ビタミンDの電車内広告

チェロのレッスンの行き帰りで、電車のドア横に張ってあるビタミンDのサプリメントの車内広告が目につきました。大塚製薬の「ネイチャーメイド スーパービタミンD(1000I.U.) 90粒」で、「カゼの季節の働く人に・・・」などと書かれています。健康食品としてのコマーシャルです。

Naturemadevd

このブログでもビタミンDの話題を頻繁に取り上げてきましたし、がんに対するエビデンスも世界的に多数出てくるようになりました。私自身も、もうかれこれ4年以上、膵臓がんの手術後から一日に1000IU(最初のころは2000IU)のビタミンDを摂ってきました。

ビタミンDに関する最近のニュースでは次のようなものがありました。

●Dr.中川のがんの時代を暮らす:/66 日本人向けの予防策
中川恵一先生、原発・放射線被曝に関しては問題の多い方ですが、がんについては傾聴に値する発言もありますね。

ビタミンDと糖尿病、関連する状況証拠が次々
2型糖尿病(膵臓を切除した膵がん患者も)患者には気になる内容です。ビタミンDの血中濃度が低いと2型糖尿病のリスクが高くなるらしい。しかし、摂りすぎても悪影響があるかもしれない。ここにも一日の摂取量は1000IUだと書かれています。

●太陽光を浴びることがすい臓がんのリスクを低下する
太陽光の曝露が多い地域で生まれた人は、少ない地域で生まれた人よりも24%もすい臓がんになるリスクが低いことが明らかになりました。また最も太陽光の刺激に敏感な肌タイプの人は、太陽光の刺激に敏感でない人に比べて、50%もすい臓がんのリスクが低いということです。さらに皮膚がんの病歴がある人は、ない人に比べて、40%もすい臓がんのリスクが低いことも明らかになりました。

がん患者の4分の3以上は、ビタミンD欠乏症を持っている

Wikipedia ビタミンD 日々更新されているようです。
ビタミンD受容体は、細胞の増殖分化に関わっていることが知られている。ビタミンDは免疫システムにも影響を及ぼしているし、ビタミンD受容体は、単核白血球、活性化T細胞及びB細胞を含むいくつかの白血球で作用している[14]。 ビタミンD受容体以外の様々なメカニズムの作用が知られている。これらの作用のうち重要なものの一つとして形態形成に関わるホルモンなどシグナル伝達経路によるシグナル伝達の天然の酵素阻害剤としての作用がある[15][16]

ビタミンD受容体遺伝子の変異マーカーが膵癌患者の全生存期間延長と関連/米国癌学会
ビタミンD受容体の発現増加と関連する遺伝子マーカーを有する膵癌患者では全生存率が高いという。
「今回の知見を受け、われわれは膵癌におけるビタミンD経路の役割にもう一度着目すべきでしょう。なぜなら、癌患者の生存に影響を与える可能性があるからです
CALGB 80303試験に参加した患者とメイヨークリニックで治療を受けた患者の全生存期間に対する影響が共通していたのがビタミンD受容体をコードする遺伝子のSNPであった。
本研究の結果がただちに臨床に応用されるものではないとしているが、ビタミンDの生物学と膵癌の関連について新しい情報をもたらすものと確信している。

このブログの2009年の記事「ビタミンDの腫瘍予防効果」でも書いているように、

ビタミンDの健康効果に関するエビデンスの増加を受け、米国小児科学会では、最近、小児のビタミンD推奨摂取量を これまでの2倍に増やし、またカナダがん協会では、秋冬期間の成人のビタミンDの一般的な推奨摂取量を1000IU/日に引き上げた。

Anticancer_2
海外ではビタミンDの摂取推奨量を大幅に引き上げています。シュレベールの『がんに効く生活』の原書『Anticancer, A New Way of Life』は改訂版が出ています(翻訳はされていません)が、それにもビタミンDに関する内容が大幅に追加されています。

  • New information about how vitamin D strengthens the immune system

本日付の「日経メディカル:記者の眼」に「ビタミンDサプリメントの広告表示とエビデンス」と題した記事が載っています。

ビタミンDは「サンシャインビタミン」とも呼ばれ、紫外線を浴びることでヒトの皮膚でも合成されるほか、魚類や干しシイタケ、卵などにも多く含まれます。カルシウムの吸収を促進して骨の形成を助けるだけでなく、近年さまざまな予防医療分野での研究報告が相次いでいる注目の栄養素であり、より健康であるための摂取量として1日当たり20~25μg(800~1000I.U.)が必要といわれています。

日本では近年、過剰な紫外線対策 や食生活の変化に伴う魚類の摂取減少によりビタミンDが不足しがちで、予防医療の観点で必要とされる血中濃度に達していない人の比率は日本人全体では4人に1人に達するといわれています。そのうち女性に限ると3人に2人が達していないとのことです。

と書かれています。

ビタミンDは魚類とキノコに多く含まれていますが、これらはもっとも放射性セシウムに汚染されている食品です。だからよけいに避けている人が多いのでしょう。私もキノコ類は、関西のものであれ、極力避けています。

一方で、厚生労働省のこちらのページでは、

平成21年の国民健康・栄養調査では男性で平均8.0μg、女性で平均7.0μg摂取しています。男女とも目安量を充たしています。

と、世界的にエビデンスが揃っているにもかかわらず、未だに5.0μg(200IU)を上限としているようです。大塚製薬の「ネイチャーメイド スーパービタミンD(1000I.U.) 」には25μg=1000IUのビタミンDが含まれていて、200IUの5倍となっているため、栄養機能食品としての宣伝ができません。前の「記者の眼」氏も、厚生労働省の対応にやんわりと注文を付けています。

みなさんご存じの通り、サプリメントや健康食品は、広告表示に厳しい規制がかかっています。その必要性については十分理解していますが、これからは、世界的に発表されている信頼できる論文情報を踏まえた最新のエビデンスを、消費者に直接、分かりやすく伝えることができる仕組み作りこそが必要なのではないでしょうか。

私はこれまで国産のビタミン剤は含有量が低くてコストパフォーマンスが悪いので、海外から代行業者を通じて個人輸入をしてきました。Dr.ワイルのデイリーマルチビタミン(オプティマム・ヘルス)ですが、これがアメリカ以外には発送できなくなったので困惑していました。「スーパービタミンD」ならAmazonからも買うことができ、90日分で762円(送料無料)ですから、個人輸入に頼る必要はなくなります。今飲んでいる在庫が切れたらこれにするつもりです。

<私の個人的考えであり、推奨するものではありません。サプリメントに関しては自分で判断して、自己責任で> サプリメントに限らず、がんに関してはすべて自己責任ですが・・・。

 


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ビタミンDの電車内広告” に対して3件のコメントがあります。

  1. kathy より:

    ありがとうございました。
    実は、きのこは癌に効くと思って、癌になってから、毎日食べるように心がけていたので、ちょっとショックで。。(^^;)
    いまも、「中国産」とめいうって、安く売っていた大量の椎茸が冷蔵庫にあって、どうしようかと。 もしかして、放射能汚染のきのこの偽装だったりして。(笑)
    放射能に、農薬、環境汚染、いろいろ勉強が必要なんですね。

  2. キノシタ より:

    kathyさん。
    内部被曝の実態はほとんど解明されていません。近年、エピジェネティクスの視点からも次々と新しい知見が出てくるような状況です。ICRPが言うように、シーベルトで表わせば外部被曝も内部被曝も同じ、だとは私は考えていません。分子生物学の知識を無視した物理的モデルでは、内部被ばくを過小評価しています。
    ですから、内部被曝についてはシーベルト(Sv)よりもベクレル(Bq)で考えた方が良いのです。
    被曝はゼロが理想です。少なければ少ないほどよいのはあたりまえです。福島原発事故以前も、大気圏外核実験によってそれ以前よりは格段に環境放射能は増加していました。フクシマ以後はそれが更に3桁も増加しています。このような状況ですから、私たちは放射能と共存せざるを得ません。
    で、私の感覚としては、ひとつの食品で50Bq/kgなら「ま、しかたないか」、10Bq/日なら「しかたないか」です。100Bq/kgなんてとても容認できませんね。しかし、これも人それぞれです。
    現在流通している食品はだいたいが検出限界以下だと考えていますが、噂では福島産の米が新潟産と表示されて売られているとか、福島近海で捕れた魚が三重で陸揚げされているとかの情報も流れています。
    キノコに関してはチョエルノブイリ事故でも一番問題になりました。日本でも千葉や群馬で大きな汚染度が報告されています。しかもこれらはほんの一部だろうと推測できます。もちろん全品検査など不可能です。
    マイタケの抗がん作用がよく言われますが、すべてが動物実験か試験管での実験であり、ヒトについての有効なデータはありません。
    https://hfnet.nibiohn.go.jp/contents/detail61lite.html
    放射能以外の環境汚染や環境ホルモン、人工の添加物などもあるので、被曝だけを心配してもいけないのかもしれません。
    まさにシュレベールが言うように、「地球が病んでいては、人間も健康にはなれない」のです。
    内部被曝の知識も不十分、食品の抗がん作用にもほとんどエビデンスがないのですから「マイタケを食べるべきかどうか」との問いに対する確実な答えはありません。自分としてはどこまで「我慢できるか」を自分で決めるしかありません。それぞれの価値観で判断するしかないでしょう。
    ということで、私の考えは、
    「大き(そう)なリスクは避ける(キノコは極力食べない)が、必要以上に神経質にならない(なっても対応できない)」
    ということでしょうか。更に私の場合は、キノコ類が腸閉塞を引き起こす恐れが強いのでなおさら避けるようになりました。
    キクラゲについては、日光を良く浴びていればビタミンDは生産されますし、足りないとおもうのならサプリで補えばよいのではないでしょか。無理して食べる必要もないし、好物ならやめる必要もないということでしょう。
    がんと戦うには免疫力だけではなく体力も必要ですから、体重が減少するようでは本末転倒でしょう。世の中には「がんを治すためなら、命も要らない」風の論調もありますね。

  3. kathy より:

    いつも、抗がん生活の参考になる記事、ありがとうございます。
    キノコは、免疫力アップと思っていたのですが、ダメですかねえ。。
    舞茸ががんによいということで、せっせと食べていたのですが、これをきっかけに見直したほうがいいのかなとも。
    最近はビタミンDのために、中国産きくらげを食べているのですが、どうでしょうか。

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