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中村祐輔先生の『がん消滅』

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本屋にも平積みされていましたね。読了しました。

がん消滅 (講談社+α新書)

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中村 祐輔
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遺伝子治療について分かりやすく説明をされていますが、専門用語が出てくるのはしかたないですね。しかし遺伝子、ゲノム、DNAなどの区別が曖昧であっても、分かるように丁寧に説明されています。

リキッド・バイオプシーによってさまざまなことが可能になる、そうした展望も期待が膨らみます。

がんの早期発見にも使え、卵巣がんや肝臓がんの検出率は、ほぼ100%です。しかし、膵臓がんでは30~40%と、高くありません。

がんの話しからはズレますが、受精卵を操作するゲノム編集には反対の立場を明らかにしています。ゲノム編集が本当に他の遺伝子に影響がないかどうか疑問視されているからと書かれています。

一方で、中村先生のブログでは、

私は国際的な食糧事情を考慮すれば、遺伝子操作であれ、ゲノム編集であれ、食料を確保する観点で、そして、健康寿命を延ばす目的でも、機能性食物の生産や効率的な食糧生産体制は、国として取り組むことが必要だと思っている。

と書かれていますが、私にはこの違いがよく分からない。食品は良いが、受精卵はダメなのだろうが、食品でも本当に他の遺伝子に対して影響がないのだろうか。ヒトも植物も同じ生物なのだから。

期待を集めているネオアンチゲン療法ですが、その原理を生かした「オーダーメイド樹状細胞ワクチン療法」について、福岡がん総合クリニックでの腎臓がんの肺転移が、6クールの投与後にほぼ消失したという例を、画像付きで紹介されています。

数百億円が必要となる臨床試験を行うことができないから、こうした自由診療で実績を積んでいこうという考えのようです。

できればその自由診療の費用も紹介して欲しかったのですが、福岡がん総合クリニックやビオセラ・クリニックのサイトでチェックすると、「2クール(8回)の目安 310万円程度(税抜)」とされています。

遺伝子解析の結果から、ネオアンチゲン候補となるタンパクを推定し、さらにそこから患者一人一人の遺伝子型(HLAタイプ)に合わせてネオアンチゲンペプチドの候補を、選び出すという膨大な作業が必要になります。高速コンピューターの助けを借りないと、なかなかできるものではありません。

そのために費用が膨らむのです。コンピューターがより高速になれば費用も下がるのかもしれません。

画像の腎臓がん患者は6クールで消失した例ですが、それには約1000万円必要だったわけです。

免疫療法は効果が出るまでにある程度の時間が必要です。樹状細胞の培養にも数週間かかるので、その間に亡くなる方もいると書かれています。

効果が出ても消失までに到らなければ、治療を延々と続けることになりますから、相当の資産のある患者でなければ難しいでしょうね。数年間続けるといくらの費用になるのか。

また、新鮮な腫瘍組織が必要なことも、対象となる患者が限られる原因となっています。

大きな期待が持てるゲノム医療ですが、まだまだ課題は山積しています。


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