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BNCT(ホウ素中性子補足療法)の治療効果

今年6月に、頭頸部がんに対して保険収載となったBNCT(ホウ素中性子補足療法)ですが、脳腫瘍に対しても保険申請の手続きが進んでいるようです。

光免疫療法が膵臓がんに適用できるのは相当先のことになりそうで、適用できるかどうかも疑問ですが、BNCTの方は光免疫療法よりも希望がありそうです。

こちらに南東北BNCT研究センターでの保険治療の現状が紹介されています。

非常に良い成績ですね。

再発/局所進行頭頸部癌に対しての第Ⅱ相臨床試験の結果

  • 対象は、切除不能非扁平上皮癌と切除不能再発扁平上皮癌で、主要評価項目はBNCT施行日から90日以内の奏効率(腫瘍縮小効果)(ORR)、副次評価項目は全生存率他6項目と有害事象等です。
  • 全登録症例は21例で、手術不能再発扁平上皮癌(rSCC)8例、手術不能再発/局所進行非扁平上皮癌(nSCC)13例でした。
  • 完全奏功率/部分奏功率は全例で24%/48%、rSCCで50%/25%、nSCCで8%/62%、90日ORRは全例、rSCC、nSCCではそれぞれ71%、75%、69%でした。
  • 対照群として設定されたCDDP+5FUの奏効率20%に比し極めて良好でした。
  • 有害事象は脱毛、吐き気等の消化器症状、味覚異常、口内乾燥など多彩ではありましたが、ほとんどがgrade2以下でした。

2例では再発癌がほとんど消失し、完全治癒となったと紹介されています。

BNCTの特徴は、仮に効果が限定的であっても、その後化学療法や放射線療法を同じ箇所に適用できるということです。ですから、一時選択肢としてBNCTを選ぶことも可能です。

BNCT(ホウ素中性子補足療法)とは

BNCTの原理は、患者にホウ素(10B)を含む薬剤を投与し、がん細胞に取り込ませたうえ、加速器を利用して熱中性子を照射するものです。

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ホウ素(10B)は窒素(14N)の2000倍も効率よく中性子を捉えます。原子力施設では中性子の遮蔽材として用いられています。

がん細胞にのみ取りこまれたホウ素を含む薬剤は、熱中性子を照射されることでホウ素(10B)がリチウムの原子核(7Li)とα線(ヘリウムの原子核)に核分裂します。生じたα線の飛程はせいぜい10μmほどなので、がん細胞内にしか影響しません。

  10B+n(中性子) → 7Li + 4He (α線)

ホウ素の核分裂で発生した高エネルギーのα線によってがん細胞のDNAがズタズタに破壊され、がん細胞は死滅します。ホウ素を取りこんでいない正常細胞にはほとんど影響を与えないと考えられています。(副作用が無い)

しかし、中性子はホウ素や水素などの原子番号の小さい原子とよく反応します。したがって、人体の主要な構成分子である水(H2O)によって吸収されてしまいます。そのために皮膚からの深さが70mm程度にある腫瘍にしか適用できないのです。最初の診療試験がメラノーマだというのもそういう理由からでしょう。

深部の腫瘍にも適用できるBNCT

この欠点を改良した装置がこちらで、膵臓がんでの治験から始めるとされています。

電子部品大手のローム(右京区)は、次世代のがん治療法として期待される「ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)」の研究治療施設を、京都府立医科大(上京区)に寄付すると発表した。

と以前に報じられています。

この装置はすごいですね。なにしろ小さいから、世界初の中性子線の多門照射が可能となり、治療対象を体表面から25cm程度まで拡大できるので、膵臓がんの治療も可能になります。

新たに開発するSiC-BNCTの中性子線照射装置イメージ図

Image_gallery1_2 

SiC-BNCTによるがん治療の特長

歩みは遅いけど、膵臓がんの治療法も確実に進歩しています。1日でも長く生きていれば、その恩恵を受けることができるかもしれません。


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