宇宙も、人間も、癌も「複雑系」

複雑系とは?

複雑系(ふくざつけい complex system)とは、多数の因子または未知の因子が関係してシステム全体(系全体)の振る舞いが決まるシステムにおいて、それぞれの因子が相互に影響を与えるために(つまり相互作用があるために)、還元主義の手法(多変量解析、回帰曲線等)ではシステムの未来の振る舞いを予測することが困難な系を言う。

これらは狭い範囲かつ短期の予測は経験的要素から不可能ではないが、その予測の裏付けをより基本的な法則に還元して理解する(還元主義)のは困難である。

複雑系は決して珍しいシステムというわけではなく、宇宙全体、天候現象、経済現象、人間社会、政治、ひとつひとつの生命体、あるいは精神的な現象などは、みな複雑系である。つまり世界には複雑系が満ち満ちており、この記事を読んでいる人間自身も複雑系である。

複雑系では原因と結果が一対一に対応しません。同じ病期の同じような病状の方に全く同じ治療をしても、結果はさまざまです。私やあなたという具体的な個人の病気の予後をエビデンスだけで考えることには無理があります。蝶の羽ばたきに似た、なにかちょっとした違いがトルネードを引き起こすと言われるように、思いもよらない対応でがんが奇跡的に治ることもあるのです。これも複雑系だからこそです。

がんと複雑系

がんを複雑系と考えるとき、いまがんと闘い治癒を願っているがん患者は、どのように自分の治癒へとつなげればよいのでしょうか。私は次のように考えます。

がんの成長を抑制するための方法をすべて文字通りに実践しない限り自分の身を守れない、というわけではない。人間の体は、それ自体、各機能が他の機能と相互作用を起こすような、均整のとれた巨大システムである。その機能のうちたったひとつにでも変化があると、必ず全体に影響が及ぶ。

だからこそ、食事療法、運動、精神面の訓練、もしくは人生にこれまで以上の意味や意識をもたらしてくれる何らかのアプローチ法のうち、自分が実践しやすいものから始めればよいのである。人それぞれ状況も性格も異なるのだから、やり方もそれぞれであるべきだ。

ただし、すべてのアプローチ法に共通している重要なポイントは、生きたいという願望を強めることができるかどうかという点である。

少しの変化が、全体を変えることがある

人間は治ろうとしているのだから、治る方向にちょっと肩を押してやれば、その少しの摂動が複雑系全体(体全体)に大きな影響を与えることがあるのです。

複雑系の基本性質は、「ほんの少し条件が変わるだけでまったく違った結果が生み出される」ということです。これはローレンツの「バタフライ効果」ともいわれています。ローレンツが「ブラジルでの蝶の羽ばたきがテキサスの竜巻を引き起こすか?」という題で講演を行なったことが起源になっています。

バタフライ効果

食事を変えれば体質が変わる。がん細胞の餌となる有害なものが体外に排出され、細胞内がよりよい環境になる。運動をすればリンパ液の循環が良くなり、適切な体重を維持できる。瞑想をすればストレスに強いこころが育まれて、NK細胞が活発になる。脳からも免疫活動を補強する情報伝達物質が放出され、食事によって改善された体質のなかを効果的にがん細胞まで移動する。動物性タンパク質よりも植物性タンパク質を多く摂ると積極的に運動をするようになる。瞑想やヨガは自分の体への意識を高め、バランスの悪い食事は、胃への負担や体全体への悪い影響を感じるようになり、避けたくなってくる。放射線や抗がん剤による影響を低減し、治療の効果を高めることができるようになる。このようにすべての要素が相互作用をしているのです。


膵臓がんと闘う多くの仲間がいます。応援のクリックをお願いします。

にほんブログ村 病気ブログ 膵臓がんへ
にほんブログ村

にほんブログ村 病気ブログ がんへ
にほんブログ村


スポンサーリンク

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です