大阪府立成人病センターの50年


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ミューザ川崎シンフォニーホールでの「がん患者支援チャリティセミナー&コンサート」に行ってきました。正直、セミナーの内容もいまいち。日本フィルの演奏はまあまあでしたが、最初の曲ビバルディの四季より春の第一楽章が終わったら拍手をする人が大勢いて、ソロバイオリンも指揮者も戸惑っていました。楽章が終わるたびに最後までこんな調子で拍手が入るので興ざめというか、恥ずかしくなって困った。日本フィルの理事長とかの挨拶がこれまた延々と長い。いい加減にしてくれと言いたくなった。ホールは初めてだが、良い音響のホールです。2階席最前列の中央、指揮者の真正面でした。まぁ演奏は徐々に調子に乗ってきたので良かったというべきかもしれませんが、セミナーとコンサートのハイブリッドは成功したとは言えませんね。

明日は午前4時起きで日高市の巾着田に曼珠沙華を撮りに行きます。今年の猛暑で曼珠沙華の開化も遅れているらしい。早いけどもう寝ます。


難治がんと闘う―大阪府立成人病センターの五十年 (新潮新書)

膵臓がん患者にとって大阪府立成人病センターは希望の星のような存在です。なにしろステージⅢで手術適用の膵臓がん患者で5年生存率が50%だというのですから。リンク先に詳細だデータがありますが、ステージⅠ、Ⅱなら90%以上です。この大阪府立成人病センターの50年を取材した本『難治がんと闘う―大阪府立成人病センターの五十年 (新潮新書)』が7月に出版されています。

この大阪府立成人病センターの9人の医師にインタビューしたもので、第3章に現在同センターの病院長であり、肝胆膵悪性腫瘍の外科治療における第一人者の石川治医師の記事があります。

同センターでの膵がんの手術数は年間で70例。石川先生は、大学紛争のあおりもあって卒業後に同センターに来られたが、外科では膵臓部門しか残っていなくて、膵臓担当になってしまったという経歴の方です。当時は年間手術数は3,4例。というのも50例くらいあってもほとんどがステージⅣbで発見されて来るので手術できなかった。石川先生は、先ず広範囲なリンパ節郭清手術を行なうことで生存率を20%に挙げることに成功する。さらに肝臓転移を押さえるためにと、手術中にカテーテルを2本入れておき、門脈と動脈の療法から抗がん剤を注入する2チャンネル化学療法を考案する。これによって5年生存率は30%(T1,2,3の合計で)にまでなる。そして2000年ころには術前放射線療法を併用することにより、UICC分類のT3(ほぼステージⅢとおなじ)において5年生存率を50%達成することができた。T1,T2は90%を超えている。

現在ではガンの手術における広範囲な拡大郭清手術は生存率に寄与しないということで評判が悪いが、石川先生に言わせると「郭清に意味はないということはない。肝転移の予防を付加すれば意義が明瞭になる」とのこと。

最新「がん」の医学百科―告知されたその日から役立つ

最新版の『最新「がん」の医学百科―告知されたその日から役立つ』は癌研の向山雄人先生が書いていますが、これによれば膵臓がん全体での5年生存率は10%程度です。どうして他の病院では大阪府立成人病センターと同じような方法がとれないのでしょうか。50%と20%では単純計算だが、膵臓がんによる志望者数26000人/年のうち7800人が助かるかもしれないということになる。この疑問に対して石川先生は、ひとつには先の拡大郭清手術は無効だという海外論文の影響を挙げている。リンパ節の拡大郭清は無効だという意識が医師の頭に染みついているのだという。もうひとつは、この方法では大変な手間と時間がかかる。カテーテルを2本も入れておかねばならないし、術前の放射線療法では放射線医との綿密な連携が不可欠であり、放射線もピンポイント照射であるから照射計画に手間暇がかかる。結局大阪府立成人病センターのような自治体病院だからできるということかもしれない。

他の章では、大阪府の「がん登録」データに基づいたがん患者へのトータルケアの重要性を説いた第1章、放射線療法に関する第8章、遺伝子解析による「個別化医療」への展望を述べた第9章など、読み応えのある内容でした。放射線療法では、現在陽子線、重粒子線による新しい治療法が話題になっていますが、さらにホウ素中性子補足療法が臨床研究として進行中です。これには中性子の発生源として原子炉が必要ですが、2009年に京都大学が世界初の小型加速器を開発し実用化に向けて研究中です。移動式のものを用いて橋脚の検査をするという計画もあるほどです。

大阪府立成人病センターは大阪市内中心部への移転建て替え計画の進行中であり、2015年には500床の新病院、研究所・ガン予防情報センターを併せ持つ地上14階地下2階の新施設として開院する予定である。

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