百年に一度の歴史的瞬間に生きている

日経カジノ資本主義―国際金融恐慌の政治経済学平均株価の今日の終値が7162円と、26年ぶりの大安値になった当報じられ
ている。サブプライムローンに端を発した世界の金融危機がここまできた。

「恐慌」とは「すべてが紙くずになること」である。株券が紙くず
になり、紙幣が紙くずになる。ライブドアブームに踊った大衆投資家の株が紙くずとなり、今は2年前にブームが始まったFX取引でマネー投機をしてきた個人投資家の資産が紙くずとなりつつある。

「市場に任せばうまくいく」と、なんの労働もせずにあぶく銭を稼いで、汗水垂らして働く者たちからかすめ取った金で六本木ヒルズに住み、ベンツに乗っていたような連中を、どうして10兆円もの税金で救済しなければならないのか、私には分からない。「自己責任」はどうしたんだ? 勝ち組だなどと威張ってはいたが、ただ強欲だったというだけの浅ましい連中をどうして税金で救わねばならないんだ。ほとんど税金も払ってこなかった銀行に、どうして。

百年に一マッド・マネー―世紀末のカジノ資本主義度の世界史の激動の時期に、今私は生きている。フランスのルイ王朝の崩壊、日本の明治維新、1989年のベルリンの壁の崩壊と2年後のソビエト連邦の崩壊に匹敵する、いや、それ以上の歴史的大激震の時期に生きている。

ソビエト連邦が崩壊して、その後のアメリカ一人勝ちの時代が終わろうとしている。「市場がすべてを決める。市場に任せておけば万事うまくいく」と言って、新自由主義の経済政策を押し進め、一握りの大金持ちと多数の貧困者を生み出した者たちの「退場」の舞台が回る始めた。小泉真一郎は息子に看板と地盤を譲って、さっさと逃げ出した。竹中平蔵はさっぱりマスコミに登場しなくなった。マスコミの論調も変化して来たようだ。反アメリカ調の報道が徐々に多くなってきている。

今年1月13日のこのブログで紹介したように、ミヒャエル・エンデの「エンデからの遺言」にあるように、1マルクを5%の複利で貯金すると2000年には、太陽4個分の金塊が買える金になる。「このような富がどこからわいてくるのだろう」とエンデは、「利子」の荒唐無稽さを鮮やかに指摘したのだが、今では500兆ドルとも言われるマネーが、5%の利益を求めて世界中を闊歩している。マルクスの共産党宣言第一章の冒頭にある「一匹の妖怪がヨーロッパを徘徊している──共産主義という妖怪が」をもじって、「一匹の妖怪が世界を徘徊している──マネーという妖怪が」と論じた者がいたが、まさにその妖怪が世界を食いつぶそうとしているようだ。

「人間復興」の経済を目指してだ「グローバリゼーション」という言葉になじみの無かった1980年代の末に、世界を無秩序に駆け回る資本の行き着く先に警告を発し、「カジノ資本主義」を著わしたスーザン・ストレンジ女史は、今日の一層博打化したマネーによる世界経済の混乱を「狂気」だとして女史の続編となる「マッド・マネー」を10年後の1990年代末に著わしている。「カジノ資本主義」が、4つの「浮動性」をまねき、①通貨の価格(為替相場)②財の価格③信用の価格(利子)④石油の価格のこれら浮動性は相互依存的に要因となり、差し迫っ
た金融危機の要因となってくると、予言している。まさに現状は、10年前にストレンジ女史が言ったようになってきたではないか。

日本には竹中平蔵のように「絶対の儲かるから株を買いなさい」といって、新自由主義の政策を押し進め、自分はマクドナルドの未上場株を受け取っていたような経済論者しかいなかったのかというと、そんなことはない。

内橋克人がただ一人、新自由主義に敵対する論陣を張っていた。彼の『悪夢のサイクル』新版 悪夢のサイクル―ネオリベラリズム循環 (文春文庫)では「ネオリベラリズム循環」として、海外マネーの出入りが、バブルとその崩壊を循環的に繰り返し、国土と国民をドンドコに突き落とす過程が警告的に描かれていたし、城山三郎との対談集『人間復興の経済を目指して』では、市場原理主義に対して「地産地消運動」や、世界の中心=アメリカという考えを疑ってかかれと警告していた。さらにこれからの日本の進むべき方向は、アメリカ依存からの脱却と内需拡大であるとし、食糧不足の時代が来ることを予見して、日本の国際貢献は食糧供給から初めよ、減反政策を改めて、日本は「農業立国」を目指すべきであると説いていた。

世界はどこへ向かうのか。ドルが基準通貨という時代はもう終わりだということは確かだ。クもうひとつの日本は可能だ (文春文庫)リントンと同じ新自由主義経済の継承を公言しているオバマが大統領になったって、この現実は変えられるはずもない。アジアと欧州の各国指導者が一同に会するASEM首脳会合が北京で開かれたが、中国は今や世界一の外貨準備高を持つ国であり、日本を抜いて、アメリカの最大の債権国である。中国こそ、11月15日に開かれるのG20金融サミットの主役になる。そして中国はドルの基軸通貨体制を変え、IMF体制を改革し、新興国の参加した新体制を打ち立てようとしている。

 [北京 24日 ロイター] 中国共産党機関紙・人民日報海外版は24日付の1面に、アジア、欧州の各国は、両地域間の貿易を米ドルでなく、ユーロ、人民元や日本円など地域通貨で決済するべきだとする論評を掲載した。

論評を執筆したのは、米国批判の急先鋒として知られる上海の同済大学のShi Jianxun教授。

同教授は「現在の悲惨な状況に直面して、人々はようやく米国が自国通貨の優位性を利用して世界の富を搾取していたことに気が付いた」と述べ、米国発の金融危機により多くの国が富を失うなか、米国は自国の国益を守ることしか考えていないと批判した。

そのうえで「米ドルは信頼を失いつつある。世界は早急に、国際機関を通して民主的かつ合法的に、米国一国支配の経済構造と米ドルの優位性の上に立脚している現在の国際金融システムを変えなければならない」と述べ、アジア、欧州各国は地域間の貿易決済に米ドルではなく自国通貨を使うべきだと主張した。ただ具体策については言及しなかった。

同教授はまた、24日から2日間の日程で北京で始まるアジア欧州会議(ASEM)の首脳会合は、新しい国際金融秩序の構築を始めるのに格好の機会となると述べた。

ASEM首脳会合には欧州連合(EU)加盟27カ国、日本、中国、インドなどアジア16カ国を含む45の国・機関のトップが出席する。

この人民日報1面の記事は、当然中国共産党中央委員会の承認を受けており、これが中国の正式の新たな世界経済政策だと考えることが当然である。世界はもうドル中心では回っていかない。もしかすると人民元が基軸通貨となる時代が来るやもしれない。中国指導部は「100年単位」で政治を考えている。対して日本の政治家の何とも頼りなく哀れなことか。この大事にホテルのバーをはしごしている総理を持った不運を嘆くことしかできない。


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