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伊香保・四万温泉のはしご

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「伊香保温泉の石段街を見てないよね」との妻の話題がきっかけで、「よし、伊香保に行こう」となった。伊香保ならやはり「黄金の湯」だろう。2004年に地下水を沸かしただけで「温泉」と偽っていたことが報道された伊香保温泉だ。その後「温泉」の定義をめぐってマスコミでも報道されたが、伊香保の「白銀の湯」も結局は水道水と大差ないそうだ。
伊香保温泉も一歩路地に入ると店じまいした土産物屋・写真館や遊技場がたくさんある。伝統によりかかるだけでは国内の観光地は生き残れないようだ。Photo_2

黄金の湯の「古久屋」に予約が取れた。ついでに四万温泉もとなって温泉のはしごだ。

春一番が台風並みの嵐になって関越道を渋川伊香保で降りることには雪になってきた。「竹久夢二伊香保記念館」につく頃には吹雪模様に。『夢二の絵の少女真似て、矢絣を着ています~~~』との歌詞が脳裏に浮かぶ。「黒船屋」をはじめ「婦人グラフ」に掲載された夢二の絵や書を堪能して大正ロマンに浸る。

携帯に妹からメールが入った。伊丹から千歳に行く飛行機が、この大雪で千歳に降りられずに羽田に降りるが、宿がないという。甥が北大の獣医学部を受験するのに付き添って二人で札幌に向かっているのだとのこと。われわれ夫婦も旅行中だから我が家に呼ぶこともできない。大急ぎで携帯から都内と神奈川のホテルを探したが、すべて満室だ。数時間格闘した末に、妹から何とか横浜で取れたという連絡が入った。やれやれだ。

翌日は榛名湖へ。ワカサギ釣りの客で氷結した湖面はたくさんの釣り人。榛名山から吹き降ろす北風が草原の雪を舞い上げて煙のように流してゆく。

水沢観音に立ち寄ってから四万温泉へ。途中凍結したトンネル内で前を走っていた車がスリップして対向車線に横滑りした。ひやっとしたが幸い対向車がなくて無事。肝を冷やしたのだろうか、運転手はハザードランプを点灯して止まった。道路の雪はなくなっていたが、橋の上やトンネル内はまだ凍結している。こんな状態の時が一番危ない。私はスタッドレスを履いていてエンジンブレーキをかけながらトンネルに入ったので安定した走りができていたが、前の車は普通タイヤだったのかもしれない。

四万温泉は一番奥の「鶴屋」旅館。17部屋ほどのこじんまりした宿。貸切露天風呂の「観月の湯」と「鹿覗きの湯」がすばらしい。

伊香保と四万温泉の宿の比較。伊香保は黄金の湯を曳いた由緒のある宿だが、どうもサービスがマンネリだと感じた。たとえば四万温泉の「鶴屋」では、翌朝布団を上げるときにシーツだけではなく掛け布団のカバーまで取り替えていた。したがって布団もパリッと糊のきいた気持ちの良いものだった。一方で伊香保の「古久屋」ではシーツと枕カバーしか取り替えなかった。料理も吸い物など温かいものが出てくるのは四万温泉の鶴屋のほうだ。夫婦それぞれに部屋の鍵を用意してあったのも鶴屋だった。温泉では夫婦で風呂に入るとき、出る時間を打ち合わせたりするに不便を感じていたが、部屋のかぎが二つあればそんな心配がいらない。こうした心配りができるかどうかが宿のサービスの質だろう。これまで部屋の鍵を二つ渡されたのは安曇野の河昌とここ鶴屋だけだった。伊豆の修善寺で新井旅館という超老舗宿にも泊まったが、老舗宿というのはどこか名の売れていることに胡坐をかいてよりかかっているのではないかと思われる。客へのサービスが今一つだなぁという気がする。部屋がたくさんある宿も一般的にサービスが行き届いていないことが多い。

帰りに奥四万湖。ダム湖の雪景色をカメラに収めて帰途に就いた。途中の四万甌穴近くで鶴屋が営業している「森のカフェ」でコーヒーと、宿でも出てきた料理長の手作り羊羹を。Photo_3

鶴屋の関社長が「奇跡の軌跡」という本を出版されている。名もない山奥の湯治場四万温泉の宿のせがれ手して生まれた関さんが、倒産寸前だった鶴屋をたてなおし、四万温泉でも人気の宿にするまでの軌跡を描かれている。社長のブログもある。
こうしたエネルギーが宿のサービスや心遣いに表れているのだと思う。ぜひまた行きたい宿が一つ増えた。「四万温泉 鹿覗きの湯 鶴屋


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