光免疫療法と膵臓がんの遺伝子異常

アスピリアン・セラピューティクス社のプレスリリース

楽天のサイトに、米国アスピリアン・セラピューティクス社のプレスリリース日本語抄訳が出ています。「PressRelease_JP.pdf」をダウンロード

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  • 「RM-1929」が、FDA より再発性頭頸部扁平上皮がんの一次化学療法と二次化学療法 のい
    ずれにおいても効果が現れなかった患者を対象とした治療法として、ファストトラック指
    定を受ける
  • 2018 年の第 1 四半期中に「RM-1929」のピボタル試験を開始予定
  • 「RM-1929」の日本における第 I 相臨床試験を開始

などが書かれています。

FDAが光免疫療法をファストトラック指定下というニュースは流れていました。

 

「RM-1929」とは

セツキシマブ(アービタックス)と IRDye 700DXRの複合体である「RM-1929」は、頭頸部扁平上皮、食道、肺、 結腸、膵臓などのがんにおいて多種の固形腫瘍で発現する上皮成長因子受容体(EGFR)を標的にします。この最先端治療法は抗体コンジュゲートを用いて、正確にがん細胞を攻撃しま す。抗体が腫瘍に結合した後、結合色素は赤色光に反応し、迅速な抗腫瘍効果を誘発します。 腫瘍選択性と局所的活性化による二重の特異性には、周囲の正常な細胞や組織へのダメージを 最小限に留め、局所的腫瘍を制御することを、がん患者と医師は期待することができます。「RM-1929」は被験薬であり、どの国でも使用は認められていません。

アービタックスは分子標的薬で、上皮成長因子受容体 (EGFR) に結合して、EGFRの働きを阻害するモノクローナル抗体です。転移性大腸がんと頭頸部がんの治療薬として承認されています。

アービタックスにIR700(IRDye 700DXR)をくっつけてがん細胞の表面に届けて、近赤外線を照射することでがんを「破壊」するのが光免疫療法です。

IRDye 700DXは、(株)エムエフテクノシステムズ社の近赤外線色素ですね。ここでも日本の企業が活躍しています。

この二つを結合したものが「RM-1929」であり、膵臓がんで亡くなった楽天の三木谷会長のお父さん(三木谷良一 1929年生まれ)から命名されたものです。

膵臓がん患者のEGFR発現率

「RM-1929」は、上皮成長因子受容体(EGFR)をターゲットにした薬剤で、上記のように、一部の膵臓がんにも有効ということですが、膵臓がんでEGFR遺伝子がどの程度発現しているかが問題です。

国立がん研究センターのプレスリリース『血液から膵臓がんで治療標的となり得る遺伝子異常を検出』によれば、膵臓がんではKRAS遺伝子異常が最も多く、EGFRの異常はごくわずかです。これでは「RM-1929」を使える膵臓がん患者は少ないでしょう。

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大腸がんの治療薬セツキシマブ (アービタックス) などの上皮成長因子受容体 (EGFR) に結合してその働きを阻害することで効果を狙う分子標的薬では、KRAS遺伝子の変異が存在すると薬理効果が期待できない(使えない)可能性が高いとの知見がある。

膵臓がんの抗原に特異的に結合する抗体医薬品もあるはずだから、それに期待しましょう。


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