小椋佳と道元

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昨日の東京新聞に興味を惹く二つの記事があった。ひとつは、小椋佳が、今年から来年にかけて「人生最後のアルバム」を出し、「生前葬コンサート」を予定しているというもの。

『辞世の心構え 「死は突然に」』と題した記事で、57歳で胃癌を、昨年は劇症肝炎を患った小椋佳は、76歳で死を迎えると感じているそうで、死に対して特段の考えはないが、「死ぬときは明るく」と覚悟しているそうだ。毎日1時間「歩禅(ほぜん):歩く禅」を続けているとも書かれている。

カバットジンの『マインドフルネスストレス低減法』でも歩行瞑想法について

毎日の自分の生活の中で注意を集中するためには、歩行瞑想法が手軽で最適な方法といえます。その名のとおり、歩行瞑想法とは、歩きながら”歩いている”という実際の体験に注意を集中するという方法です。歩きながら、歩くことに専念し、自分が”今、歩いている”ということを意識するのです。

瞑想をしばらく続けていると、”物事の本質は、ありのままの姿にある”ということが見えてくるはずです。歩くという行為にしても、同じことがいえます。

と、日常生活の中で、自分を取り戻す最適の方法として勧めている。

もうひとつは、お茶の水女子大学教授:頼住光子の「道元に学ぶ生き方(上)」である。今、禅が静かなズームだという。先行き不透明で閉塞感が重くのしかかる時代に、禅が「心の糧」として人々をとらえている。

道元が中国に留学中のこと、ある夏の日に仏殿の前で、背骨の曲がった老典座(修行増の食事を賄う役職の僧)が、苦しそうに喘ぎながらシイタケを干していた。道元が「そのようなことはお付きの者にさせたら良いでしょう」と声をかけると、老典座は、「他は是れ吾にあらず」(自分が修行せずに他の人にしてもらったのでは、自分のしたことにならない)と答えます。感じ入った道元は「その通りでありましょう。しかし、もう少し涼しくなってからなされてはいかがでしょうか」といたわりの言葉をかける。老典座は、「更に何れの時をか待たん」〔いまやらずに、いつするのだ)と応じる。

道元の「典座教訓」には、もうひとつの老典座とのエピソードもあるが、道元はここにこそ禅の神髄があるのだという。日常の一つ一つの行為こそが修行であり、座禅と同じ意味を持つのだ。

座禅も瞑想も、何かの目的のためにするのではない。座禅も瞑想も「何もしない」で、そのもの自身で充実し、完結した行為である。「何もしない」で「今ここに」ある「自分はなにか」を発見することである。

がんを治したいから呼吸法をマスターし、瞑想・座禅をするというのは、禅の精神とは全く逆なのだ。しなければならない、病を治したい、そのために・・・・という意識を捨てて、今この瞬間を大切にし、本来の自分を取り戻すことこそが、治癒への王道なのです。

結果として達成されることと、目的として行為をおこなうこととは、決定的に違う。そして目的への”執着”を捨てないかぎり、本来の目的を達成することは難しいだろう。治癒は(自然治癒でも)、医学や代替医療で獲得できるものではない。それは「成りゆき」です。だって、がんのこともヒトの身体のことも、私たちやほとんど分かっていないのです。分かっていないのだから、今の科学で確実に「治癒」を得ることは不可能だということは、明白でしょう。

シュレベールは『がんに効く生活』で「呼吸」の大切さについて述べる段で次のように言っている。

”究極の愛の行為”のコツは、関心を必要としている子どもに対するように、関心を自分自身に向けることである。こうした考え方が大事であると認め、自分が必要とされているときにはいつでも、思いやりを持って関心を払うことを約束し、今この瞬間に私たちを必要としている人のところーーこの場合は自分自身の内面ーーに戻ることなのである。

脳幹に位置し呼吸をつかさどっている部分は、感情脳と、免疫システムを含む体のすべての器官との間で常に交換されるすべての分子ーーキャンダシー・パートがいうところの神経ペプチドーーに反応しやすい。呼吸を整えることによって生命に不可欠な身体機能と拍動に近づき、思考とつなげることができるのだ。

Dr.ワイルも「がんとの闘いで、たったひとつだけ大事なことを選ぶとすればそれは何ですか?」と訊かれ、「それは呼吸です」と答えている。

ヨガ、気功、瞑想、座禅などの呼吸と集中のメンタルトレーニングは、衰えがちな身体機能のバランスを回復することに効果的である。身体機能のバランスを回復することは、

  • 免疫システムの正常な作動
  • 炎症の減少
  • 血糖値のよりよいコントロール

と関連がある。そしてこれらはすべて、がんの成長を妨げる主要な要因なのである。


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