オリゴメタ説なら転移したがんも治療できる

Web交流会のご案内


【日 時】2021年2月7日(日) 13:00~16:00(開場:12:45)
【場 所】Zoomを使ったオンラインの交流会です
【対 象】膵臓がん患者とその家族、遺族
【参加費】無料
【定 員】20名
【内 容】
第一部 「がんゲノム医療とリキッドバイオプシー」について患者の和田さんが解説
第二部 患者さん同士の交流会

ウェブ会議ツール「Zoom」を使ったWeb交流会となります。
スマホだけで簡単に参加することができます。
参加申込受付中です。

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オリゴメタ説(小数転移説)とは

標準治療によるがん治療では、転移が1ヵ所でもあったら全身に無数に転移しているという〝全身転移説〟をとっている。『がん情報サービス』でも、この立場を取っています。

したがって肝臓や肺などに一ヶ所でも遠隔転移があれば手術はできないと言われ、後は抗がん剤治療で延命を図るだけです。しかし抗がん剤はやがて耐性ができて使えなくなる。すべての抗がん剤に耐性ができたら「あとは緩和」治療です。

しかし、1ヶ所の転移も10ヶ所の転移も同じステージ4というのはおかしくありませんか?

「オリゴメタ説」は、HellmanとWeichselbaumが提唱したもので、「腫瘍が全身に広がっている」場合とは異なり、「限局した部位でかつ数が少ない」病態が存在するというものです。つまり、1ヶ所でも転移があると全身に転移 しているという「全身転移説」も、少数転移しているだけという「オリゴメタ説」も、どちらも仮説の段階です。しかし、現在の標準治療では「全身転移説」を前提としている。だから治せるのに、治すように抗がん剤を使えないのです。

膵臓がんを例に説明

膵がんは予後が悪いがんの筆頭だ。しかし中には遠隔転移しにくいがんがある可能性が強まった。こうしたタイプの膵がんには「その生物学的な特性に応じた独自の治療法が必要」という声があがり始めた。国立がん研究センター研究所難治がんユニットの谷内田真一氏が述べている。

************以下、日経メディカルからの要約**************

谷内田氏が米国留学の経験から学んだのは、一つには膵臓がんで亡くなった患者を死亡直後に解剖すると、15%には転移が認められなかったことだといという。

2つ目は、膵臓がんの終末像は「局所破壊型」と「全身転移型」の2つに分類できるというものだ。全体の約30%を構成する局所破壊型の多くは遠隔転移の総数が10個以下。一方で残り70%を占める「全身転移型」では、その多くで遠隔転移の総数が100個以上と桁違いに多い(図1)。

図1●膵臓がんの2つの終末像
C.A.lacobuzio-Donahue,S.Yachida et al.,J Clin Oncol 2009から引用。

3つ目は、たとえ手術ができたとしても75%は再発してしまうという。つまり手術が有効な症例は極めて少ないことを示唆している。

「膵がんは必ずしも1種類の単純ながんではなく、少なくとも2つのタイプに分けることができる。その特性に応じた治療法を考案すべきときに来ている」と谷内田氏は結論づけている。

オリゴメタ説の仮説の傍証となるような報告が日本から出された。東京都健康長寿医療センターの病理診断科のグループがストックしてあった8339の生物検サンプルを解析したところ178の膵がんを発見した。そのうちの8%の膵がんが無症候のうちに進展していることが明らかになった。

第53回日本癌治療学会学術集会のシンポジウム「膵がん治療の個別化による予後向上」では、山口大学医学部放射線治療学教授の澁谷景子氏が「膵がんの非手術適応の患者でも経過をみていて転移が出てこない方がおられ、そのような患者には化学療法ではなく放射線化学療法を選択すべきだと思うが、その選別が難しい」と講演している。

全身転移型と局所破壊型(オリゴ転移型)を分けるのは、膵癌特有の遺伝子変異である。膵癌の遺伝子変異はKRAS、P16/CDKN2A、TP53、SMAD4のわずか4つに集中していることが分かっている。そして、TP53とSMAD4、あるいはTP53に変異があると転移する傾向が強く、予後も悪い。対照的にTP53とSMAD4双方に変異がない場合は転移する傾向も弱く、また予後も比較的良好だ。

**********引用、ここまで**********

後者の場合はオリゴ転移型である可能性が高く、抗がん剤による延命治療ではなく重粒子線を含めた放射線治療、化学放射線治療、動注塞栓療法などあらゆる手法を使った個別化医療を進めることで治癒が期待できる。

「転移しているから手術はできません。抗がん剤治療で延命し、耐性ができ使える抗がん剤がなくなれば、あとは緩和です」と、標準治療のエビデンスだけに乗っかると、助かる可能性のある命を捨てることになる。

少数転移の治療法は、サイバーナイフとIMRT

長期生存を目指せる条件を備えたオリゴメタ型の治療法は、潜在的な大きさの転移巣に対しては、全身療法として化学療法や分子標的療法の効果を期待し、化学療法などでは制御できない画像上明らかな転移巣に対しては、局所療法として放射線治療を補助的に施行する価値は十分にある。

その場合は重粒子線や陽子線治療が有効であるが、サイバーナイフやIMRT(強度変調放射線治療)などの定位放射線治療でも同等の効果が見込まれる。トモセラピー(IMRT)なら、複数の転移巣と原発巣をいちどの治療で照射することもできる。

サイバーナイフはほとんどのがんに保険適用となっているので、導入する民間の医療機関がどんどん増えています。東京や大阪でなくても治療の敷居は高くないと思われます。しかし、機器は導入しても使う技術者が経験を積んでいるか、医師がオリゴメタ説を理解して適格な放射線治療計画を立てることができるのかどうかは、わかりません。「自分の足で」情報を集めることが重要です。

IMRT(強度変調放射線治療)は、前立腺がんと頭頸部がんだけが対象でしたが、平成28年度の診療報酬改定で、限局性(散らばっていない)の固形悪性腫瘍が対象となり、こちらもほとんどのがんについて適用となりました。

Ⅳ期の患者でも長期生存を目指せるオリゴメタ説に対する放射線治療や手術への認識は、患者のみならず医師でも認識度は非常に低いが、オリゴメタ説に対する認識を深めた治療を積極的に受け入れてくれるクリニックもポツポツ存在します。

しかし、緻密な臨床データーの解析が個々の患者に対して必要となるので、くれぐれも胡散臭いところは排除し、注意する必要があります。大病院でも主治医によっては、患者の可能性を的確に判断し、このような医療機関へ紹介されるケースもあるようですので、主治医との良好な信頼関係を築いているかどうかが鍵となるでしょう。


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