久留米大学 ペプチドワクチンに関するレビュー

久留米大学の「ペプチドワクチン事務局」にワクチンに関する2件のレビュー(PDFファイル)がアップされています。ペプチドワクチンの現状と限界に関しても正直に書かれています。

●がんワクチンについて 久留米大学 免疫・免疫治療学講座 伊藤恭吾

  1. がん治療のためのワクチン療法はまだ日常診療では利用できませんし、進行がんへ強く効く治療法ではありません。
  2. 現状においてはまず、通常のがん治療(特に抗がん剤治療)にて免疫抑制をきたさないことが現状での最良の選択といえます。目安としてはリンパ球数の減少症をきたさないことが推奨されます。
  3. がん細胞はとても丈夫で元気です(頑健といいます)のでそれと戦うためには抗がん剤、ホルモン剤や放射線治療との組み合わせや複合的な治療法を併用することが必要です。がん細胞と戦うためには患者さんご自身も丈夫で元気でないといけません(免疫力の維持)。
  4. リンパ球は免疫の主役です。1000 個/mm3 を維持してください。
  5. 従って抗がん剤などのがん治療により強い免疫抑制をきたしてはいけません。免疫力の維持向上について主治医にいつもご相談してください。
  6. ご自分でしっかり考えて今のがん種や病期に適合した治療法を選択することが大切です。

●がん治療薬の薬効評価について がんワクチン分子部門 山田亮教授

4.がんワクチンでは延命効果が認められています
久留米大学グループで過去に実施されたテーラーメイドがんペプチドワクチン
療法の臨床試験では、奏功率は10-20%前後と低い結果となっており、抗がん剤では通常70-80%という高い奏功率が得られることと比較すると効果な
しと思われるかも知れません。しかし、全生存期間や無増悪生存期間をがんワクチン治療を行わなかった場合と比べると1.5 倍から2
倍程度の延命効果がある
という結果が得られています。この成績は抗がん剤がきかなくなった末期がん患者での成績ですので世界的にも大変注目されています。
ただし、厳密にコントロールされた試験結果ではないために、今後実施される「ランダム化比較試験」によって検証される必要があります。


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久留米大学 ペプチドワクチンに関するレビュー” に対して3件のコメントがあります。

  1. のんの より:

    東大医科研でお会いした者です。心細くなるといつも読ませていただき、力をもらっています。
    ご自身も二度の癌を体験されているので、納得・共鳴・共感することばかりです。
    それにしても膨大な資料を読み込んだ上でのブログ作成に感服しています。お医者様でも
    ここまでのサジェッションを下さる人は少ないと思います。オールラウンドの確たる情報を提供
    してくださるので、ここに辿りついた人は、荒野にある教会のように安堵と癒しそして力を得ら
    れる事でしょう。心からの感謝とこれからもよろしくお願いします。

  2. ekoeko より:

    以前コメントさせていただいた者です。母がスキルス胃癌になり、よく読ませていただいています。新聞でお顔拝見しました。すい臓癌の特集だったので、このブログが紹介されるに違いない!と思っていたら、その通りで嬉しかったです。これからも応援しています。

  3. 匿名 より:

    11日の読売新聞の記事にあった方だったのですね。お顔を拝見できてうれしいです。
    夫ががん患者になってからずっと読ませてもらってます。情報のわかりやすい分析力にたすけられてます。

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