小椋佳「生前葬コンサート」

敬老の日の15日、小椋佳の『生前葬コンサート』に行ってきました。4日連続100曲を歌うという企画の最終日。NHKホールは満席で、当然ですが、周囲はおじさん、おばさんばかり。演奏の人も全員が喪服姿。小椋さんは白い服でしたが、頭に白い紙(額紙)はありませんでした。もちろん、坊さんも棺桶もありません。

「生前」とは「生まれる前」と読めるのに、なぜこれが「生存中」の意味になるのでしょうか。一説では、生と死は隣り合わせであり、その前後だから「生前」、「死後」と言うのだそうです。別の解釈は、仏教では人は成仏して極楽往生するのが目的。浄土真宗では南無阿弥陀仏の念仏で「阿弥陀如来の浄土に往生する」という言い方をします。「浄土に生まれる前」すなわち人間として生きている間のことだから「生前」となると。なるほど、納得。これなら「しょうぜん」と読むのがふさわしいでしょうね。

3時の開演で、終わったのが7時、20分の休憩をはさんで4時間という長丁場でしたが、あっという間に終わった感じです。いや~、すばらしかったです。小椋さん、声も少し疲れて音程も怪しかったですが、胃がんで胃を4分の3も切除した方とは思えませんね。

20150615_18_17_44

最後には小椋さんも琵琶を弾きながら「山河」を歌いました。坂田美子さんの琵琶は圧巻でした。すばらしかった。琵琶という楽器を見直しました。鴨長明は琵琶の名手だったのですが、あんな感じだったのだろうか。

20150615_18_19_30

小椋佳の次男、神田宏司は日本に二人しかいない琵琶の制作者だそうです。この次男が中学2年生のとき若年性脳梗塞で倒れ、左脳がほとんどダメになり、記憶も言葉も失った状態になりました。もう回復しないだろうと思われていたが、あるとき小椋さんが病室のベッドの横で「あなたが美しいのは」を歌うと、合わせて歌い始めたというのです。これには医者も「何が起きているのか」と驚いたそうです。それからは徐々に回復し、10年という歳月が必要だったが、普通の生活ができるまでになった。

実際に奇跡はあるのですね。歌の力なのでしょうか。小椋さんの愛の力なのでしょうか。

20150615_18_47_13

この日小椋さんが奏でていた琵琶は次男の神田宏司さんからプレゼントされたもの。

  あなたが美しいのは 愛されようとする時でなく
  あなたが美しいのは ただ愛そうとする時

20150615_18_46_19

  あなたが素晴らしいのは 愛されようとする時でなく
  あなたが素晴らしいのは ただ生きようとする時

20150615_18_46_58


膵臓がんと闘う多くの仲間がいます。応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 膵臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です