ガンの患者学研究所 (1)

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安保免疫理論と上野式代替医療でガンは治る―なぜ三大療法でガン患者は治らないのか?久し振りに安保徹氏に関することです。安保徹氏は非常に分かりやすい(トンデモ)人物です。『安保免疫理論と上野式代替医療でガンは治る―なぜ三大療法でガン患者は治らないのか?』から何カ所か拾ってみましょう。

上野 先生の理論でいえば、病気の起こり方はどれもいっしょ。それがどこの部位で起こるかによって病名が変わってくる。ですから、治し方もいっしょ、なのですね。

安保 そうです。病気の起こり方が全部いっしょなのですから、治し方もいっしょなのです。

上野 将来的には、「ストレス解消センター」をつくれば、すべての病気がそこで治ることも可能になりますね。

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安保 今年から、サラリーマンの厚生年金保険の自己負担額が二割から三割に増えました。きっと病院に行く人が少なくなるでしょう。自己負担額が増える→病院に行く人が減少→病気が減る(笑い)。なんとも皮肉な方程式ですが、私の持論です。

すべての病気はストレスが原因だから、ストレスをなくせばよいという、人間が複雑系だという認識のかけらもない、単純な思考方法の持ち主です。「厚生年金保険」は「健康保険」の単純な間違いだということは措いておくとしても、患者の自己負担を増やせば病気が減るなどという暴論を平気で口にする。

安保 ガンの末期になると、痛みが強くなります。WHOが痛みを取り除く方法などと言って、麻薬(モルヒネ)の使用を推奨しています。私は、それにも反対です。

上野 麻薬は法律で禁止されているのに、ガンの末期になったらどんどん打てだなんて、矛盾していますよね。

安保 本当にそう。そんなに麻薬がいいなら、若い人にも開放すべきなんです。
麻薬を使うと、リンパ球がすぐに、すべて破壊されます。麻薬を使い始めると、2、3日はハッピ-でいられる。でも、目は虚ろだし、コミニケ-ションできません。
最近、困るのは、若い医者たちが、ガン患者さんのために痛みの予防として使い始めたことです。私は「未来免疫療法」ならば、末期の患者さんでもガンが消える可能性があるのに、麻薬を使ってしまうとその可能性がゼロになる。

これはひどい話です。「ガン患者にいいのなら、若い人にも勧めればよい」という子供じみた論理を展開するとは、どういう脳みその構造をしているのか、本当に医学博士なのかと疑ってしまいます。WHOの三段階除痛ラダーについて勉強もしていないし、実際の臨床での経験も見ていないに違いありません。麻薬でリンパ球が破壊されるなどということは、モルヒネを打った患者の血液を検査すればすぐに分かることでしょう。こんなにすぐに分かるウソを平気で言うという厚かましさにはあきれかえります。上野さん、本当に医者なの? 先に紹介した『がんの最後は痛くない』の著作でも読んで勉強し直してください。疼痛治療に対して麻薬を適切に使用することは世界の標準になっています。むしろ日本ではまだモルヒネの使用量が少なすぎるといわれています。麻薬を適切に使用することによってがん患者の生活の質(QOL)が保たれ、結果的に余命も延び、よく眠れて食欲も増すのです。

安保 私は、ガンの痛みも治癒反応だと思います。さっきは転移のときに熱が出るって言いましたけど、末期の痛みでも熱が出るものなんです。でも、その痛みはガンを殺す闘いの反応なんです。だから、患者さんに「その痛みを死ね気で一週間我慢していてごらん。そうしたら、ガンは見事に消えるよ」と言うんです。

自然に、体が温熱療法をするようになっているなんて凄いですよね、生体反応は。例えば、紫外線を浴び過ぎて日焼けをしたときに、皮膚がほてる。あれも、壊された組織を修復するための治療反応です。しもやけで腫れ上がるのもそう。ガンだって、治す力が必ず備わっている。

———————-

転移もそうです。転移は、ガンが原発巣に留まっていられなくなり、逃げ出している証拠です。逃げ出したガン細胞は、原発巣よりずっと弱いものです。それを知らずに三大治療など攻撃的な、いわば免疫力を奪い取る治療をしてしまうと、ガンが反撃して強くなるわけです。

「痛みを一週間我慢したら、ガンは消える」「転移はガンが弱くなって治る印」などという、臨床的には荒唐無稽な理論を堂々と披瀝するのですから、知らない患者はだまされるに違いありません。トンデモ医者、トンデモ教授の面目躍如というところでしょうか。

対談相手の上野紘郁氏は新潟と東京に「あさひ医王クリニック」を開設している医師ですが、このクリニックの治療法もすごいです。

  • 自立神経免疫療法(刺絡療法)
  • 自己免疫細胞培養活性化還元法
  • 温熱療法
  • 遠赤外線ド-ムによる保温
    遠赤外線放射体陶器風呂
    岩盤風呂(SGE岩盤風呂)や遠赤外線放射体陶器使用の低温サウナなども
  • 栄養療法
    野菜ジュ-スを大量に取り入れることで知られるゲルソン療法があります。それは、ゲルソン博士が編み出した世界的に有名なガン治療法です。
  • 抗ガン漢方療法
  • ス-パ-ライザ-治療法(Super Lizer Therapy)
    「直線偏光近赤外線星状神経節近接照射」
  • 免疫賦活剤注射/ガンワクチン注射
  • 新免疫複合療法
  • マイナスイオン療法
  • AWG療法(Arbitary Waveform Generator)
    これは、ガストン・ネサン博士が開発したソマチッド理論を応用したものです。ガン、心臓病などのさまざまな慢性疾患やウイルスなどの感染症に効果があることが判明しつつあります。簡単にその原理を説明すると、それぞれの病気には周波数があり、ガンならばガンに対する複雑な発振周波数を自動的に選択して体内に投射するというものです。それにより、ガン細胞のアポト-シス(細胞死)を足すのです。

トンデモ代替医療のオンパレードです。ガストン・ネサンのソマチッドは、あの帯津良一氏でさえも「効かない」と断言して止めてしまった代物です。「マイナスイオン」ですか。今は「ナノイオン」が流行っていますよ。「天仙液」も扱っているようです。

安保氏は基礎の免疫学者であり、がんの臨床経験のない人です。安保氏は「私の理論でいえば、ガンの70%は治る」と言うのですが、(治るはずだ)という仮説であり、その臨床的根拠を示すことは一切ありません。安保理論が臨床的に証明されたことは一度もないのです。科学的であろうとするならば、その理論を検証しなければなりません。どのような条件で70%のガンが治ったのか。30%の治らないがんはどんなガンなのか。がんの種類毎に差があるのかないのか。治らないのはどういう場合か。こうした検証抜きに「70%は治る」と言っても根拠のない戯言にしか聞こえません。

疑似科学入門 (岩波新書)

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疑似科学入門 (岩波新書)『疑似科学入門』に「科学者の見分け方」と題する章があります。

疑似科学であるかどうかを知る目安として、それをどんな人間が言っているかを見て判断する方法がある。私の判断基準を示しておこう。

一般に科学者は疑い深いから直ちに結論を出すことを避ける。明らかな証拠がないと、さまざまな可能性を考えてしまい、歯切れが悪くなるのだ。真実に忠実な科学者であるほどその傾向が強い。だから、そのような科学者にはテレビ局から声がかからず、人々に知られることが少ない。

しかし、目立ちたがり屋の科学者もいるし、自分こそは権威であると自認している科学者もいる。自分の知識をひけらかし、何にでも口を出したがる科学者である。これらの科学者に共通した態度は、知識に欠けている者を見下し、「こんなことも知らないのか」と尊大に振る舞うことである。あるいは、自分の意見が最善であると強調して、他人の意見に耳を貸さない態度も共通している。独自の意見を持つのはよいが、唯我独尊になっては見苦しい。

科学とは、知れば知るほどわからないことが増えてくるものである。自分は何も知らなかったと思い知らされるのが科学者の日常と言える。つまり、科学者は研究を極めれば極めるほど謙虚になる。自分の無知さを知って謙虚にならざるを得ないのだ。その観点からいえば、知ったかぶりをする科学者はもはや研究をストップしており、それまでに得た知識を誇っているにすぎないということができる。もはや過去の人であり、その知識は時代遅れになっている可能性が高いのだ。

「自律神経の白血球支配の法則」「胸腺外分化T細胞の発見」という仮説と業績を誇示して、ストレスをなくして体を温めればガンは治る、などという信仰によりかかり、学者としての論文はほとんど書かない一方で、アマゾンで検索すると91冊もの著作があるという人物によくあてはまる記述だと思います。

こんな安保氏も私にとってはありがたい存在です。というのは、「安保氏とコラボレーションしている(したがっている)人たちは、安保氏と同じ程度の人物である可能性が高い」と判断することが極めて高い確率で有効であると言えるからです。安保氏と親和性を有しているというだけで、”こいつは怪しいぞ”と思ってもかまわない。(たぶんそういうことになる)

安保氏とコラボレションしている組織の一つとして、がん患者には比較的よく知られたNOP法人「ガンの患者学研究所」という組織があります。元NHKディレクターの川竹文夫氏が代表を務めているNPO法人であり、6月に2回目の「千百人集会」を開催しました。「治りたい人」千人と「治った人」百人を一堂に集めようという集会です。

このNPO法人に関しては、ウェブ上では批判的に書かれたものが少ない。それならばと、今日から数回にわたって、この「ガンの患者学研究所」について批判的に考察してみようというわけです。(次回へ続く)


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ガンの患者学研究所 (1)” に対して1件のコメントがあります。

  1. naka より:

    いつも情報有り難うございます。
    私が直腸がんを宣告されたとき、阿保氏やガンの患者学研究所の書籍やDVDに頼った一時期がありました。批判的考察に期待しています。

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