「科学的」にこだわれば専門用語や統計の話になる。難しいことを難しく説明するのは簡単ですが、難しいことをやさしい言葉で説明することは相当のエネルギーと深い理解がないとできません。
sho先生は、
私はがん治療医として、20年以上にわたりがん患者さんと接しています。また、勤務医としてできることに限界を感じ、NPO法人宮崎患者共同勉強会を設立してがん患者さんの不安や要望に正面から対応してきました。
本書では、実際にがん患者さんやその家族から寄せられる質問を厳選しました。その上で、ひとりのがん治療医として医学的妥当性を保ちつつ、患者さんの心情に寄り添ったアドバイスを綴っています。
と本書を上梓した動機を述べています。
- がんを告知された患者にとって、目の前が真っ暗で落胆することが多いでしょう。告知された当初は「何が分からないのか、分からない」状態です。
- 抗がん剤は本来、患者の苦しみを和らげるためのものです。耐えられない副作用に耐えてまで抗がん剤をやるのは本末転倒です。
- 代替医療は「絶対悪」ではないと考えています。「まだ別の選択肢がある」と患者が希望が持てることもある。
- がん治療だけに残りの人生やお金をつぎ込むのは懸命ではない。
- 治療だけの修行のような人生となるのは、あまりにももったいない。
などなど、患者会を主催していたsho先生ならではの、実践的な助言が豊富に載っています。
本の中の随所で「がんの患者会」や「がんサロン」に出かけて、サバイバーの方と触れあいましょう、と提案しています。同じ苦しみや悩みを抱えてきた先輩の経験が大いに参考になるからです。
主治医との円滑なコミュニケーションをとるために、困っていることや気になることを箇条書きにして(ここからがいい!)
- 事前に手紙として郵送しておく
- 受付けに手紙を渡しておいて電子カルテにスキャンしてもらう(主治医がうやむやにしにくくなる)
- 看護師や薬剤師に事前に渡しておく
を提案しています。そっか、今は電子カルテの時代だから、受付けにスキャンさせあておけば主治医も否応なく見ることになりますね。
また、たくさんの参考図書が紹介されているのも役にたちます。私のブログで紹介した書籍も多く載っています。
最近は東京支部もでき、月に1回の「東京支部会(NPO法人宮崎がん共同勉強会)」も開催しています。
ババリーナふじこさん
暑中お見舞い申し上げます。この熱波に熊本の被災者の方の健康が心配ですね。
ふじこさんが指揮官で主治医や三好先生は参謀というわけですね。
手紙戦術も完璧にやっていらっしゃる。
患者も勉強して、専門用語におろおろしないくらいの知識は必要です。診察時に「この患者には専門用語の解説は不要だな」と思っていただけたら、それだけで短い時間で必要なコミュニケーションができ、医者も楽ですから、雑談も含めていろいろな情報が引き出せますよね。
私も3人の医者と付き合っていますが、良好な関係です。知ったかぶりや知識をひけらかさないことも大事。
その上で、自分の考え、治療の方向をはっきりと述べる。
ふじこさんスタイルが最善です。
暑中お見舞い申し上げます。(ご無沙汰している間に猛暑まっさかり)
ところで、Sho先生がおっしゃる『主治医との円滑な関係のつくり方』、私も自分なりにやってきました。私の場合、多少迷う時間が許されたので、セカンドオピニオンにもあちこち出かけました。そして、学会に向かう主治医に「先生が戻られるまでに最終的な治療方針、決めておきます」と宣言。次回の診察時に私の考えが伝わっているように、学会終了日をねらって手紙を投函。
また、三好先生に手術後の抗がん剤治療について助言をいただいた時には、CTの画像だけでなく『病歴、治療内容、体調および回復状況、質問事項など』をレポート用紙5枚程に纏めて、あらかじめ受付に提出しました。お陰で、じっくりと相談することができ、雑談する余裕も生まれました。(ブログを通じて三好先生のファンになった私。レポート作成目的の半分は「雑談したい!」だったのです)
患者自身にできることは結構ある、と私は思います。やれることは何でも実践しているつもりですが、《主治医と良好な関係を築く》ことも重要だと感じています。相手をよく観察して、医師としての強みや弱点、性格などを考慮した上で質問の仕方も考えたり・・・ (ありがたいことに、今までの歴代主治医は、みなさん真っ当な方々です)
今年も熊本は《脳みそが溶け出しそうに》暑い日が続いています。師匠も熱中症をはじめ、お体に気を付けてお過ごしください。